契約結婚、そしてシングルマザーへ「わたし、産みたい」にまっすぐな女性の実践の記録

2018.6.4追記

2018年6月にも新しい展示が開催されます。詳細は以下をご覧ください。

かぞく展HP
https://kazokuten.wordpress.com/

――子どもを産みたいが、結婚はしなくていい。

私の周りにそんな女性が増えている。

女性が経済的に自立できるようになってきたことや、結婚に“メリット”を感じないことなど、理由は人それぞれだが、増えている。

そして私も、そんな一人だ。

私の場合は、“子育てを一緒にしたい相手”と“遺伝子をもらいたい相手”、“セックスをしたいと思う相手”がすべて異なる、というのが障壁になって結婚に踏み切れない。

端的に言えば、遺伝子をもらいたい相手とは一緒に暮らせないし、子育てを一緒にしたい相手とはセックスができないし、セックスをしたいと思う相手は結婚にまつわる要件を満たさないのである。

しかし、子どもはどうしても欲しい。

過去に書いたnote『ユニークな遺伝子ください』でも「好きな男に遺伝子だけもらって自分で育てればいいではないか」と主張した。

でも、あれから9カ月経った今も、色んな事情で妊娠が叶っていない。

やっぱり無理なのだろうか。
「子どもを産みたい」というシンプルな願いだけでは、出産することはできないのだろうか。

そう思っていた矢先、“生きる理想”が目の前に現れた。

彼女の名前は、櫨畑敦子(はじはたあつこ)。
彼女と知り合ったのは、3カ月ほど前。Facebookで、先の『ユニークな遺伝子ください』を見つけてくれ、「すごく共感します」と、コメントをくれたのがはじまりだった。

そして先週の火曜日に初めて会って話したのだが、考え方に共通する部分が多いこと、また、私が考えていたようなことを実践に移してしまっている、ということに驚き、そして感動した。

ものすごく簡略化させて話すと、彼女のストーリーはこんな感じである。

「子どもを産みたい」と思ったが、「“子育て”=“結婚”」という形に違和感を抱き、子育てを軸とした共同体として契約結婚を実践。半年ちょっとの契約結婚が破談に終わった後は、トルコ人男性とお見合いをしたり、「子育てしたい」という想いが一致したゲイカップルとの人工受精をしたりと、本当に色んな方法を試して子どもを授かり、7月で妊娠8か月目を迎える。出産後は関西にある長屋で友達と一緒に子どもを育てていく計画なのだそうだ。結婚していないから旦那はいない。それでも彼女は不安の影を一切見せず、むしろ生まれてくる“新しい人”の日々の成長や、これからの生活に心躍っている、という感じだ。

彼女に関して紹介したいエピソードはいくつもあるのだが、私が特に印象深かった話を1つだけ紹介しておきたい。

契約結婚をした際に1年更新制にした、と言った彼女に、野暮な質問だなと思いながら「何で更新制にしたんですか」と、一応聞いてみた。すると、彼女はあっけらかんとこう答えた。

「だって先のことなんてわかんない。ローンと同じ。先の見えない時代に、結婚みたいな返せるかわからん膨大なものを一挙に背負えない。期限を決めたら、良い関係をつくっていこうとお互いに努力するやろうし、個人を尊重できる気がする。良いたとえかわからんけど、ケータイとも似てる。今から死ぬまでDocomoのiPhoneがいいかもわからんくない? 状況が変わってSoftbankが良くなるかもしれんし、そもそも30年後にDocomoがあるかもわからんやろ?」

そう言って「ふふふ」と笑う彼女のことを、私はすっかり大好きになってしまった。

そして、思った。
この人を求めている人が、世の中にたくさんいるはずだ。

鼻息を荒くした私は、思わず言ってしまう。

「櫨畑さん、展示をやりましょう」
「いいね」

2つ返事だった。そんな約束をしてから連日、お互いに連絡を取り合い、会って話し合いを進め、様々な展示のほか、トークショーの企画がここ数日で進んでいる。

ドキュメンタリー映画監督の根来佑さんや『野宿野郎』のかとうちあきさん、ポリアモリーの専門家 深海菊絵さんなどの協力を得られることがすでに決まっており、まだまだゲストや展示に協力してくださる人が増えそうだ。

新しい家族や出産、恋愛の形を実践している人たちを見て、きっと勇気づけられる人がいる。今までオンラインの文章でしか表現できなかったことがリアルな場で実現することに、私は連日興奮を覚えている。

