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環境が変われば読む本が変わる。読む本が変われば考えが変わる。(ササキノゾミ)【#3:今月のテーマは「今年読んだ本ベスト3」】

この間12月になったと思ったら、もうクリスマスも終わり、あっという間に年越しが近づいてきました。あぁなんて早い…!!さて、今回のテーマは「今年読んだ本ベスト3」ということで、チーム長谷川の佐々木がお送りいたします。

私は昔から、人に勧められた本というのはあまり読んだことがありませんでした。いつも、図書館や本屋へ行って小一時間ほど入り浸り、気になった本を持ち帰って読むというスタイル。その結果、冊数だけは重ねたものの、読むジャンルが偏り、他の人と感想を共有し意見を交わすこともなく、さらにここ数年は忙しさにかまけてあまり読書をできてなかったように思います。昔は図書館に入り浸っていたのが、だんだんと行かなくなり、少しづつ読書をする時間が減っていきました。その結果、なんと今年読んだ本はたったの30冊ほど…これではいけない!!と思い、来年からは意識的に読書時間を増やしていこうと思っております。
それでは、本題。今年読んだ数少ない本の中からではありますが、ベスト3について書いていこうと思います。

『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎 


人に勧められた本を読むことのなかった私ですが、今回、チーム長谷川のアシスタントの先輩、ナツコさんのオススメの本を読んでみました。

舞台は1937年の東京。世の中や生きる意味について考え始めた主人公の少年・コペル君の成長物語です。

やはり名書というだけあって素晴らしい本でした。少し理想主義ではあるかもしれないけれど、何を大事に私たちは生きていくのかということを改めて自分に問い直してくれる本でした。

主人公であるコペルくん本人の気づきや体験にも、コペル君のおじさん(同書では、彼がコペル君にノートを書き、さらなる成長のきっかけを与えるという構成になっている)のノートにも、私たちが生きていく上で大切な要素が多く語られていました。労働について、発見について、人間関係について…
たくさんの要素の中で、すでに懐かしいと感じられるものもあれば、今この瞬間に共感できるもの、まだ私には理解はできてもピンとはこないものもありました。
その中でも一番今の私が共感できたのは、物語序盤の「天動説」の話だったように思います。

この「天動説」のくだりでは、

『コペルニクスのように、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中心を動いていると考えるか、それとも、時運たちの地球が宇宙の中心にどっかりと坐りこんでいると考えるか、この二つの考えというものは、実は天文学のことばかりではない。世の中とか、人生とかを考えるときにも、やっぱりついてまわることなのだ』

とし、地動説と天動説を、人生や世の中にも当てはめて考えています。その中で、

『子供のうちは、どんな人でも、地動説ではなく、天動説のような考えをしている』

とし、成長する中で地動説のような考えに移行していくというのもの。そして、大人になるにつれて考えが地動説のように行こうしていくのはあたりまえと解きつつも、しかしながら完全に自分中心の考え方を抜けきっていくというのは実に難しく、まれであるということもまた説いています。

私がかすかに地動説に目覚めたのは遅まきながら高校生の頃だったように思います。本書にあったエピソードと似過ぎていてびっくりしたのですが、主人公がデパートの屋上から銀座通りを見下ろした時の心境ーー『しかし、この下には、疑いもなく何十万、何百万の人間が思い思いの考えで、思い思いのことをして生きているのでした。』ーーと同じようなことを、マンションの屋上から町を見下ろしながら考えていました。
ここから見える明かりの下に、同じ町に暮らしているけれど私は知らない人々がたくさん、たくさんいて、みんながそれぞれにそれぞれの生活を持ち、毎日を暮らしているのだという実感。当たり前なその事実を痛感した時、安堵感と、それから恐怖を覚えました。私もその大勢の中のひとつでしかない、という事実にも。これが私が『地動説』を知る最初のきっかけだったと思います。
その後にも多くの経験がありました。
嫌いなあの人にも、ただのクラスメイトにも、今日ここまでにつながる毎日があったこと。
親を「親」ではなく一人の人間として見れるようになったこと。
(当時の自分の言葉では、『父も母も、親だけれど、その前に一人の人なのだと気付いたあの日から、少しづつ、みんな大人になっていく』と表していました…昔の自分の日記に書かれていた言葉です。笑)

自分を中心に回っていた世界が、少しずつ自分を部品とした世界になっていく。少しずつ、『天動説』から『地動説』に近づいていく自分がいる。
そのことが嬉しいのか寂しいのかはよくわからないけれど、その変化を実感するここ数年です。

