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対局中の表情

昨日は、桜蕾戦のベスト8卓がありました。
仕事しながら観戦していましたが最終戦の南3局、オーラスは特に面白かったです。
南3局は、和了ればほぼ勝ち上がりの香野さんがポンテンの47p。
山には残っており、条件的に誰からでも出そうだったので決まったかというところで、トータル4着目の夏目さんが自風のドラ暗刻でリーチ。香野さんのツモは4枚目のドラの西。点数状況的にこれだけは打てないという牌だ。オリを選択すると次巡のツモは4p。
よくあることだが、かなり悔しいやつだ。
夏目さんは2局でハネツモ、マンツモぐらいの条件だったので安い手は考えづらいが、ドラ以外なら押したのでないだろうか?和了って中田さんの親を落とせば圧倒的に有利なので。
そのうちに中田さんの手が進みリーチ。高めのドラをツモって4000オール。香野さんを捲る。

オーラス、香野さんの条件は1300.2600か8000出和了。
3巡目にツモなら勝ち上がりのリーチをする。

山には和了牌は5枚。いつツモってもおかしくない。しかし、なかなかツモれず多少他家に流れたが終盤近くにもまだ4枚残り。なかなか58sは顔を出さない。捨て牌は3段目に突入。流局するかというところで、国士を狙っていた夏目さんの手が2シャンテンから急速にのびる。
15巡目にテンパイ。和了牌の東は山には残っている。激アツだ。

次巡の夏目さんのツモは8s。親の内田さんがトータル1位確定でこの局で半荘は終わるので、香野さんは8sをロン。裏ドラにかけるがのらず。内田さん、中田さんが決勝進出を決めた。

冒頭が長くなったが、本題に入ろう。
今回のテーマを書こうと思ったのは、土田さんのこのツイートをみたのがきっかけだった。

私は対局中に、感情をほとんど出すことがない。
和了っても、放銃しても大差はないと思う。
いわゆるポーカーフェイスというものだ。
なんで、そうなったかは覚えていないが、表情や所作で手の進行や打点を読まれるのが嫌だったからか、一喜一憂するのはプロらしくないという美学もあったのかも知れない。
あとは、トラブルに巻き込まれづらいというのが1番あるだろう。
淡々と嬉しくなさそうにあがられて、トップをとられる側も嬉しくないだろうが。
余計な一言がない限りはトラブルになりづらい。

どちらにしても、勝ってるときは相手を不快にさせるものだ。

雀荘の若い従業員は特に大変だ。
淡々とクスリともせずアガるとスカしてるように見え、かといってはしゃいで打ってるのも負けてるときはいいが、勝ち始めると目に余る。

対策としてはお客様に好かれる。

としか言いようがない。
お客様の好みを使い分けれるのがベストではあるが。

土田さんのツイートにあるように、表情からでも三味線に見え(本人にその気がなくても)、相手を怒らせることもあるので注意が必要である。

私が雀荘行き始めのころは、とにかく色々な暗黙の了解があった。

失敗したと言ったら和了ってはいけない。
見せ牌やコシ牌は、その筋も当たれない。
長考リーチは禁止。など

ちなみに、全体的にマナーは今よりかなり悪かった。
先ヅモはしないが、打牌は強い人もよくいた。
最近の雀荘で「強打」と言われるのとは、比較にならなく本当の「強打」だ。

そういう経緯もあったからポーカーフェイスになったのかも知れない。
どこで、アヤをつけられるか分からないからだ。

ここ10年ぐらいで、映像対局が急激に増えた。
私がプロになり始めたころは、モンドしか当然なかった。
連盟では放送対局になって、視聴者が見易いように変えたところも多い。
フーロするときに今までは、発声→打牌→鳴いた牌を持ってくるだったのが、発声→鳴いた牌を持ってくる→打牌に変わった。
リーチのときもリーチ棒を置くまで、下家はツモらないになり、リーチの牌姿が視聴者の人がちゃんと見えるようになった。


皆さんも記憶にかなり残っているだろう。近藤誠一さんが、ラス目からトップまで駆け抜けた倍満の和了である。
そのときの動画をスクショしたものだ。一部始終みてない人はTwitterにもあがってるので是非みて欲しい。
カン5pが入ってテンパイする。
リーチして7mをツモれば跳満であるが、僅かに小林剛さんにも届かず3着になる。
表情を歪めながら、長考にふける。
本人に直接聞いたわけではないが、こういう思考だろう。2手変り3色はあるがさすがに遠い。親の小林プロはチームポイントからここはトップを目指してくるので、直撃できるかも知れない。
裏裏の可能性もある。よしリーチだ。
まあ、こんな感じではないだろうか。
そして、見事に1発で7mをツモリ、トップになった。
フェニックスファンだけでなく、かなりの人に感動を与えた1局だったと思う。
泣いたというツイートも何件も目にした。

この局の何がそんなに良かったのか、私なりに検証してみた。

まず、Mリーグという大舞台があげられるだろう。
更にMリーグの予選も佳境に入り、観てる側も応援に力がはいる。
選手のプレッシャーが画面越しでも伝わってくる。
そして、

長考のときの表情と和了ったときの表情が抜群にいい。

ただ読者の皆さんに言っておきたいことがある。
雀荘で、近藤さんと同じだけ考えてあの手だったら、

絶対嫌がられる。

こんなのリーチに決まってるだろ。考えてたから愚形か3着にちょっと足りないかと思ってたよ。と思われるのがオチだ。
是非気をつけていただきたい。

話は戻って同じ状況で同じことを佐々木寿人さんならどうなるか?ほぼノータイムでリーチして1発ツモって。逆転だ、となる。
これはこれで、

「やっぱ寿人はすごい。」
「本当、魔王だ。」
「当然かのように1発でツモった。」

と凄いと思う人は、近藤さんより多いかも知れない。
しかし、感動する人は極端に減るだろう。
別にどちらがいいという訳ではないので、寿人さんをディスってる訳ではない。

極論で言えば長考しないほうがベターだ。

同じ打牌を、短時間で導きだせるなら。その分、頭の回転が早いということになる。

しかしベターであってベストではないかもと思った。とくにMリーグにおいては、表情は出しても多少はいいのではないかと、最近は思うようになった。

別に、わざと大袈裟に出す必要はなく、無理にポーカーフェイスする必要もない。

勘違いされたくないのは、エンターテイメント性を高めて欲しいというわけではない。
色々なキャラクターがいて、色々な麻雀の打ち手がいる。
素のままで、真剣に戦っているだけでエンターテイメントにはなる。
人は真剣さや必死さに視聴者は感動し、共感する。
とくに、麻雀は運の要素が絶対不可欠なゲームだ。
より大きい感動を与えれるゲームと言える。

観ている人を感動させること以上のプロ冥利はないと言っても過言ではないだろう。

セミファイナル、ファイナルとまた凄い闘牌が繰り広がるだろう。
数々の名局が沢山生まれることを切に願う。
















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