しかし、1つだけ問題がある。
会場が決まらないのだ。

櫨畑さんの出産予定日は、9月1日。準備期間を考えてできるだけ尺をとりたいのだが、実施するならば7月末~8月上旬がギリギリだ。

出産後の開催、という手もなくはないのだが、産後どのくらい経てば櫨畑さんの生活が安定するかわからないし、産前の“今ここ”の気持ちや想いを形にしておく必要がある気がする、というのは、私も櫨畑さんも通じている。

ここ数日で目ぼしい会場を何軒か回ったのだが、あいにくと言うべきか、私はフランスへ1週間、彼女は今月をもって大阪に帰ってしまうので、足で稼ぐにも限界がある。

無謀なことを言っているのはわかっている。だけど、私はこの企画をこのタイミングでどうにか形にしたい。

「産みたい」けど、悩んで諦めてしまう人たちと一緒に考えたいから。
「産みたい」に、まっすぐな人たちと話すことが大切だと思うから。


(追記)2017.7,1

おかげさまで会場が決定しました!以下、イベント詳細です!

●タイトル
「わたし、産んでみたい」

「産みたい。」そう強く思う瞬間がとうとうきた。どうすればいいか、ものすごくたくさんのことを考えた多くの人に相談したし、いろんな集まりにも参加した。誰かと対になって核家族で子育てすること「結婚」という一生ものの約束をすることわたしには到底できない、と思った。じゃあどういうやり方があるのか?とにかくいろんなアタックをしてきた、一人の女性の、実践の報告です。
●会期
7月25日(火)〜7月29日(土)
11時-19時
●場所
東京都豊島区南長崎6-1-3
ターナー色彩株式会社
ターナーギャラリー3階

■メインテーマ
・多様な恋愛観
・血縁家族ではない「家族のようなもの」
・結婚、じゃなきゃいけないの?
・妊娠、出産のあり方・これからの子育てとコミュニティ
※各テーマについて 1 本ずつトークなどの特別企画を立てる予定。

■コンテンツ
・妊娠経過の写真と動画の展示
・妊娠出産に伴い描いた絵本
・関連書籍の展示や物販等(■展示 の欄を参照ください。)
・トークイベント(公開座談会)
・事前インタビュー(映像または音声)の展示

■トークイベントゲスト
〇ドキュメンタリー映画監督
根来佑さん
https://twitter.com/yunegoro

〇ミニコミ「野宿野郎」
編集長:かとうちあきさん
『結婚のようなもの』
https://twitter.com/kanegonn

■展示
〇深海菊絵さん
著書(平凡社新書):「ポリアモリー複数の愛を生きる

■協力依頼
〇写真家 井口翔平さん

■企画に関わる人
総合ディレクター
佐々木ののか
「家族と性愛」を専門とする、フリーランス書く人。
ライター業を生業としているが、最近は作品制作や自身の活動に軸足を置く。


今回取り上げる人
はじはたあつこ大阪在住 31歳 女性
17歳で多膿疱性卵巣症候群(PCOS)と診断され妊娠は諦めていたが、会社員を経て保育士になりどうしても妊娠・出産がしたくなる。「どういう子育ての方法があるか?」と周囲を巻き込みながら、実践を続ける女性の一人。契約結婚や人工授精、多くのアプローチとお見合いを経て、とうとう授かった彼女の妊娠に関する展示を行う。


私は“家族の形”について、今までたくさん考えてきた。
これからもきっと、考えていくのだと思う。
たくさん悩んできたけれど、家族にまつわる悩みや疑問を抱えているのは、多分私だけじゃないはずだ。

私は、あなたと考えたい。
私たちと一緒に、いろんな新しい家族の形を見てみませんか。



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コメント4件

これ、いいフレーズですよね…!わたしも気に入ってます笑
初めまして。新しい家族のカタチ。すごく共感する部分が多いです。でも女性が段々男性を必要とすることなく子育てが出来る。女性主導で、男性はどうなってしまうのか?櫨畑さんが「男の子」を生んだ時、どんな風に「教育」していくのか、という方に興味が湧きました。
応援します!今ドイツで働いているのですが
、こちらでは若い人は特に「結婚=古い制度」と考えてる人が多いです。私も子供が欲しいから結婚焦らないとと思ってた時期がありましたが、こちらに住んでからそういう思いはほぼ、なくなりました。子供を産むにも色々な形があって良いというような社会になれば良いなと思います。
勇気でました!
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