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建築物を見て歩く❻国際子ども図書館

安藤忠雄 小篠邸リビング

一枚の画像


この画像を見た瞬間、大きく心が揺れました。

後に、この画像は1981年に建築家安藤忠雄が手がけた兵庫県芦屋市にある小篠邸リビングの写真だと知りました。

安藤忠雄を知り、以来彼の作品を訪ね歩くことが愉しみの1つになりました。
このシリーズ「建築物を見て歩く」の始まりです。

ただ、noteを始める3年前までは、写真と記憶だけの記録でした。写真を見返すことはできますが、その時に感じたことや考えたことなどは、記憶から抜け落ちていきます。
noteに書き記すことで、記憶が記録として定着します。

前述の小篠邸は現在、KHギャラリー芦屋として一般公開されています。予約制ですが、安藤忠雄の個人住宅作品を鑑賞することができます。休館時期も設けられているため、ホームページなどで確認をしてお出かけください。

KHギャラリー芦屋

国際子ども図書館 レンガ棟

東京上野公園にある建物です。
レンガ棟とアーチ棟、2つの全く異なる顔を持つ建物が、中庭を挟んで繋がっています。

レンガ棟はエントランスを挟んで向かって右側が明治時代、左側が昭和初期に建てられたものです。

東京都歴史的建造物
白薬掛けレンガ

明治の建物は、レンガ造りで外壁もレンガ積みです。
レンガの種類は3種類。
建物正面のごま掛けレンガ。
中庭側の白掛けレンガ。
建物内部構造体の赤レンガ。
レンガのバリエーションだけではなく、積み方も変えているため、見飽きることはありません。

それに対して昭和初期の建物は 
鉄筋コンクリート造、石やレンガに似せて作ったタイルを張って仕上げています。

2つの時代が、違和感なく繋がっていることに驚き、建築技術の素晴らしさを感じました。

迫力のあるけやき材の扉
ふんだんにレンガを使った内部
創建時から使われている照明

レンガ棟内部で一番目を引くのは、大階段です。
一階の床から天井まで、約20mの吹抜け空間を力強く取り囲むように存在しています。
圧倒的な美しさにため息が出ました。

内側に取り付けられたガラスの手摺
ダイナミックな直線が美しい
鋳鉄製の階段手摺

また、壁や天井は漆喰で仕上げられています。
漆喰は壁材の中でもっとも機能性に優れた素材です。
材料代よりも左官職人の技術が問われるため、今では簡単に手の届かない高価なものになってしまいました。

レンガ棟の漆喰壁は修復のため、創建時と同じ材料、配合で作られたそうです。
さらに技術面でも伝統工法を踏襲していると知り、職人の技術の厚みを感じずにはいられません。

アーチ棟

中庭を介して繋がるアーチ棟


アーチ棟は、2015年に完成しました。
設計は安藤忠雄です。
東京都選定歴史的建造物に認定されているレンガ棟とまったく趣きが異なる建物を繋ぐ発想が、当時話題になりました。
完成直後は、雑誌やTVで紹介されていたのを覚えています。

リーフレット掲載写真
Rの美しいガラスの外壁
床に落ちるリズミカルな光と影
レンガ棟と繋がる中庭の風景

久しぶりに安藤建築を堪能できました。
今も一番好きな安藤忠雄作品は、最初にご紹介した芦屋市の小篠邸(現KHギャラリー芦屋)です。
兵庫県立美術館や地中美術館も
捨てがたいですが、やはり一般住宅縛りで考えた場合、小篠邸が上位にきます。

対峙する明治建築と平成建築

私はこの構図が好きです。
どの建物でも同じ構図で一枚写真に収めようと考え、実践しています。

きっかけは仕事です。
照明セミナーで、器具の配光計画を考える時、正面の一番奥が明るく計画されていると視線を誘導し、手前や途中が多少暗くても明るいと認識すると学びました。

視線は奥を捉えます

セミナーで学んだことは、実践して始めて自分の中にセオリーとして定着します。
その積み重ねがセンスのバックボーンになると信じています。


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