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悠斗の失敗 (武尊の敗因マニア版)

悠斗選手、キックボクシングマニアの方には注目の選手なのですが、ここで簡単に悠斗のイメージをおさらいすると、日本ボクシング王者から世界ランカーまで行き、WBCムエタイや日本キックのタイトルを引っさげ、人気キック団体K-1グループに所属するKrushで連戦秒殺のパンチKOで一躍注目された選手です。

彼は的確な理論で軽量級でもKOを量産して見せて、その無駄のない動きは確かに機能美すら感じさせるもので、彼の思考の正しさを裏付けるに十分な試合を見せ、団体に階級新設を考えさせるほどの発言力を得るようになりました。実力で意見を通すのは運動選手らしいやり方でしょう。

ただ、彼の正しさは一面的であると言わざるを得ないでしょう。新階級の新設などは自分の力だけでどうなるものでもなく、味方をしてくれるファンが多くなれば自然にその機運は盛り上がるし、勝ち続ければその発言力もさらに増すはずです。

どこに問題があって、なぜ新階級ができないのか、それらの問題を打破するにはどんな力が必要なのか。ボクシングはできても、社会的な力で物事を動かすには、もう少し他の意見を聞いたほうが良かったと思います。

僕は小さな階級を増やすのはあまり乗り気ではありません。もちろんタイでは子供や小さな人たちが多い事で、そのクラスのレベルは高く、盛り上がっていると思います。しかし僕は子供のムエタイはあまり見たくありません。その理由はいくつかあります。

格闘技は階級制にしているからこそ成立するスポーツだと言えます。無差別級ならトップは筋肉量の多い選手が王者になるのは明らかだからです。そうした前提を知りながら、小さな選手の技術を楽しむ事も人々は知っています。しかし今はそれを際限なく広げる事に僕は興味がありません。その理由はそこまで選手層が厚くないからです。

それなら悠斗選手の技術がどこまで重量級に通用するか、人間がどこまで努力して上の階級にチャレンジして成功できるか、そのほうが、応援できるのです。殴り合いの喧嘩に負けたら発言力を失うようでは社会では通用しません。殴り合いで負けたら智力やその他で勝てばいいのです。

これはあくまで僕の考えですから、小さな階級を望む声も多ければ実現するでしょう。ただ、その階級を制覇したら上の階級を目指して欲しいものです。そうしないとただでさえ薄いキックボクシングの選手層がさらに薄くなってしまうだけの結果になってしまうからです。

少し話題がそれるかもしれませんが、『武尊の敗因』に書こうと思った事を悠斗の失敗に被る部分があるので、こちらに書きます。あちらはライトファンが読む事を想定して書いたものなので余計な事を書きたくなかったからです。これを読むようなファンはかなりなマニアだから、理解できると思うのでこちらに書きます。

僕は『武尊の敗因』に書いた事の他にも敗因がいくつかあると思っています。それは旧Twitterにさんざん書いてきた事ですが、ほとんどの人はスルーしてきました。武尊は沢村忠や魔娑斗と同じように作られたスター、言い替えれば作品だったのです。

武尊戦の翌日、チャトリが刺激的な発言で日本人に反感を買っています。
でもそれは日本キックボクシング界が、いつまでも反省せず、旧時代を改めなかった報いだと言う事もできます。真摯に考え直す時でもあるのです。

武尊は明らかに特別扱いされていました。スーパーレックとの試合で何度も足掴みの反則を注意されていましたが、K-1時代にもこの反則を何度も繰り返しています。しかし、レフェリーはこの繰り返し行われた武尊の反則に

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