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Grade 9: Second Semester/Spring Break - Fading out

3月27日 土曜日

Hageのハッキング騒動とKuriから近くにいい感じになってる人がいると告白された日、私は両親と出かけて新しい携帯を買ってもらった。
携帯といえばEくんがいつも携帯を触ってる印象があって、Eくんの背中を追う私はEくんが携帯を壊す前に使っていた携帯と同じ機種の後継を買ってもらった。
割と長く使ってたからか、鮮明に覚えてる。
Eくんの携帯の色だって。

日系企業の二つ折り携帯で、ボタンの感じが日本の携帯それで、海外にいた私にとって憧れそのもののデザインだった。
着信があると折りたたんだ携帯の蓋のランプが点滅する(3色くらいから選べた)。

電話が鳴るとオレンジレンジのラヴパレードが流れて青色に点滅したEくんの携帯。

携帯のサイドにあるボタンを押してパカっと開く。

Eくんの携帯の色はカーキみたいなくすんだゴールドのような、黄土色のような、そんな色だった。

だぼだぼのジーンズのお尻ポケットに入れた携帯を取り出して、パカっと携帯を開きMarioくんからの電話に応じてた。

ショップで後継機を見つけたら、これ以外の機種は考えれなくなった。
日本製だし。ということでお父さんはお母さんの携帯と私の2台を買ってくれた。
私の携帯はEくんが持ってたのとは少し変わっていて、形はそのままでも折りたたみの蓋部分が取り外し可能で3パターンくらい着せ替えできるモデルだった。

いつの時期かもわからないけどこの携帯がそれ。

Eくんに新しい携帯買ったよ、の報告をして何買ったの?の話題から、前のEくんのと同じかも。と伝えた。
「あーあれいいやつやもんな」と今もまだ同級生から借りた携帯を使っているEくんが言った。

E君が使ってた携帯、もとい私の新しい携帯は当時では珍しくケーブルで繋いで自分の好きな曲を携帯に取り込める機能がついてた。
iTunesで曲を編集して、それを着メロにする。
まさにEくんがやってたことだった。
だけど私の手元にはそのケーブルがなくて、翌日Eくんが携帯を買いに行くのに付き合うついでにEくんが使っていたケーブルを貸してもらえることになった。

3月28日 日曜日
クリスマス前にEくんの家に行って以来の、Eくんの家だった。
E君の家の前で会ったのは初めてだったと思う。
Eくんは私の着いたよ、の連絡で降りてきて、ゲートを開けた。ケーブルは無期限でかしたげるわ〜と。
Eくんの携帯を見に繁華街のあちこちを歩き回ったし、E君のご家族が振り込んだお金を「ここのレートが1番いいねん」と両替しに行くのにも着いて行ったけど、思ってたより値段もするし、気にいる機種がなくて断念していた。
元々使ってた携帯が欲しかったみたいだけど、仕送りされたお金で買うには高値だったらしく「俺も携帯欲しいわーーーくそーええ携帯買いやがってーー」と愚痴られた。

この晩、さっそくEくんのケーブルを使って着信音をせっせと作った。
Eくんの着信音はand I love youにするって決めていた。

頻繁に電話がかかってくるような人たちにはそれぞれ好きな音楽で設定しようと思って、ソフィアちゃん、Kuri、お母さん、など数曲分の設定をしたと思う。
EくんにMSNで、「俺はー?」と聞かれたので and I love youだよと教えた。

俺も欲しいからできたやつ適当に送ってーと要求があったので、言われるがまま渡した。
そして、EくんからHYの隆福丸で作って欲しいと言われてEくんの指定する箇所で切り抜いたものを渡した。
(めっちゃ正確な時間教えたろか?といってた。口調が相変わらず一学期の頃とは別人だった)

この頃作った着信音はいまだに残っているし、and I love youは本当に高校を卒業した後もしばらく、Eくんの着信音のままだった。

他に付き合う人ができてもEくんの曲は私にとって今もずっとand I love youで、大学院で彼氏ができた後に初めてEくんとは別の人専用にこの曲を着信音に設定したような、普段の着信音にしたような、気がする。

3月29日 月曜日

この日私は塾の勧めでTOEFLの試験を初めて受けたみたいだった。
試験会場には偶然にもKさんがいて、なんとなく気まずかった。
Kさんはきっと、大学進学のために試験を受けにきてたんだろうな〜…。

Eくんにもこのことは伝えていて、MSNで試験どんな感じやった?と聞かれた。
真面目なEくんは試験や学歴のことについては年齢を重ねてもずっと興味津々だった。

そんなEくんはというと、この日は改めて携帯を見に行ったらしい。
結局格安の中国ブランドの携帯を買ったと言っていた。
私が送った着信音を使ってるけどスピーカーが前の機種より劣っていて音割れがすごいと不服そうだった。

この日のログによると、「きみのかった携帯は430くらいやったぞ」とのことで高額なのによく買ってもらえたね、という意味だった。
今までずっと「Sarryちゃん」だった呼び方が、この日初めてEくんに「きみ」と呼ばれた。
ログを読み返した現代の自分だって驚いたのだから、当時の自分だって驚き傷ついたに違いない。

今までだったら想像できないくらいすごく冷たくなったのにまだEくんは話を続けるうえに優しくなったり、メールのやり取りの途中で電話をかけてきたり(単純に文字を打つのが面倒になったんだろうなというのは察していた)と、行動と口調がごちゃ混ぜで嫌われてるのか好かれてるのか、このままでいいのかEくんのために別れたほうがいいのかが分からなくなって、混乱した。


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