喧嘩稼業は、喧嘩商売を読んでから着手すべき3つの理由

にしかわくんより上記の質問を受けたので、回答します。

3つの理由

1.最格エピソード
2.師匠をより好きになるために
3.木多先生と冨樫先生にありがとうと言うために


24巻セット


まず、喧嘩商売は3つのメインストーリーで構成される。

・十兵衛ストーリー
・ギャグパート
・最格エピソード

順に説明していこう。

十兵衛ストーリー

本編である。主人公・佐藤十兵衛がライバルや宿敵、師匠と出会い戦い、成長していく物語である。こう書くとサンデーの青春スポーツものみたいだが、違うのは敵が痛覚を持たないヤクザの用心棒だったり、ヤクザそのものだったり、下衆金メダリストだったりする点。あと、主人公が死ぬほど卑怯な点。びっくりする。

詳細は書かないが、商売最終戦は、全格闘マンガ中でも最高のクオリティ。面白すぎて腰が抜ける。

最初は絵がドヘタだが、良きスタッフを得、とんでもなく上達していく。

ギャグパート

時折、唐突に始まるサブストーリーである。本編との関係性はほぼ無く、しかも長い。喧嘩商売全24巻中、ゆうに6~7巻ぶんはギャグパートなのではないだろうか。しかも時事ネタが多く、今読むと正直きつい。わたしも喧嘩商売再読時は、ギャグパートはスルーしている。飛ばして結構。

あ、でも、稼業に挿入されるギャグパートは死ぬほど面白い。爆笑する。時事ネタを使わず、主人公サイドメンバーのみで完結させてるからだろうね。「容赦ねぇ」は何回読んでも笑う。

最格エピソード

2巻より『序章』という形で始まる、単行本のみの描き下ろしエピソード。これこそが商売から読むべき第1の、そして最大の理由となる。

第一部『喧嘩商売』は、主人公・佐藤十兵衛の挫折と成長譚だ。そして第二部『喧嘩稼業』が、グラップラー刃牙でいう最大トーナメントとなる。

16人の猛者が優勝を目指し激突し、優勝者は賞金100億円と、トーナメント主催者への挑戦権を得られる(主催者に勝てば更に100億円)。

グラップラー刃牙において出場者は、1話丸ごと使い紹介され、試合中にその背景が描写された。

喧嘩商売においては序章を使い、かつ相当なページ数でもって、様々な──「個性的」程度の言葉では括れない異色の闘士たちの強さや人間性、背景が濃密に描かれる。

格好良さにしびれる者、好感を抱く者、嫌悪感を抱く者、これはあたまおかしいと恐怖する者、様々だ。トーナメント参戦の理由も様々で、己こそが最強との自負・復讐・金メダリストとしての義務・プロレスラーとしての矜持・国技からの挑戦・父の幻影を求めてなどなど……。

本編に勝るとも劣らない、恐ろしいクオリティで描かれるこの最格エピソードを読まずして、『喧嘩稼業』で進行中の最大トーナメントを最高に満喫することは出来ない。

師匠をより好きになるために

商売から読んで主人公の師匠を好きにならない男性読者は存在しないと断言できる。主人公の師匠を好きになるためだけに、商売から読む価値はあると強くお勧めする。12巻で号泣しない男はいるのだろうか? 女は分からん。男は泣くと思う。

そして稼業の師匠の第一試合。この決着回では生まれて初めて、読みながら手に本当に汗をかいてしまった。「ここまで面白い漫画が存在するのか」と驚愕した。ぜひ商売から始め、この1戦を読んでほしい。

木多先生と冨樫先生にありがとうと言うために

そして最後の理由として、木多先生と冨樫先生に、「こんなに面白い漫画を描いてくれて本当にありがとうございます!」と心から感謝の意を示すために読みましょう、と教えを説き、筆をおこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?