「首」に、しんにょうで「道」
「あ、今日ハムカツ忘れた。」と言ってみる。
言われた側は、とても迷惑だろう。
ハンカチをハムカツと言う小ボケが、マイブームだ。毎度のごとく、理解からは、程遠いリアクションを頂戴している。
話は変わる。
不思議なことではあるんだけど、
私が出かけるときは、本当に良く晴れる。
おかげで、お出掛けの時、特に夏は、汗だくになれる。
背中からかきはじめる汗は、次いで顔から、
全身へと広がる。顔からでた汗は、首をつたっていく。
首をツーっとつたっていく、一粒のキラキラ。
それをハムカ…ハンカチで、拭う。
私が、道を行く。
そして、首筋を汗がつたう。
諸説あってもいい気がしていることがある。
首をつたう汗一筋が、
さながら、人が1人、道を歩く様に見える。
だから、「首」にしんにょうで、「道」。
「しんにょう」には道って意味があるらしい。
どうだろう、「道」に使われる「しんにょう」の意味が道じゃー少し変で、
首をつたう汗が、一本道に見えたから。
の方が、良さそう。
そして、おそらく、そういう時の「首」は、
女の人の、とても綺麗な首だろう。
ハムカ…ハンカチで、汗を拭うだとか、
それこそアネッサのCMのような首。
パンの匂いがしそうな首筋。
夜、家から近くのTSUTAYAに向かう一本道を歩きながら、そんなことを思った。
今日も暑くて、汗かいた。
それは、私に限った話ではないだろう。
むしろ、それはそれで怖い。
世界で汗かいた人が、今日に限って私だけ。
そんなのは、おかしいにもほどがある。
ってことはだ、今日も、相変わらず、
首筋の汗は、ハンカチで拭い取られたんだ。
永遠に続くアスファルトを練り歩き、
人は、首筋に汗をつたわせる。
今日やるべきことのために。
誰かのために。自分のために。
生きるために。
人は、道を歩く。
そして、汗をたらす。
これからも、「生きる」という道は続くのだ。
人を愛してみたり、わだかまってみたり、
すれ違ってみたり、ばったり再会してみたり。
そういう、沢山のもつれから出来上がっている一本道を、私たちは、歩いていく。
それこそ、汗水垂らしながら、歩いていく。
首筋をつたう汗が、さながら
一本道を行く、人だとするなら、
それは、キラキラとしていて、美しいことのように思われる。
だって、首筋の汗は、決まって綺麗に描かれる。
時には、好きな人の首筋の、匂いを嗅ぎたい。
そして、それすら、美しい時間である気がする。
世間にあやかって、『君の首筋を嗅ぎたい。』に、しようとして、やめたエッセイ。
今日も、よく歩き、よく生きたんじゃないだろうか。
歩き、汗をかいた分だけ、人は良くなれる気がする。
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