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ある日突然大腸がんになってからの徒然日記vol.5


突然のガン告知から大学病院での1回目の手術、その後の抗がん剤治療、さらに自分のガンのまさかの特性。そして現実を突き付けられた会社の対応等、同じ様にガンで頑張ってる人や、同じ様に普段健康であまり自分の身体のメンテナンスをしない方へ少しでも励みや参考になって貰えればと思って素人の大腸ガンサバイバーが書いてます。
月1程度で今までの奮闘日記を残して行こうと思ってますのでよろしくお願いします


※ 今回の内容より人工肛門での生活内容やリアルな体験者としての表現が含まれます。  
   汚い表現や不快に思わせてしまう文章等十分気を付けてはいるつもりですが、一部
   そのような箇所があるかもしれません。これが実際の体験者の声と理解の上読んで
   いただけると幸いです。

《ストマ装具交換訓練》

人工肛門て自分の意思で排便が出来ないんですよ....勝手に出てきてしまうし、当然オナラ的なものも意識せずに「ぷぅ~」とか「ぶっ」とか鳴っちゃうんです。

おしりの時とは違い、「あ!オナラでそう」とか「う〇ちしたいー」とかって感覚が無いんです。

なので自分でも突然のオナラにビックリしたり「今出てくんなーー!!」って思う事もしばしば...

それはこれを書いている今現在だから余裕を持って言えるだけの事で、実際にストマ装具交換を初めて経験した時に「それ」は起こってしまったんです....

交換方法を実際にトレーニング始める日の朝、いつも通りの朝のバイタル検診と朝食、その後の先生の朝の回診が終わると看護師さんが

「〇〇さん、今日ストマの交換やるんですけど(午後)1時頃でもいいですか?」

って聞いてくるんで、

『はい、お任せします。ずっとここにいますんでいつでも(笑)』って。

どのタイミングで交換すればいいのか何も分からないのでそう答えるしかないというか....

結果としてこの時のこの会話が後で大惨事に繋がるんです....

10時頃にリハビリの先生(理学療法士なので先生では無いのですが、看護師さんと違って理学療法士さんてリハビリの先生扱いされる事が多い)が来て病棟内のウォーキング。

身体を動かすと腸も活発になってメリメリと便が袋に出てきて袋が重い...

自分1人でトイレに行って排便をまだした事が無いのでリハビリが終わると同時にナースコールで看護師さんを呼びました。

『袋が一杯で中身を捨てたいのですが...』

「ベッドで?おトイレで?」

『今後の事も考えてトイレで捨てるやり方覚えたいんですが、まだ経験無くて...』

「じゃぁ一緒におトイレ行ってやってみましょう」

って事で一緒に来てもらい流れをレクチャーしてもらいました。
色々と言われたのですが、簡単に流れを書くと

1 まずはトイレットペーパーを手に2周くらい巻いて切った物を5個くらい作っておく
2 トイレに座って装具の口を開けて便器の中に中身を捨てる
3 中身を極力捨てきったら装具の口を開けて作っておいたトイレットペーパーで排出口
  やその周辺を綺麗に拭き取る
4 装具の口を閉じ、折り畳んで排便前の状態に戻す

こんな感じ。

そんな説明だけで出来るわけないって思ったけど、実際はやってみると説明された通りにしかやりようが無いというか....

まぁ今後毎日必要な作業だし、難しくて出来なくても困るんですがね(笑)

とりあえずこれで1人での排便は経験したので後はもう慣れるのみ。
覚えて慣れなきゃいけないこといっぱいだーと改めて実感。

11:50くらいからお昼ご飯が各部屋に配られて12:40くらいにはお昼ご飯も終わりいよいよ今日のメインイベントを待つばかり。

朝の時点では13:00頃って言ってたけど、看護師さんも忙しいですもんね。

交換するんで処置室へ行きましょうとの声が掛かったのが14:00ちょっと前くらいでいざ出発。

事前に【初めてのストマセット】みたいな一通り道具や必要な物がセットになってる袋を渡されていたのでそれを持って処置室へ入ると

ぬるま湯の入った洗面器、ガーゼたっぷり、ビニール袋が用意されていて病棟で使うカメラを持った看護師さんが1人。

看護師さんの指導の元交換作業へ入ります。

まず入院着が汚れないように80cmくらいの紐の両端に洗濯バサミが付いた紐を首にかけ、両サイドの洗濯バサミで上着を掴んで持ち上げます。

おぉ!!両手使いながらも服が落ちてこない!!画期的(笑)

次に「剥がしスプレー」なるものを装具と皮膚の接着面に吹きかけます。
(これをかけずに剥がす事も可能ですが、肌に負担がかかってしまいタダレたり荒れたりする原因になるので剥がしスプレーが1番スムーズです)

これで装具が綺麗に剥がれて自分のストマの粘膜に初めてご対面。

大きめのちょっと水分多めな梅干しみたいな印象で、ちょっと想像と違った...

だって、

「手術前にストマっていうのは腸の一部が外に出てる状態」

だとか

「最初は腫れ上がって落ち着いたら梅干しみたくしぼんでいく」

とか言われてたからもっと痛々しい物かと思って構えてたんです
なのに意外とキモ可愛らしい?(笑)感じ。

装具を外したら次はガーゼで周囲に付いた排泄物をまずは綺麗に拭き取ります。
次に弱酸性の泡石鹸スプレーを手の上にプッシュ。

泡で優しくストマとその周囲を洗浄したらぬるま湯にガーゼを潜らせて搾った物で泡諸共汚れを綺麗に拭き取ります....とその時悲劇が(泣)

なんとベンちゃんが出てきてしまったんです.....

