鉈豆ギセル

何においても運がいいだけ / 大学院生 / 写真 IG⇒@beansword

鉈豆ギセル

何においても運がいいだけ / 大学院生 / 写真 IG⇒@beansword

マガジン

  • 京大院試物語 ~全5話~

    私大農学部4年生が、運120%で京大理学部の院試を撃破するおはなし

最近の記事

続・友人の話

前の記事で、友人の話を書いた。 彼らの素晴らしさを讃えると同時に、では彼らにとって私は良き友人なのか?とも考えてしまう。 友情とは、対等な関係のもとに成立するものだ。 彼らが私の欠点を補完する模範的人間であるならば、私は彼らに欠けているものをもつ人間なのだろうか。何かにつけて、貰ってばかりの関係性に甘えてはいないか。 そう思うと、声をかけるのが少し怖くなる。 彼らはいつも、「頑張っているね」と柔らかに私の不器用さを肯定してくれる。 私はいつも、自分の数歩先をゆく彼

    • 友人の話

      話していると元気が出てくる友人がいる。 2、3時間なんて喋った日には、「またね」と言って別れたあとの心のポカポカさに驚くくらいだ。 友人皆がそうかと言うと、勿論そうではない。 でもよく遊ぶ人がそうだとか、交友歴が長い人がそうだとかいう訳でもない。 ただひとつ共通するのは異性だということ。 これは何なんだろうな、別に彼らを恋愛的に好きなわけではないのに。 むしろ付き合っている人と話しても、こんな気持ちにはならないのに。 曲がりなりにも1年半近く付き合っている人がいながら

      • 鉛の錬金術師

        最近、3年前の日記を書いている。 2020年の4月からの日記だ。 「どうして?あなたはとんでもなく暇なんだね」と笑われたが、「忘れたくないから」の一言に尽きる。 どうしても忘れたくない日々があるのだ。 いま毎日つけている日記は、あと1ヶ月でちょうど1年になる。つまらないこと、小さいことでもありのままにだらだらと書き連ねた日記。 意外と生真面目な性分なためか、日々感じたことより何をしたかを書き留めるような形になっているのが少し残念だが、お陰で「あの日」が全く思い出せないこ

        • えだまめ

          いまの彼氏と付き合って8ヶ月になる。 生涯好きだと思えるひとと離れ、色褪せた日々をやり過ごすために、マッチングアプリをインストールしたのがちょうど2年前。 そして「これはある種の社会勉強だ」と、大義名分を吐き散らしながら1年半スワイプを繰り返し、今の彼氏と出会った。 今でも忘れられない人がいることは、「付き合って欲しい」と言われた晩に話した。そして理解してもらった上で付き合った。誰かと付き合ったからといって、その人を忘れることはできないと盲信していたので、これは最低限の

        マガジン

        • 京大院試物語 ~全5話~
          5本

        記事

          おでん記念日

          今日は終わりの良くない1日だった。 10時半に起きて、ばっちり可愛いメイクして、お気に入りのベーグル屋さんとスタバをハシゴして、新作のティーラテ片手に晴れた公園で大充実のパン活をした。ここまでは良かった。 研究室に着いてすぐ、昨晩仕込んでおいた細胞相手に実験を開始した。プロトコル自体は単純な再現実験なので、そこまで心配していなかった。のんきに手を動かしてたら4時間が経っていた。 でも蛍光顕微鏡で見えたのは闇。 細胞中のタンパクがプローブと反応して蛍光を発するはずなのに。し

          おでん記念日

          どこまで行っても

          土曜日。 半年ぶりに会う人とデートをした。 お昼に名古屋の素敵なホテルでアフタヌーンティーをして、私のお買い物に付き合ってもらって、公園でマリトッツォを食べて、夜ご飯では久々にお酒を飲んだ。 何もかもが半年前と全く変わってなくて、何度も見た夢みたいだった。食べるもの、話すこと、見る景色、起こること、全てが大正解だった。本当に楽しい1日だった。 「〇〇さん、彼女いますか?」 さいごに、ずっと聞こうと心に決めていたことを聞いた。いままで怖くて聞けずにいたことだった。 でも

          どこまで行っても

          💐

          約束どおり、「花束みたいな恋をした」を一緒に見に行った。 20時からの上映に余裕をもって間に合うように、研究所を早めに出た。先に原付で駅へ向かったひとを追いかけるように自転車で向かったら、駅の自転車置き場がわからなくて迷ってしまった。最寄り駅周辺で迷子になるなんて情けないけど、ようやく自転車を置いて携帯を見ると着信とメッセージが来ていた。 「52ふん」 「次は20分後」 改札まで走っても間に合わない時間だった。もともとその次の電車に乗る予定だったから映画には間に合うけど、

          ゆうれいみたいね

          自分がこの1年間慕い続けているひとが、研究所を去ってしまうまで、あと2週間になった。 「来年はもうこんなことも出来ないから」と泣いてしまった夏の帰り道から半年。「そんなことないよ、来年もいるかもしれないし」と笑いながら言われても、大好きなコンビニアイスを買い与えられても、首を横に振って泣いた。絶対にその日が来ることは分かっていたから。 あっという間の1年間で、毎日がまるで魔法のようだった。1日1日の、生活の積み重ね。研究終わりにどうでもいいことを喋ったり、一緒に夜道を歩い

