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Grade 9-Second Semester: Breaking down

1月も後半ー当時住んでた国では2日間の祝日が控えてた。
この頃の私は前までと打って変わってEくんに対する怒りが蓄積されていた。
私が何を想って何を考えているのか全くわかってくれてないEくんにフラストレーションを抱えてた。全く会話してないんだから当たり前なのにね。

Hageはというと、TちゃんがHageのこと好きなんじゃない?とIちゃんに執拗に言われてそれを鬱陶しがっていた。
Tちゃんとはただの友達だから、その友情を壊したくなかったらしい。

私の目にも、TちゃんはHageのことが好きなんだろうなというふうに見えた。
実際G10の頃も私の知らない2人の関係(友情)があったみたいで色々振り回されたりしてたみたいというようなことをTちゃんからかなり昔に聞いたことがある。

Fちゃんと話をしてからはランチのときなど頻繁にFちゃん、彼女の当時のグループだったソフィアちゃんやSおりちゃんとまた連むようになっていた私はー EくんとHageそれぞれの誕生日に、気持ちを切り替えるという意味でも最後にプレゼントを渡そうということになったー。

月曜日の放課後、Eくんの誕生日の数日前。
私はIちゃんとプレゼントを買いにいつも行く街に出た。
プリクラやアクセサリーショップ、タトゥーショップも入ってたりで全インター校生も、現地の学生、国中の10-20代が集まるような場所。
IちゃんもEにプレゼントあげたい!とノってくれたので一緒に買いに行って渡せば気まずくないと思った。

買い物のあと、Iちゃんとプリクラを撮った。
女の子の友達の存在がありがたい時期だった

Eくんに何をあげたらいいか、全く思い付かなかった。
一緒にいた時間は短くて、彼が何が好きなのかわからなかった。
大袈裟にしたくなくて、Iちゃんに提案された手軽なメンズアクセサリー(ネックレスだったのかな)にしたような気がする。
デザインも、何もかも覚えてない。
ただIちゃんはベルトを買ってたのだけ覚えてる。当時流行ってたと思うピンクっぽい色が編み込まれたブレイドベルト。
Eくんは、よくこのタイプの茶色いベルトを着けてた。

プレゼント用だったら、こういう箱があるよ と店の人に見せてもらったのがEくんからクリスマスにもらったネックレスの箱と全く同じだった。それを見た途端フリーズした。

もしかして…と思いレディースのネックレスが陳列されているのを見に行くと、まさしく同じものが置いてあった。

いろんな色のラインストーンがある中で、ピンクのものだけがなかった。
Eくんは、ここでクリスマスプレゼントを買ったんだ...と呆然とした。

10代がプレゼントを買いに行くところなんて大抵決まっていて、お店の雰囲気からしてもしかしたら、なんてのもふんわりと思っていた。けどいざ目の当たりにするとほんの1ヶ月程前のことなだけなのに、今置かれてる状況がその頃とのあまりにものギャップで苦しくなった。

この時のことを、Sugarちゃんに振り返っていたことがある。

同じ店で買い物してたみたいなんだっと話す私に「それは、運命ってやつ?!」とはしゃいだSugarちゃん。
お店も、私も、時間が止まっている。

小さい国にいて、行動範囲が限られた10代だったからこその偶然だったのかもしれない。
だけどこの時の心がギュッと掴まれたような苦しさは今でも覚えている。

一緒にいたIちゃんにここ、Eくんからもらったプレゼントのところだ。と伝えるとなんだか悲しくなって涙が出てきた。

いざプレゼントを渡すとなると怖くて、その夜IちゃんにMSNで一緒に私の分のプレゼントもEくんに渡してくれないかと頼んだ。
私からのプレゼントだと思ったら、Eくんは受け取らないんじゃないかと思った。
「それは絶対ダメ!!」渡すなら一緒に私に行こう、でも自分のものは自分でね。と強く断られた。
Eくんと直接話する機会を無駄にはしたくなかったんだと思う。

プレゼントと一緒に手紙を書いた。
どんな内容だったのか、どれくらい書いたのかも記憶にないけどー
お誕生日おめでとう。
本当は一緒にお祝いできればよかった。
もし、やり直しが効くならやり直したい。
本当に大好きでした、短い間だけどありがとう。
口にはできない言葉をペンに託したのかな。

