見出し画像

京大院試物語 ~後編~

昨晩の続き。↓前編はこちらから↓

京大院試物語 ~前編~|鉈豆ギセル|note(ノート)note.mu/saortn520/n/nf1ca8d2c34ba

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6月

精神的に1番キツかった月。
上手くいっていたように見えた卒研が突然暗礁に乗り上げる。何度やっても取れるはずのプラスミドが取れない。いろいろ条件も変えて5,6回やり直したがそれでも取れずでマジで頭を抱えた。負けず嫌いなのでこれでもかこれでもかと試行錯誤しているうちにどんどん時間は過ぎて、全く勉強ができずイライラして実験中にもケアレスミスを連発するという悪循環。

結論から言うとどうやらサンプルの濃度測定が正しくなかったか、抗生物質が悪かったようなのだが、とにかく6月~7月前半までまるで何も結果が出なかった。とにかく不器用な一点集中型のため「サンプルを機械にかけている間に勉強」「通学電車の中で勉強」などというスキマ時間勉強法は出来るはずもなく。昼夜問わず実験のことを考えていた。

そんなこの時期はずっとamazarashi
ライフイズビューティフル」を聴いていた。

夢や目標を叶えられないまま、ある日突然自分もあっけなく消えるのかもしれないと思うと、後悔だけはしたくないよなぁという強い思いが湧いてきた。明日も頑張ろうと思えた。

本当にいい曲なので、現在なにか夢や目標があって、それに向かって頑張っている人は是非聴いてみてください。

iTunesリンクは1番最後に貼ってあります。


話が逸れたが、院試が来月に迫っているにも関わらず本当に何も勉強していなかったので、この時期は不安で夜もあまり眠れなかった。「不安に思うならつべこべ言わずに勉強しろよ」という話なんだがそれが出来たら苦労はしないですよね。辛すぎたあまり私は「実はここからが既に院試で、研究者としての素質(メンタル)を試されているのだ」と思うことで耐えた。
気の持ちよう is 大事。


7月

試験まで1ヶ月を切り、焦りとヤバみが一周まわって落ち着きに変わる。性懲りも無く毎日朝から実験していたので研究室の同期や院生さんに「試験いつ?大丈夫なん?」と心配される。

「まぁみんな卒研しながら勉強せなあかんのは同じやしな、のんびり勉強だけできる人なんておらんやろ。」

マジで毎日言い聞かせてた。時期がバグ。
たぶんその「みんな」はもう過去問5周はしてただろうし今まで(ノータッチなので)黙ってた「専門科目」の勉強もとっくに始めてただろうに。

ちなみに白状しますが私は過去問に関してわざわざ問題を送って頂いたにも関わらず、試験当日までまともに解くことなく大体の雰囲気と傾向を掴むためにただ眺めることしかしませんでした。
紛うことなきゴミ。

さらに「専門科目」は、だいたいどこの研究室も対策として勉強しておくといい範囲の目安を教員の方に聞いておくのだが、なんと私は「今更聞きづらい」という情けない理由でそれを引き伸ばしに伸ばしまくり、試験の3週間前まで具体的に聞くことをしなかった。受験することは前々から伝えていたし、毎年過去問に類似した問題が出ることは聞いていたのでまだギリセーフかもしれないがひたすらアウトに近いことは分かっていたので全身全霊申し訳なさを込めてメールの送信ボタンを押した。

⚠️試験の1ヶ月前には研究室ごとの出題傾向や範囲について聞いておきましょう。(当たり前)


メールの返信としては「過去問をやっておいてください」といった感じだったので(恐らくもうこの時期なので先生もそう言うしかなかったのだと思う)、専門科目だけは大人しく過去問を4年分ほどやった上でその周辺で狙われそうな範囲を自分なりに絞っていた。

そして肝心の英語と細胞生物学だが、英語はもう全ての運命を天に任せて最後まで特に何もしなかった。辞書が1冊まで持ち込み可だったので英文和訳はなんとかなると信じ、悪あがきとして最後の1週間でシス単の第2章までを固めて和文英訳の頻出フレーズを頭に入れた。ボーダーが6割強と聞いていたので、英語は「4割落としていいけど6割は死守する」という背水の陣で臨んだ。

細胞生物学に関しては何とか7月上旬までにEssentialをノート2冊分にまとめ終わったので、あとはもうひたすらその暗記をした。ただ、京大理学部の院試ではかなり細かい数字や図まで狙われる傾向にあったので、まとめノートを覚えた上でさらに毎日暇さえあればEssentialを隅から隅まで通読した。もう目が滑るとか言っている場合ではない。英語で点を落とすだろうと踏んで細胞生物学は完答を目標にしていた。

ここで嬉しいことに、あれほど上手くいってなかった実験だが、試験の1週間前にようやく明るい結果が出た。「これで失敗したらもう私は口頭試問で卒研に関して言えることがないな」というほど追い詰められていたので、最後の最後まで諦めずに続けて本当によかった。そしてこれがラスト1週間の追い込みに力を与えてくれた。

そんなこんなで試験前日までの学力到達度合いは英語5割、細胞生物学8割、専門科目5割という感じだった。平均したらなんとかボーダーに引っかかるかどうかというところ。もちろん当日に100%の実力を出し切ることができればの話だが、「なんとかなるやろ」と思うしかなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで書いているといかに自分の危機管理能力が破綻しているかがよく分かる。焦り過ぎてどうしようということも終盤に至ってはなく、緩やかに死期を待つ末期ガン患者のような気分だった。毎日その日の自分にできることをするだけ。

ただ広島に住む老い先短い祖父母からの「勉強頑張りょうるん?あんたはじいちゃんばあちゃんの希望の星じゃけぇな。」という電話はキツかった。本当にキツかった。実験が上手くいってなかった暗黒期より何より週に一回はかかってくるこの電話がダントツ1番。前言撤回。
不甲斐ない孫なので「ありがとう、頑張るね。」を言うのに精一杯でした。応援してくれることは嬉しいんだけどね。


長くなりました。
次回はいよいよ前日チラ含めで当日のことを書こうと思います。

追い詰められた鼠はうまく猫を噛めたのか。
お楽しみに。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

amazarashi   

ライフイズビューティフル

https://music.apple.com/jp/album/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%AB/1208936246?i=1208936342





この記事が参加している募集

受験体験記

感覚的に「いいな」と思ったらおねがいします