          ゆうれいみたいね

          20200827

          夕方 事務椅子の硬い背もたれに頭を預けて、ずり落ちそうになりながら寝ている人を見ていた。 まいにち朝から働いて、疲れているんだろうな、首は痛くならないのかな、などと作業する手を止めてぼんやり考えている間に、そのひとはうっすら目を開けて宙を見ていた。 「.....なにか夢を見ていました」 「なんの夢ですか?」 「覚えてません、忘れました」 「夢は、目覚めた瞬間に誰かに話さないとダメなんですよ」 そう言って笑ったけれど、そのひとはまだじっと動かないので、私はだれかの夢を缶詰

          合格発表

          京大理学部生物科学専攻、 合格してました。(とてもあっさり) 各所には既に触れ回っていて書く気が無くなりかけていましたが、報告です。もう試験から半月以上も待たされて気が狂うかと思いましたね。ほんと長ぇ。生殺し。 とりあえず今は第一種奨学金の申し込みをする前段階で、これが通れば真のハッピーエンドです㊗️🎊🎂 第一種は噂によると入学試験の成績が上から半分以上の人でないと申請が通らないらしい(※京大理学部は)ので、運だけで通ってしまったであろうドンケツの私は諦めております。

          京大院試物語 ~当日②~

          家に着いた瞬間シャワーを浴び、放心状態のまま一旦布団に入った。アラームは20時にセットして、起きてからも若干頭はフラフラしていたので布団に入りながら出そうなところをまとめたノートを見返していた。 京大理学部の専門科目は、研究室ごとに問題が異なり、その研究室の先生の研究テーマに沿った出題となることが多い。この日はもうガツガツ勉強する気にはならなかったので、「そう言えば...」と思い、希望する研究室の先生が書いた本を読んでみた。今更オブ今更。(※4月のやる気に満ち溢れていた頃に

          京大院試物語 ~当日②~

          京大院試物語~当日①~

          日にちが空いてしまいましたが、いよいよ当日編です。これもまた長くなりそうなので1日目と2日目の2回に分けて投稿します。 ↓↓それでは↓↓ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 前日は、もう1日中Essentialや和文英訳の参考書、シス単を読んで穏やかに過ごした。 過去問を見てしまうと「やっぱり勉強不足かも」「こんなの解けるわけない」と不安になってしまうので、あえて見ずに自分のペースで勉強を続けた。 Essentialを熟読する中で、私が「まぁここまでは出んかな」と

          京大院試物語~当日①~

          京大院試物語 ~後編~

          昨晩の続き。↓前編はこちらから↓ 京大院試物語 ~前編~|鉈豆ギセル|note(ノート)note.mu/saortn520/n/nf1ca8d2c34ba ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 6月精神的に1番キツかった月。 上手くいっていたように見えた卒研が突然暗礁に乗り上げる。何度やっても取れるはずのプラスミドが取れない。いろいろ条件も変えて5,6回やり直したがそれでも取れずでマジで頭を抱えた。負けず嫌いなのでこれでもかこれでもかと試行錯誤しているうちにどんどん時

          京大院試物語 ~後編~

          京大院試物語 ~前編~

          お久しぶりです。 先月30日に長かった京大理学部の院試が終わりました。 合格発表はまだなのですが、結果はどうあれきっといい思い出になるなと思ったので記憶の薄れないうちに受験記を残しておきたいと思います。 長いので3編に分けて投稿します。 今回は前編。それではどうぞ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3月始まりが遅い。おそすぎ。周りは着実に就活を始めていて、親からは2日1回「あんたどこの院試受けるの?」と言われていた時期。まだ行きたい研究室を決めてもいな

          京大院試物語 ~前編~

          先手必勝

          バイトに対するやる気がない。常に。 母が働いている私を見てその省エネぶりに「もうちょっとやる気出しーや」と苦言を呈するほど傍から見ても明らかにやる気がない。(家から徒歩10分のところで働いているので母もよく来る) 私は今まで2回バイトを変えたが、今のバイトも含めて全て接客業である。元から愛想もクソもない性格なのでお世辞にも向いてるとは言えないが、もはや色々な業種を検討することすらめんどくさかった。何回か「バイト変えようかな」と思う事があっても、膨大な情報が寄せられている求

          ともだち論

          私は物心ついた頃から、人にもらった手紙はどんな内容でも捨てずに取っておくようにしている。小中高大と生きてきてもらった手紙はとうとう菓子箱の蓋が閉まらないくらいの量になった。今でもたまに読み返すのだが、小学生のときに母がくれた手紙にこんな1文があった。 「これからもお友だちを大切に、みんなとなかよくしてください。お友だちとやくそくをしたら、お友だちをまたせないようにしようね。しゅくだいをきちんとして、じかんわりもきちんとやったら、いっぱいあそんでいいよ。せいふくをきちんとか

          ともだち論