きっと数年後に読んだらまた違う感想を抱くだろうと思われる本書。ぜひ幾度も読み返してみたい本ということで、ランクイン。

『入社1年目の教科書』  岩瀬大輔 


こちらは、チーム長谷川の大学生インターンの丸山くんに貸していただいた本です。
インターンとして心構えを身につける上で、ということでおすすめしてもらったのですが、この手の自己啓発本を読んだことのない私にとっては、「なるほど!!」の連続でした。全ての項目が心に残ったと言っても過言でないほどに感化されましたが、読了後の一番の、そして最大の感想は、

「若手」。それを言い訳ではなく武器として使っていこう。

私のチーム長谷川の中での特性、それは「若手である」ということ、これに尽きます。

『若さは特権です。若いから許され、若いから可愛がられるのです。』(本書より)

インターンを始めてから毎日のように感じるのが、『若さ』の特権です。大学 1年生、19歳。その若さを存分に活かした形で私はチーム長谷川にいれていただきました。ほぼ若さだけが取り柄だと言っても過言ではありません。若いうちから、将来について考えていること。この歳でこの環境に身を置いていられていること。この2ヶ月間、それはいつも私の強みとして捉えられてきました。しかし今、自分は若いということにあぐらをかいていないだろうか、と感じています。たまたまのチャンスを掴み、チーム長谷川という素敵なチームの元で働かせてもらっている、この環境を当たり前だと思ってはいないだろうか。若さにかまけて努力を忘れていないだろうか。本書の『新人であることを理由にして、お客様気分に浸っていてはいけません』という一文にドキッとしてしまった自分がいました。若手であるということを言い訳に使ってしまっているような気がしました。
「若さ」は確かに強烈な武器になります。しかしもちろんそれは有効期限つき。その有効期限の中で、いかにこの武器を使いきり、なおかつ「若さ」の武器を失った時に別の武器を手にしていられる状態になっているか。そこが大切だと私は思います。この大切な時期を、いかに有効に使っていくのかについて、再考させられた一冊でした。

もう一度書きます。

「若手」。それを言い訳ではなく武器として使っていく。


『氷点』『 続・氷点』 三浦綾子 


ラスト3冊目はこちら。三浦綾子さんの『氷点』
すでに何度か読了している本で、最初に読んだのはおそらく中学校の頃だったと思います。今年読んだのは、確か上京してくる前の冬でした。
本書のストーリー自体は私にとってあまり共感できるようなものではありませんでしたし、本書でとりあげられている「罪」についてはまだ考えられても、「原罪」についてはいまいちピンとこない部分も多くありました。
ではなぜ、ランクインしたのか。
それは私に、「赦し」について考える機会を与えてくれたからです。
私はもともと、人を赦すこと、裁くこと、などに興味があり考えることも多かったのですが、今回、何度目かの読了にして初めて、本書最大のテーマである「赦し」について、熟考したように思います。

人はそもそも、心から憎んだ人を赦すことはできるのだろうか?

素朴な疑問ですが、この問いについて悶々と考えました。結果からいうと、答えはまだ出ていません。
まず最初に、心から憎んだ人を赦そうと思えるのか、という点から私の疑問は始まりました。確かに誰かを憎み続けるのはとてもエネルギーのいることです。でも、それなら憎い人やそれにまつわるすべてのことから距離を置いて過ごすのが一番の得策ではないのか?わざわざ辛い記憶を掘り起こしてまで、赦そうという発想になるのか?そして本題、例えば自分が前に進むためにその人を赦そうと思ったところで、心から赦し、相手と自分を解放することはできるのか?
また、逆に赦したくないと思っていても、時の流れがその憎しみを風化させてしまうこともあるのだろうか?赦して”しまう”ことはあるのか?

疑問は尽きず、読んでは考え、読んでは考えを繰り返しながら、最後までなんとか読み進めました。
受験後の時間を持て余している時期だったのもあって、じっくりと時間を費やすことができました。
考えて考えて、結局結果は出ませんでしたが、この考える過程に多くの意味があったと私は思います。こんなにも考えるきっかけを与えてくれた、何か一つのことを熟考することを思い出させてくれた、ということで本書を最後の一冊に選ばせていただきました。

今回選んだのはどれも毛色の異なる3冊でしたが、来年はさらに様々なジャンルの本に挑戦していこうと思います。知らないジャンルの本を読み、新しい考えに触れ続けることで、常に自分をアップデートしていけるように!

それではみなさん、よいお年を。

次回は年明けの更新になります!最近マッチョイズムに目覚めたチーム長谷川の丸山くんがお届けします♪ 
【スタッフ募集】チームでは企画・編集・ライティングのメンバーを新規で募集しています。ご興味ある方、下記のメールアドレスにご連絡いただければと思います。学生歓迎です。obaramitsufumi@gmail.com


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