金曜日
Eくんの誕生日当日休み時間のこと。
Iちゃんとプレゼントを持ってEくんを待ち構えた。
MathsかMusicの教室からキャンティーンに上がる階段〜生徒の溜まり場になっているガジーボの横に大きな声で笑いながら歩いてくるEくんと、あれは確かスターフィッシュくんに、向かって進んだ。
IちゃんがEっち〜と声をかけ、Eくんが立ち止まる。
Happy birthday~といってプレゼントを渡した。たぶん、私も続いてこれ。おめでとう。と渡した。1mmも笑えてなかったんだろうな。

不機嫌な顔をされるんだろうなと思っていたのに、反射的にプレゼントを受け取ってくれたEくんは、あの屈託のない笑顔であっ、ありがとう!と言った。

同級生たちや先輩たちと楽しそうに笑い、話すEくんを見て、私にもその笑顔をみせたEくんを見て、何かがプツンと切れたのを覚えている。

こんなにEくんのことで悩んでいるのに、どうしてEくんは幸せそうに笑ってるの?クソな人生なんじゃないの?どっちの方がクソな人生なんだよ。
結局Eくんだって自分さえ良ければ私のことはどうでもいいんだね。
理不尽すぎるけどEくんに怒っていた。
Eくんはもうどんどん先に進んでいるんだ、置いてけぼりだったのは私だけなんだ。そんな「区切り」がついた寂しさと、笑顔で受け取ってもらえたことの安堵と、怒りとで頭の中はぐちゃぐちゃだ。

同級生たちが集まって座っているベンチの端っこに、1人みんなと距離を置いて私は座った。
年上の学年の人たちが見えないように、同級生にも見られないように、背を向けて。
そのベンチは、冬休み前のExam期間、インフルエンザを発症した私が怠くてテーブルに突っ伏してた場所と同じ。

「達成感」なんかじゃなくて「敗北感」しかなかった。

そんな私に、なんの事情も知らないShikaがまたいつもの調子で近づいてきて結構な力で頭を叩いてきた。

Shikaは「君にならやりやすい」というけだるい言い訳をつけて全力でタックルをしたり、頭を叩いてきたりするやつだった

どれだけ強く叩かれたのかわからないけど、その場にいた男子が集まってくるくらい悲惨に見えたんじゃないかなと思う。当の私は痛いよりも心の痛みのが強くてただぼーっとしていた。
現場を見たKuriとHageが即座に私に近づいた。
KuriはShikaを止めに、Hageは私の隣に。
「大丈夫?」と肩に手を置いて聞いてくれた。

その言葉を聞いた途端、堪えていた涙がどんどん込み上がってきて、ついにはポトンと溢れた。
「大丈夫じゃない。」
それを遠目から見ていたマッチョも近づいてきて、私の隣に座った。
男子たちは私が叩かれた痛みで泣いてると思ったらしい。マッチョは私の頭を撫でていた。
萎れている私を初めて見た彼らは、明らかに狼狽えていた。
泣いてる理由を説明したかはわからない。ただ、もう我慢してるのがしんどい。とだけ言ったのかもしれない。
12月にはEくんが目の前に手を握って来てくれたのに、今は他の男の子たちに囲まれて、慰められてる。
そんな私をEくんや先輩たちにはただひたすら見られたくなかった。

まるで遠い昔のような口ぶりだけどこれはHageとの翌日の会話。
自分が泣いたことを茶化せるくらいには吹っ切れていた。

金曜日、私は塾のある日。
HageがIちゃんに電話をして私がどうしてるかを聞いていたらしい。私の塾が何時に終わるかも。
この日の夜の私のMSNの名前は「疲れたね、疲れたよ」だった。
Iちゃんには、He doesn’t even know that I cried. HOW LUCKY HE ISとEくんが私の状況を知らないことを皮肉っていた。
本当に気にかけて欲しい人は、今までなら絶対様子を伺ってたはずの人は、私のことなんか気にもかけない他人よりも遠い人になってしまった。

この翌日の土曜日
私が離席してるほんの一瞬だったかにEくんがMSNで私に一言お礼を残してた。

プレゼントほんっとにありがと。
うん
それだけ。じゃ。

それ以降、とあるきっかけがあるまでEくんと話することはなかった。


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