エブタコ

NHKラジオ第1で毎週日曜日放送の、らじらーサンデーのコーナーである、確認男を小説にし…

エブタコ

NHKラジオ第1で毎週日曜日放送の、らじらーサンデーのコーナーである、確認男を小説にしています。確認男はらじらー内で放送されたものから、創作まであります。 よろしくお願いします。 twitter:@sasakikikik

マガジン

  • 小説 確認男 らじらー

    らじらーでハマった即興劇を文章化してます。

  • 居酒屋 どりーむ

最近の記事

関西男 できない恋愛相談編

なんか気まずい。 この気まずさは、初対面でお互いに話したいけど、何を話していいか分からず、沈黙を破れずにいつ気まずさとは違う。どこか避けられている気がして、無理に関わろうとしないほうがいいのかと思ってしまう。 バイトの帰り道。 自然と仲良くなって、お互いに気を使わなくなったバイト仲間のみなみちゃんと一緒に帰っている。つい最近まで、バカな話をして、笑い声が絶えなかった帰り道と同じはずなのに、今日は違う道を帰っているみたいに静まり返っている。 俺がいつもみたいに今日あったバイト

    • 居酒屋 どりーむ⑦

                       7  俺が一番避けようとしていた事態が目の前で起きた。現在、山下は俺の目の前で、ひたすら泣きじゃくっている。  だから必死に止めたんだ。  駅での修羅場の次の日、俺は黒子さんから教えられた、林のアパートの前で張り込んでいた。一度林の部屋をピンポンダッシュして、在宅していることを確認した。林のプライベートの邪魔を少しだけできて、それだけでも若干の達成感があった。  紗華のアパートの時と同様、林のアパートの向かいにも駐車場があったので、俺は

      • 居酒屋 どりーむ⑥

                          6  8月になって、大学の前期の授業が終わり、無事にテストも終わった。多分、俺の成績も終わった。それもこれも、俺に張り込みをさせた林が原因と言っても過言ではない。  部活漬けの夏休みの俺は、肌の黒さに限界が来て、山下に、「竹内の腕、ミルフィーユみたい」と引かれたくらいだ。  埼玉が暑さに本気を出して、1ヶ月経とうが、埼玉生活6年目だろうが、この暑さには慣れず、耐えられずで、夏バテ気味だ。どりーむでの賄いは、メニューにはないが、冷やし中華

        • ねっとり男 寿司と小説編

          「えっすごい、えっ80貫なんのネタ食べたの」  学年の委員会が終わって、自分たちの教室に戻る時に、同じクラスで、同じ体育委員の一実と2人きりになった。  ふいに昨日テレビでやっていた大食い選手権の話題になり、俺の回転寿司のベスト記録を伝えると、一実は目を丸くして、口を開けて驚いた。  80貫食べたことは、嘘ではないが、ちょっとしたトリックを使っている。  80貫は一見多いように見えるが、実際に俺が食べた寿司の皿の数としては、40皿だ。寿司の一貫が、握り寿司2個を指すか、1個

        関西男 できない恋愛相談編

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        • 小説 確認男 らじらー
          24本
        • 居酒屋 どりーむ
          7本

        記事

          居酒屋 どりーむ⑤

                            5  私の21歳は、どりーむで迎えた。まさかプレゼントを貰えるなんて思ってもいなかった。  後日、竹内からじゃがりこを貰う予定ではいたが、予想外の坂本さんからのプレゼント、まさかのシャンパンには驚いた。私が酒を飲めることを知られていたかは知らないが、すごい嬉しい。人生でこんなにも早くシャンパンを口にできるとは思わなかった。ワインですら、スーパーの安物しか飲んだことがないのに。  黒子さんには私の化粧事情を見抜かれていた。さすが黒子さんだ。

          居酒屋 どりーむ⑤

          居酒屋 どりーむ④

                          4  暑い。  夏になるたびに俺は毎回思う。なんで埼玉にいるんだと。千葉も暑いのだろうけど、埼玉は暑いと言われる限りは、埼玉の方が暑く思える。それこそ千葉よりも、山下の実家の新潟なんかの方がよほど涼しいんじゃないかと羨ましくなる。冬は豪雪と極寒の地でも、夏は軽井沢のような避暑地になりえるんじゃないかと、想像が膨らむ。  今日も家からバイト先までの短い距離でも俺はTシャツを汗で濡らしながら、どりーむに着いた。どりーむに入った瞬間に、外との温度差

          居酒屋 どりーむ④

          居酒屋 どりーむ③

                     3  6月も中盤になり、埼玉では早くも日差しが強まり、私は嫌でも本格的な夏の到来を認めざるをえなかった。  大学に入学するまでの18年間、新潟に住んでいた私からしたら、6月で、うわー夏だなー、なんて思うことは快晴になったときくらい。もはや新潟では快晴が少ないので、6月で埼玉同様の夏を感じることはほぼなかったと言える。新潟での夏と埼玉での夏を一緒の「夏」という字でまとめてはいけない気がする。夏生まれの私でも、夏の埼玉は生きづらい。  どりーむで働き

          居酒屋 どりーむ③

          確認男 バスと自転車編

           長年愛用していたクロスバイクが壊れた。  大事に使っていたつもりだが、ある日乗ろうと思ったらフレームが割れていた。長年愛用していた物が、ある日急に壊れる感じが、生き物と変わらないなと悲しくなった。とはいえ、自転車は生き物とは違う、修理をすると生前動揺の輝きを取り戻し、復活する。  修理をしようと自転車屋に持っていったら、「2万はかかる」と診断された。2万も修理に出すなら新しいのを買おうかとも思ったが、30分自転車漕いて高校に行くのもそろそろ辛かったので、バス通学に切り替

