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国別対抗戦:必要な光(LV雑感)

今シーズン最後の公式戦、国別対抗戦が終わった。
今回の大会は、テレビ朝日さんから大会期間中の公式練習を含めた映像配信とエキシビションのライブビューイングが用意されていて本当に有り難かった。CMも解説もなくただ延々と現地のリアルタイム映像が流れていくだけだけど、オタクにとってはこれが一番ベストの形。喜んで課金する。

後で見た地上波の放送には素材に様々な装飾を施されていて(※言葉を選んでいる)、私のような系列の人間がターゲットではないと重々承知してはいるけれど、他方一体どんな階層を狙っているのかは永遠の謎に思ってしまうけども。

配信はともかくLVは「やります」と言われても即行こうと決断は出来なかった。この一年で「家で見るのが一番楽だし安心だし」というメンタルに書き換わっているから…と思っていたけど試合中継を見ていたら正しく騒ぐ血よ。まんまとチケットを土曜日に購入。


コロナ関係なく映画館に行くのは相当久しぶりだった。
シネフロは1席飛ばしじゃなく普通に全席使っていくスタイルなんだなと知る。両隣は知らない人が座ったけれど、自分も含めて全員飲食せずマスクを取ることが一度もないままの3時間だった。飲食中の会話はダメということであって飲食するなって話じゃないんだけどね、念には念を押すスタイル。急病になったとしても病院は簡単に受け入れられない現状を体感した人間としては「オール疾病傷害絶対回避」なのである。死なないまでも病院に面倒見てもらえず自宅で苦しみ続けるしかないなんて絶対ヤですよ。感染対策って医療機関と自分達自身の両方を守るためのものだと思うんすよマジで。

感染対策はともかく。LVはNHK杯などで色々体験していたけど、そういえば映画館でのLVは初めてだった。映画館でのLVは当然のように音がよく当然のように画面が大きい。音声に関しては会場にいるのと変わらない臨場感を味わうことができた。会場では音が上から降ってくる感じなのがLVでは前から来る感じになる違いぐらい。フィギュアスケートを会場で見るときには、演技と音の両方を味わっているんだなって改めて気づいた。自宅にもでかいテレビと音響システムがほしいと思った。もちろんそんな予算はない。


照明の美しさと、選手の肉体の美しさがスクリーンから強く伝わってきた。瞳の輝き、波打つ筋肉、衣装のストーンや生地の煌めき、ライトが反射する氷に描かれた幾つもの軌跡、本当に嬉しそうに滑る選手の表情がどれもとても輝いていた。

必要な光だと思った。
もちろん光というものは感じることさえ出来れば其処彼処に溢れている。エンターテイメントのみが持つわけではない。けれどエンターテイメントにしか放てない光、それでしか救うことのできないものがあると、大会を通じて思った。

羽生の「花は咲く」で場内の観客席からはスマートフォンのバックライトを利用した光が広がっていた。他の選手が滑った時に、同国の選手達が応援で利用しはじめたものが場内に自然発生として伝わったものだった。
観客にもまた、彼等にしか放てない光があった。


「自分が滑ることによって、何かの意味をちゃんと見いだしていければ、それは自分が存在していい証しなのかな」

スポーツを含めたエンターテインメントが、不要不急のものと見做され延期や中止を強いられてきたこの一年。トップアスリートであっても自身の存在意義を問わざるを得なかったということか。人の移動で感染拡大に繋がるなら(試合に)出ない方がいいのではないか。そんな葛藤はシーズンを通してずっと感じられた。

彼に限らず、イベントやエンタメ、観光に関わる業界の人達で自分達の仕事、自分の存在意義を見失いそうに「ならなかった」人がどれだけいるだろう?私だってそうだ。

それでもやっぱりあなた(達)は私(達)の光なのだと、認識を何度目かわからない回数で改めている。
なくていいものじゃないって思った。
自分達の日々の小さな仕事もたぶんそうなのだろう。

存在していい理由を探して、それが別の誰かの大きな負担にならないように、出来る対策を全部して慎重に動いていく。
正解の見えにくい時代の生き方を探してる。
次のシーズンは今季よりもどうか少しでも元の光に戻れるようにと願う。
それが五輪イヤーだというのがまた実に。


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