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綺麗な部屋は目指さない

住空間を通して
人を幸せにすることが
インテリアコーディネーターの責務です。

インテリアに興味があり、
自宅を自らの手でおしゃれにしたいと思う方に
手に入れておくと役にたつ基本的なセオリー(理論)をご紹介します。

綺麗な部屋は目指さない

今回のタイトルは、インテリアとは全く無縁の
仕事に就く知人から提案されました。

『綺麗な部屋を目指さない。』
逆説的で、強い響きを持つ言葉です。
とても新鮮な響きは、まっすぐ心に届きました。

綺麗とは
色、形などが華やかな美しさをもっているさま。
汚れがなく、清潔なさま。
乱れたところがなく、整然としているさま。
〜コトバンクから一部抜粋〜

先日、今回のタイトルを彷彿させる出来事が
ありました。

インテリアの打ち合わせ中、お客様から
『こんなインテリアは、真似したくない。』
と渡された画像は、インスタグラムにアップされた
美しく整ったインテリア写真でした。

ダークブラウンの床、キッチンセットや食器棚も
同じ濃いブラウン色。壁紙やカーテンには白を
使い、白とブラウン使ったメリハリのある
カラーコーディネーション。
DK空間に無駄なものは一つもなく、
ハイブランドのダイニングテーブルとチェアが
置かれている。
何一つ間違いのない『綺麗な部屋』でした。

その時、知人が考えてくれたタイトル、
『綺麗な部屋は目指さない』という言葉が、
浮かびました。

30代前半のご夫婦が『綺麗な部屋』の画像を
見ながら、話した内容を5つにまとめました。

1.ステレオタイプのおしゃれな部屋は苦手。
2.印象に残らない。
3.個性がない。普通すぎる。
4.部屋が片付き過ぎて、生活感がない。
5.壁紙は白でないといけないのか?

興味深いワードが並んでいます。

1.ステレオタイプのインテリアは存在します。

マンションの販売会などで、選ぶことのできる
3パターンのインテリアコーディネートは
大抵がこのステレオタイプです。
プロが作った間違いのないインテリアは、
誰にでも受け入れられるように、
敢えて冒険は避けることが多いからです。
そんな制約の中でも、よりセンスの良いものを
提案することを心掛けています。

2.印象に残らないと3.個性がないは、
ともに住宅雑誌やインスタグラムなどのSNSで
見慣れ過ぎたため、見飽きたとも考えられます。

誰もが望む『綺麗な部屋』は存在しないのでは
ないかと私は考えます。
自分にとって、最も心地よいと感じる部屋、
自分らしいインテリアが目指すべき方向では
ないかと思います。

4.部屋が片付き過ぎて、生活感がない。
これは、自宅の写真をアップする時の
大切なポイントです。
写真を撮る時は、片付け過ぎるかな?と
思うぐらいが丁度良いと思います。
自宅を普通に撮影すると、
どんなに頑張っていても
生活感満載の写真になります。

普段の生活で、ある程度の生活感が出ることは
当たり前のこと、撮影の時だけは徹底的に
片付けることをお勧めします。

ここで裏話です。
雑誌やカタログの仕事で、プロのカメラマンの
撮影に立ち会うことがあります。
彼らは、三脚を使用して、パソコンの画面で
チェックをしながら指示を出していきます。
ほんの少しでもノイズが入ると、写真の完成度が
下がると話していました。
この場合、ノイズというのは音ではなく、
余計なものという意味です。
カメラマンの指示で徹底的に片付けていきます。

誌面を飾る写真は、モデルルームのように
美しく、生活感のかけらも感じさせない家に
なります。

一度、徹底的に片付けてリビングを撮影して
みてください。
まずはじめにダイニングテーブルの上に
何も置かない状態を作ってください。
きっと新たな発見があります。

5.壁紙は白でないといけないのか?は、
面白いテーマなので、次回に回します。


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