エクスキューズ#2

順番を間違えたかな、と思わなくもないのである。

メジャー/マイナーの話は先にしておかなきゃならんかな、と少し考え、後に回して問題ない、と結論づけたことだ。問題ないと思ってはいたが、トニック・マイナーに言及したあたりで「やべえ」と考えたことは事実である(前頁の終わり際は、そのせいかなにやら尻すぼみにも見える)。

もちろん、言い訳はある。第一に、マイナーキーについて解説する前には、マイナーコードの構造を解説しておく必要がある。第二に、ポピュラー音楽の理論において、マイナースケールは、メジャースケールを基準としたバリエーションの一つという意味合いが強い。それに属七もダイアトニックを外れるし…代理コードも…そもそも説明の分量が二倍近くに…。


そもそも、調の長短に対する定義や理解はなおざりにされやすい。マイナーで始まってメジャーで終わる…あるいはその逆。マイナーで始まるが、特定パートは平行およびその他のメジャーキーになる…またその逆。さらに一時転調までも含めると、キーとして捉えるのはおよそ無駄が多く、こんなものは感覚的にやっちまえばそれで済むと言ってだいたい差し支えない。

進行や解決の仕組み、その動力になっている箇所などは、調の長短とは切り離した分析が可能だ。言い換えれば、キーをメジャーで捉えようがマイナーと考えようが、その時鳴っている音には関係がなく、これは単に枠組みの問題であると扱って何ら困ることはない、のでは、ないかと、思うところ、なのだが


ええい。

とにかく、キーのメジャー・マイナーには当面、言及しない。メジャー/マイナー感それぞれを強く押し出す進行の他、調性感の希薄な(長短どちらとも言い難い)進行というのは決して少なくなく、それを処理する枠組みにマイナーキーの基準を適用する意味はあまりないからである(今考えた)。

いざとれば、我々にはパワーコードという味方もいることであるし。おお、なんと素晴らしき哉、ポピュラー音楽理論。呵々。

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