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pathos

思い返す
俺は兵庫県の西部、姫路市の広畑という街で生まれた
そこは、播磨灘を望む沿岸部の小さな街

物心つくまえからたくさんの親戚、従兄弟に囲まれて育った
子どもの自分には溢れるほどの魅力があるとても良い環境だった

親戚の大人たちには色々大変な事もあったのだろうが、俺は子ども時代の幸せを享受していた

時は流れ
おじいちゃんも、おばあちゃんも旅立った
みんなの故郷みたいな家も更地になった
モノとしての存在はなくなった

だが、今でも俺はその場所、その街に言いようがない永遠の夏休みのような感覚、眩しい西日、抜ける蒼空のような心象風景を覚える

人間の記憶は匂いによって、強く想起されるという。
その街を想起させる匂いがあった
ただ、長い間その匂いの正体が何なのか、わかっていなかった

大人になって姫路城に登った
天守閣から沿岸部の方を眺めた時、全く同じ匂いを感じた

それは、つまり
沿岸部の鉄工所の排煙と潮風が混ざり合った匂いだった

身体には良くないだろう

ただ、その匂いを感じると思い出してしまう

涙は流れなくても、美しい過去に胸が温かくなる
過去は美化されるものだとしても。

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生きている間に、たくさんの人間と関わって、自分がやりたいことをなんとか見つけ、働いて、恋をして、失望して、怒ったり、喜んだり、酔っ払って、我に返って、、
手の平からこぼれ落ちる砂のような幸せを味わう
誰にとっても、よくある話だ

過去への憧憬、現在を生きる為の手段、未来への祈り
pathosはそういう曲です

どうぞ

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