見出し画像

「八」という字

漢数字で書くと「八」、末広がりで昔から縁起が良いとされている数字です。
具体的に言うと、「事業が発展する」「未来(将来)への可能性が大きく広がる」、といった感じでしょうか。
「別に広がらなくても、同じ幅で続いてもいいじゃない」なんて穿った考えをしていたのは、子どもの頃の話です。

だって、現実には「マルチ商法」みたいに悪い方へ広がっていく場合もあるじゃないですか。
それに広がればその分良いことだけでなく、悪いことも増えそうだと思っていました。
しかし、こと「遺伝子学」に関して言えば、末広がりの方がいいと私は思います。

時は近世ヨーロッパ、ハプスブルク家という地方の一貴族に過ぎなかった家系が、ヨーロッパを長く支配した時期がありました。
「太陽の沈まない国」スペイン。この国は各地を植民地にして、広大な領土を所有していました。しかしこの家系、たった5代で途絶えています。
なぜなら現代でもタブーとされている、近親婚を繰り返したからなんですね。
なぜ近親婚がタブーとされているかというと、ご存知の通り遺伝子的に弱い個体が生まれるからです。
実際、庶民より乳幼児の致死率も高く、障害を伴った場合も多かったとされています。
(ちなみに5代で途絶えたのに長く支配したというのは、ハプスブルク家はかの有名なマリア・テレジアを輩出したオーストリア系もあるからです)

古代エジプト第18王朝にも同じことが言えて
「ツタンカーメン王」はとても有名ですが、有能な王だったわけではないようです。
ここも血族婚で障害だらけ。(有名なのは、墓が綺麗に残っている珍しい例だからです)

スペインハプスブルク家に話を戻しましょう。
普通家系図って、下に向かって広がっていくじゃないですか。それがなんと!
下に向かって収束していくんですよ。恐ろしい…
まるで2050 年の日本の人口ピラミッドのようですね。
日本もいつかは、かつての「太陽の沈まない国」スペインのようになってしまうのでしょうか。

自国だけでなく地球レベルで考えると人口の減少は好ましいのですが、人間の立場に立つと人間社会が発展しない(豊かにならない)のは好ましくない。
地球レベルでは、私が冒頭で書いた「同じ幅で続く」のが良いと思います。
地球(人間以外の生命体含む)の幸せ=人間の幸せにはならない、という矛盾があるのです。
加えて、遺伝子学的(主に人間)には末広がりの方がいいのに、広がると地球にとって都合が悪いという矛盾。

この先、世界はどうなるのでしょうか。
ある程度の予想は立てられていますが、思わず目を背けたくなるような現実です。
そして私達がしてきたツケを、未来の人々に押し付けてしまうのです。

ところで「八」を普通の数字で表すと「8」
ですが、この形を横にすると「∞(無限大)」になるんですね。
どんな数よりも大きい、という意味です。
悪い意味で広がっていく「八」と同じなのか、それとも別の大きな力なのか。
前者である可能性が限りなく高いと思いながらも、私はその別の可能性を少しだけ信じてみたくなるのです。 

なぜなら、未来は悪くなる一方だから。 
同じ幅で続くことも出来ない、むしろ皮肉にも発展してしまったがゆえの結果です。
やはり、「太陽の沈まない国」は存在しないのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?