          確認男 バスと自転車編

          確認男 いきつけのカフェ編③

           カランコロンカラン。  重たいドアを開けると、ドアの上に付けられた鐘がなる。聞き慣れたもので、どれくらいの強さでドアを開けると、綺麗に鐘の音が鳴るか覚えたくらいだ。  俺がレジの前に立つやいなや、真夏が、「いらっしゃいませー いつものでいいですか?」と聞いてきた。  まさかの真夏からの問いかけに、「あっ、はい。......覚えててくれたんですか?」と思わず確認してしまった。確認しなくとも、いつものでいいですか? と聞かれている時点で、俺のことは認知されているはずなのに。

          確認男 いきつけのカフェ編③

          確認男 握手会編

           俺は天にも登る気分を味わっていた。  楽しみを目の前にして、すでに幸福感で満ち溢れている。  抽選が当たってからの、ここ数ヶ月、このときの為に行きていたと言っても過言ではない。  俺は今、握手会に来ている。なんと言っても、推しメンのみなみちゃんの握手会だ。  今までは、ライブくらいしか現場に行ってなかったが、間近で、みなみちゃんと話してみたいという欲求が高ぶり、俺はついにみなみちゃんの個人握手会の抽選に申し込んで、それが見事当たった。  当たった日から今日までの間、どれ

          確認男 握手会編

          確認男 行きつけのカフェ編②

          「いらっしゃいませー!」  絶え間なく聞こえてくる入店のベルが聞こえてくると同時に俺は声を飛ばした。客に向かって言ってると言うより、入店のベルに対して、もうこれ以上鳴らないでくれと念を込めて言っていた。  咲に50万を請求され、その時すでにバイトはしていたが、俺は時給がよく長い時間働ける店を探した結果、この居酒屋で働き始めた。  店長も俺の事情を話すと、すぐに時給を上げてくれたり、休憩時間にも給料を出してくれたりしたから、その恩返しのつもりで働いている。  実際に稼げるし、

          確認男 行きつけのカフェ編②

          確認男 行きつけのカフェ編①

           カフェにハマった。  すごくコーヒーにこだわりがあるわけではないが、カフェでコーヒでも飲みながら小説を読むのが好きになった。  今までは、休みの日は家で、アマゾンプライムでドラマをイッキ見したり、プレステでウイニングイレブンを死ぬほどしていた。  しかし、大学4年になり、就活に追われ、1日で何社も面接をはしごしたりした。その時に、カフェで待機することが自然と増えた。  着慣れていないリクルートスーツを着て、平日の昼間からカフェで時間を潰している時に、窓の外で走っているタ

          確認男 行きつけのカフェ編①

          確認男 交換日記編

           HRが終わったら、皆一斉に教室から出ていく。  そんなに慌ててどこに行くんだと俺は、教室のドアの混雑が緩和されるまで、自席に座って、その様子を眺めている。他の人よりも余裕がある男を演じているわけではないが、そう思われても仕方がない。  さっきまで教室に響いていた皆が発する声や、足音が全て廊下に流れ始めた。そろそろ行くかと、机の横にかけていたカバンに手を伸ばそうとしたら、スカートから伸びた白い脚が目に入った。  脚が目に入った瞬間、身体をビクつかせてしまったが、俺は一呼吸

          確認男 交換日記編

          確認男 居残り掃除編

          「ちょっとサボってないで、掃除しなさいよ」  閑散とした教室で、恵(めぐ)がほうきを片手に口をとがらせた。 「なんで、お前なんかと2人で、居残り掃除なんかしなきゃいけないんだよ」  居残り掃除とだけで、ただでさえダルいのに、横に模範囚がいると、余計にダルさが増した。  特別汚くないし、先生も別に細かくはチェックしていないから、黒板さえ綺麗にしておきゃなんとかなるのに、恵は生真面目を発揮して、懸命に掃除をしている。 「な、何でって、も、元はと言えばあんたのせいじゃない!」

          確認男 居残り掃除編

          確認女 学校の帰り道編

          「あー、今日も授業疲れたね」  学校の帰り道。隣を歩く真夏に話しかけた。  つい先週までは、桜で華やかだった帰り道もすでに思い出、桜を見るまでは普通だった道が葉桜のせいで寂れて見えた。  でも、そんな桜の帰り道を真夏とは3年連続で歩いた。1年の時に同じクラス、隣の席になったのをきっかけに、それから3年間同じクラスで、すごい話が合うのと、家の方向が同じだから、ずっと一緒に帰っている。 「ねー。大変だったねー」  真夏は何の感情も込めずに言った。  けど、俺と真夏の日常会話だ

          確認女 学校の帰り道編

          長編確認男案

          おはようございます。こんにちは。こんばんわ。エブリバディタコバーガーことエブタコです。こうやって改めて言うと、ホント人外のRNにしたことを後悔します。 さて、いきなり本題ですが、タイトルにもあるように確認男の長編に、挑戦しようかと思っています。(韻を踏んだのは偶然です) 自分の悪ノリでなんとなく書き始めた確認男でしたが、創作確認男までやってしまったとなると、次は長編確認男なのかなと思っていました。 そうは思いながらも、長編を書くとなるとモチベーションはなかなか湧きません

          長編確認男案