ヴィア・ドロローサ





『・・・対戦ありがとうございました。』

『(ペコ)・・・。』





無口な少年との対戦は僕のロストソウル先打ち→

盤面のストームジャベリンワイバーンと双月にコーライルを連続当てでテンポを掌握→


ボルバル+大地呪紋の化身の必勝パターンをなぞり、大きな分岐を迎えることなく勝利を収めることができた。



バーレスクの親友。アクアン系統のメタカード。



僕の卓の対戦が最も早く終わっていたので、周囲の卓を観察して待った。



ささぼーVSライカルの試合はまだ中盤だがささぼーの優勢が伺える。

ライカルの手番で長考しているようだった。



赤青白黒除去コントロールを使用しているライカルの盤面はテレスコープホルン1体のみ。シールドは3枚。



パクリオもジェニーもなき時代のピピハンクリーチャー。余談だが当時のライカルさんの除去コン
はピン積みのカードが20枚以上採用されていた。



対するささぼーの盤面にはゴンタ、ウィンドアックス、ブロークンホーンの3体が鎮座しており、リソースにもまだ余裕がありそうだ。





『ガタッ!!』




反対ブロックの方で誰かが勢いよく席を立つ音がした。

野津だ。




『じゃあね!!帰るわ!!』



どうやら千歳に惜しくも敗北を喫したらしい。



数人のスタッフが『全対戦が終わるまでご着席ください!』『まだ座ったままでお待ちください!!』と野津を引き留めようとしたが、全ての制止を振り切って野津は現場から一目散に退場した。



敗退が確定した状態で1秒でも長く会場に留まりたくなかったのだろう。

バケモン。負けず嫌いここに極まれりだ。




そんなこんなで会場がざわつく中、佐村と吾郎の卓も決着がついたのか吾郎が悔しそうにデッキを畳みながら『あそこはまだドラゴンシャウト温存だったかなー?』などと感想戦を始めている。




除去コンのペトローバ対策札。なぜかみんなこのカードはプロモ版を使いたがる。




除去コントロールを握った吾郎のシールドを佐村のペトローバで強化されたブロークンとギガホーンたちが踏み荒らしていったようだった。




佐村のデッキはボルバルホワイトか。

ベトローバによる強化とアンタッチャブル効果で除去コンに強く出れつつもホーリースパークやアポカリプスデイ等の強烈なトリガーを数多く採用しており、ボルバルに突撃されても高確率で抗える構築になっているようだ。



最強のカウンタートリガー。場モチのいいクリーチャーが大量投入されている佐村のデッキとは相性抜群。



そして最後に残されたささぼーVSライカルの卓はほどなくして終局を迎える。


中盤の主導権を渡さず、ささぼーがボルバルなしの中型クリーチャーたちにSAを添えて殴り切ったようだ。





『おまえはやっぱつえーな。俺に勝ったんだから日本一決定戦まで行けよ!応援してるわ。』




ライカルが潔く対戦相手の勝利を称えた。




『ライカルサンキュ!!わた?勝ったか?』



ささぼーがこちらに体ごと振り向き、目が合う。





『うん。勝負だな。』






『・・いいね。やろうぜ。』






ささぼーと公式の大型大会でぶつかったことは今までになかった。

初めてが日本一決定戦を賭けた準決勝の舞台。


自分のアタマから脳内物質が分泌されていくのを感じる。







パーテーション内に残された席は4つのみだ。


佐村VS千歳

そして


ささぼーVS僕







ジャッジの対戦準備開始の合図とともにお互いに自分のデッキを切り、


相手の前に自分のデッキを差し出した。





気心の知れた相手と大会で戦うときの対戦前のこの儀式が好きだ。



笑顔で言葉を交わす日常から


真剣勝負という非日常へと徐々にお互いの心がシフトしていくこの時間が。







カットが完了された山札の上からささぼーは勢いよく5枚一気にシールドを重ねてセット。




僕は丁寧に一枚づつシールドと手札を卓に並べた。






『いくぞっ!デュエル・スタート!!』





じゃんけんに勝利したささぼーの先攻でゲームは幕を開ける。




to be continued..

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