シネマ歌舞伎《籠釣瓶花街酔醒》感想
思ってたより厭な話じゃなかった。
悲劇だからしんどいんだけど、すごい悪意というのが無くて、そう言われたら(この性格でこういう状況なら)こうなるよな、という自然な理解のもとで少しずつ少しずつそちらへ傾いた結果というか、「崩れ」でも「歪み」でも「捩じれ」でもなくて、従って「破滅」でもなくて、ただの「辛い事態」で、だから観終わった後どんよりするものでなかった。感覚としては《鷺娘》みたいに、そうなることが決まってる流れを、どうすることも出来ずに対岸からただ見守る、という感じのものだ。