そう、お昼を食べてその後2時間そこそこ経過したこのタイミングが自分の排便の時間帯に被ったみたいで袋の無い交換のタイミングで排便....

ノーマルな言い方をすれば脱糞とでも言えばいいのでしょうか....
最初に書いた自分の意思では排便のコントロールが出来ないというのはまさにこの事で、我慢も出来なければ止めることも出来ず、逆に気張って強引に出す事も出来ない...

ストマからにゅるにゅると出てくる物をガーゼを添えて落ちて色々と周囲を汚さないように受け止めるくらいしか出来ないんです

これ思わず笑っちゃいました....諦めの笑いって感じです(笑)

看護師さんが言うには「仕方ない事でよくある事」だそうですが、良くあっちゃ困るのはこっち

この件で自分の食事をしてから排便するまでの時間を気にするようになりました。

排便が止まったら改めて吹き直して清潔な状態にした所で看護師さんがカメラでパシャリ。経過観察の為に交換の度に状態を撮影するんだとか。

綺麗になったらいよいよ新しい装具を装着するのですが、自分は手術後まだ間もなくストマが腫れて膨らんでいる為、フリーカットタイプ(ストマの大きさに合わせて接着面のストマが入る部分を自由にカット出来る物)で合わせる必要があるとの事。

医療用のノギス(サイズを測る道具)でストマの縦と横をそれぞれ測り、それをストマの接着面にペンでマーカーをつけ先の曲がった円を切りやすいハサミでカット

『えーー!!これ毎回サイズ測ってやるの?しかも3日に1回』

って愚痴ると

「腫れが治まるまでは毎回サイズが変わるから計らないと漏れる原因になっちゃうよ。
  落ち着けば毎回計らなくても済む方法あるし、装具も4日に1回の交換の物もあるよ」

との事。

初回から愚痴っちゃダメですよね....まだ1回目経験しただけの状態ですし....反省です。

カットしたら接着面のフィルムを剥がす前にちゃんとストマが入ってフィットするか試着して、問題無ければフィルムを剥がして一気に接着。

手で上から抑えてしっかり接着するまで体温で温めます。

自分では見えない装具の下側も手鏡を借りて自分の目で確認。

少しでも接着面に「浮き」があって不安定だと出てくるアイツが漏れ出して大惨事になるので気を付けないと...

ここを惰性でやってしまって外出先等で漏れた事を想像したらここは神経質なまでに集中どころです

無事接着を確認して漏れが無い事も確認出来たら交換終了です。

次の交換は明後日。この装具は3日で交換の物らしいのですが、ストマになりたてって事もあり、あまり期間を置かずに交換しましょうと看護師さんが配慮してくださいました。

人工肛門はやっぱり原因の病気が病気だけに年配の人が造設する事の方が多いみたいで装具の交換や自分での排泄など自分の比じゃないくらい大変な思いをする方が圧倒的に多いというのを看護師さんが話してくれました。

そういうのを聞いてしまうとこの年齢でストマになって、物覚えがまだいいうちにこうなれたのはラッキーだったなと....

『いやいや違う違う、断じて違う』

ちゃんと身体をケアして健康診断とかガン検診とかやってたらそもそもが人工肛門にならなくても良かったわけで、ラッキーと思う位置がだいぶ違ってる(笑)

こういう病気になると、最悪な事にならなければ全てラッキーだと思えるんです

健康な時には考えられないくらいラッキーの価値がダダ下がりになるんですよ....大病あるあるですかね...共感してもらえる人居るはずきっと(笑)

リハビリもウォーキング出来るようになったし、自分で排便処理も出来るようになって装具の交換も覚えて...この時点で順調にいけばあと1~2週間くらいで退院の運びになりそうだと会社への連絡も怠らず早く仕事したいアピール。

その間に大事な手続きがあったみたいで、人工肛門になると障害者申請が出来るみたいで、申請出来る等級は人工肛門であれば3級。

と、言うよりもほんの数ヶ月前まで健康(と思って)で普通に働いてた自分が障害者...

別に世の障害者に対して特別偏見を持ってた訳では無かった(いや、無いつもり)ですがじゃぁ実際に自分が障害者という枠の中に入るという現実を突き付けられた時のショックは正直ありました

ショックがあったという事は、やはりどんなに偏見を持っていないつもりでもそれは自身の身ではない他人事だからなのでは無いかと....

こういう話は人それぞれの考え方があって議論をすると答えなんて出ない哲学的な話になってしまうのでそこはもう個々の感じた通りで良いとは思います。

あくまでもここでの意見は自分が当事者として感じた、考えた事を文章にしてるだけなので広い意味で参考までにって事でお願いします(笑)

だってどんなに障害者の事とか介護の事とか当事者になって悟った様に話しても、究極の話そんな当事者になること無く人生送れるのが1番なんですよ

ある時に分からない健康のありがたみ
無くなってわかる健康のありがたみ

これに尽きます

まぁ仮に申請を嫌がったとしても、ストマの装具を今後ケア用品業者から購入するのに公費(もちろん皆さんが収めてくださっている税金です)での購入をする為にも申請は必需なので受け入れるしかありません。

装具の公費給付条件

公費を使わず全額自費なんて出来ませんから...

病院から出たら今までとは違った生活になるんだろうなぁと頭では分かってはいるけど、実際にどう変わってどんな生活になるのか全く想像もつかず...

いやむしろもっとお気楽に、生活は違くなっても生活環境は何も変わらず元に戻れるとこの時は本気で思っていました

退院して現実を突きつけられるまでは....

                                                                                                         つづく

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