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年月は苦い日々の上にも降り積む

長男が新社会人であるので、どうも意識が私の新人時代に飛んでしまう。

思い出すと苦々しいことばかり。

私は高校を卒業後、地元の金融機関に就職した。18才。まだまだ子供である。

本だけはやたら読んでいたので、頭でっかち。

やったこともないのに、世界を知ってるようなつもりになっていた、痛い新人だった。

当時は支店勤務だったので、男性4人、女性3人という環境。

そのうちの、女性の主任が、35歳独身の女性であった。


当時の35歳は、18歳の私からみて十分に成熟した大人に見えた。

が、この人がいわゆる

「仕事できないくせに口うるさい」代表のような人であった。

彼女から毎日毎日、ねちっこく叱られっぱなし。

しかも男性のいる前ではなく、女性更衣室に入ったとたんに感情を爆発させる。

支店長も代理も、心配はしてくれたが彼女に助言はしてくれなかった。

怒らせるとめんどくさいから、て感じで放置されていたのだろう。

この人とは、4年くらい狭い支店のなかで働いたが、ある日私に対する風当たりがピタッ、とやんだ。

しかも毎日笑顔。気持ち悪い。


噂にきくとどうやら、彼氏ができたらしい。


え、そんなんであなた、私への態度変えるの?

私は失望ににた気持ちになった。

彼女は非常に憎たらしかったが、言われることは間違いではなかったから。

そうやって、若いなりに自分のメンタルを調整してたのに、

彼氏ができたくらいで、なんだそのヘラヘラした態度は。

急に、自分が情けなくなった。

私のため、と厳しく指導をしてくれてると思っていたのに、

ただのイライラした感情をぶつけるはけ口だったんだな、と。

いま思えば、私が子供すぎた。

大人は立派なものであり、そんな理由で人を追い詰めたりしないものだと思っていた。

私のほうが、世界を知らなかったのだ。

当時かなりの厳しい言葉をぶつけられたが、いちばん怒られたエピソードを書いておく。

「となりのスーパーへいって、箱ティッシュをひとつ買ってこい」

といわれたことに対して、私は愚直に、ティッシュを一箱買ってきた。


「はああ⁉️なにこれ!テイッシュひとつ、ていえば6箱パックのことでしょ!ピリカさん常識なさすぎでしょ!」

彼女はその後私を「今時の若い子は」

「化粧の仕方ばかりうまくなって、買い物すらまともにできないのか」

「世間知らずすぎる、親はどういう教育をしてるのか」

となじった。

親を引き合いに出されたのには単純に腹がたった。

彼女は支店の経費を抑えることをいちばんに考える人だったため、

「買い物すらまともにできない奴の買ってきたものを経費と認めたくない」という理由で

そのティッシュは自腹を切らされた。

うーん、当時はこれがまかり通っていたけれど、やっぱ変だよね?いま書いても。


若いみなさん、大人たちの

「私の時代なんていまより厳しかった話」は、

一部は事実ではあるかもしないが、あまり真に受け過ぎないで。


時代が変われば、やりにくさや問題点もちがうはず。

そもそも比較なんてできないのだ。


先輩の時代はそうだったんですね。って受け入れるだけでいい。

昔のほうがコンプライアンスもざーっとしてて、

楽に通用したこともたくさんあるんだから。


ただね。

苦い日々は、あなたを育てると思う。


キャパを越える苦しみからは逃げていい。

逃げるのもひとつの策だ。


少しでも前向きになれるなら、

自分の器を一回り広げるためのスパイスとして利用しよう。

きっと、次の時代を生きる経験になる。


ほんとの幸運は、

甘いキャンディの包装紙には
くるまれていない。

たぶん。




ピリカグランプリの賞金に充てさせていただきます。 お気持ち、ありがとうございます!