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うかい鳥山の”蛍狩り”でデジタルデトックスなデートをしてきました

今週も深い内容はなく、ただの結婚前の日々の記録です。夕食と蛍を楽しんできました。

7月31日(土)。10時くらいに起床。ほんのり積み残してあった仕事を終わらせてから化粧をする。養生していた眉毛が生え揃ってきて嬉しい。テンションが上がって、いつもより太めに描く。

今日はドライブデートからの夕食なので、先週買ったライトグリーンのワンピースを着る。ネックレスはアルハンブラにする。大きなパールのピアスをつけたら、港区女子のコスプレみたいになってしまい、しばらくつけたり外したりする。結局、新しい物を途中で買うことにした。

12時過ぎ、ルミネでパールのイヤカフを買う。買って即つける。歩いてる途中、ワンピースに汗がしみてることに気付いてしまい、少しテンションが下がる。

髪を切りに行ったパートナーと途中で合流する予定だったので、約束していた駅にひとりで向かう。カフェでお茶しながら、再読中の桐野夏生『グロテスク(下)』を読む。なんとなく今日の服装に合っている気がする。



LINE通話が来て、車で迎えに来てくれたパートナーと合流。彼はユニクロの寝巻きで登場した。いつも通りの姿で、逆に安心した。

実家に置きっぱなしという彼の車に、初めて乗る。ヴィンテージカーというジャンルのものらしく、エアコンがついてなかった。窓を全開にして走る。

「今日のお店はうかいっていうところで、山の中にあって、お庭がすごい綺麗なんだよね。」
「芝にあるうかい亭と同じ?」
「うん。そのうかい亭の最初のお店ができたのが、八王子…っていうか高尾なの。」
ほー。

「小さい頃、家族の集まりとか、海外の人が来た時とかによく行ってたんだよ。」
「海外の人?」
「うん、うちにホームステイに来た人と、一緒に行ったりしてた。」
ほー?

「でもいいのかな。そんなすてきなところに連れてきてもらって……」
「いいんだよー。たくさん誕生日のお祝いしてもらったのの、お返しでもあるからね。」
わーい。

うかい鳥山は本当に高尾山の中にあって、一つの集落のような大きなお店だった。建物は合掌造り、お庭は緑で、どこかの旅館に来た気持ちになる。

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駐車場に着くと、まず係の方がお出迎えしてくれる。

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「もうちょっと左にハンドルお切りください、左です、左です、はい、そのままちょっと下がりましょう。はい、ありがとうございます!」
駐車も丁寧にナビゲートされる。

駐車場から本館らしき建物までは、ヒールの脚だと5分くらいかかる。その間も、入れ替わり立ち替わりずっと係の人が着いてくれる。みんな和服で、同じくらい笑顔で迎えてくれるので、いつ入れ替わったかがだんだんわからなくなってくる。ロケーションも相まって、千と千尋の神隠しの舞台に来たような気持ちになってしまうのは、きっと私だけじゃない。

席の準備ができるまで、お庭を散策させてもらう。パートナーに少し写真を撮ってもらう。どこもかしこも映える。

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待合スペースやお庭で見るお客さんは家族連れが多くて、みんな幸せそうで、とにかく大人数だった。やっぱり千と千尋の気持ちになる。

客席は、大きな合掌造りの中の広間と、沢山の離れにあるようだった。私たちの席は、離れではなく広間の方。席間が広く取られていて、人が少なく静かだった。周りを見ると落ち着いた大人の人ばかりで、自分だけ場違いな気がして少し不安になる。

「お子さんのいる人はみんな離れなのかな?」
パートナーとそんな話をしていると、
「お子さまがいらっしゃるお客様も、広間にご案内できますよ。こことは別にお子さま部屋がありまして、そちらはお子さまばかりです。」
と係の方から丁寧なナビゲーションが入る。なるほど。

少し陽が落ちた17時から、食事がはじまる。きれいな和食がたくさん出てきた。和食のマナーがよくわからなくてちょっと不安。彼の真似をして食べる。

窓からは、駐車場と先ほどのお庭が見えた。
「笹の葉が濡れてる…。雨かな?」
「地面は濡れてないみたいだけど。あとで蛍を呼ぶための砂糖水でも吹いてるんじゃないかな?」
ほー。

部屋が静かで、料理の写真はひとつも撮れなかった。途中で昔のホームステイの話や、子供の頃の話を聞く。少しずつ、出会う前の彼のことも知れて嬉しくなる。


19時45分。蛍狩りがはじまる。窓際に案内されたあと、敷地中の灯りが全て落とされた。

真っ暗の中、窓の下で、懐中電灯を持った係の人が、紙袋から蛍を出しているのが見えた。窓際のお客さんひとりずつに、蛍を手渡している。

わたしも一匹、そっと手のひらに乗せてもらった。蛍の光は弱くて、スマホをつけたら見えなくなってしまいそうなくらいだった。
パートナーが持ってるiPhone12 Pro MAXなら写すこともできたかもしれないけれど、画面に残そうとするのが野暮に思えてしまうくらい、光は儚かった。

蛍が腕を登ってきて、つい振り払ってしまう。綺麗だけどやっぱり虫は少し怖かった。

遠くに飛んでいく蛍の光は、駐車場の端まで行っても見えていた。光は、そのまま山の中に入っていき、見えなくなった。

夜空を見上げると、蛍よりも強い光で星が輝いていた。これもきっと、スマホで撮ったら映らないだろう。ひとりでいると画面ばかりみてしまうけど、二人でいるとこういう時間も楽しく過ごせる。


帰り道は涼しくて、車の中も快適だった。
「あっ今の見た?」
「なに?」
「暴走族。ああいうのも、都心にはほとんど居なくなっちゃったね。この辺まで来ないと見られないんだよね。蛍と同じで。」
ほー。


家族の思い出のお店に一緒に来られたこと、お気に入りの車に乗せてくれたこと、小さい頃の話をしてくれたこと、全て嬉しかった。

いつも今しか見てない自分たちだけど、こうして少しずつ、出会う前のことも知っていけたらいいな。

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