【ミャンマーで軍隊のクーデター。何故、市民を殺すのか？　邦人ジャーナリストも刑務所に・・。　我々は3本の指で祈るかないのか。】
　ミャンマーでは２月１日、国軍がクーデターを起こし、軍事で権力を掌握しました。
　かつてビルマと呼ばれたミャンマーは、１９６２年から２０１１年まで軍事政権が国を支配し、恐怖と残虐行為によって人々に自分たちの絶対的権力を誇示していました。　
　しかし６年前、変化の希望が生まれた。ノーベル平和賞受賞者で元政治犯のアウンサンスーチー氏（７５）が率いる国民民主連盟（ＮＬＤ）が選挙で圧勝し、ミャンマー初の文民政府が誕生したのです。

【しかし、２月１日に状況は一変した】　
国軍がクーデターで権力を掌握し、スーチー氏を逮捕したのです。
インターネットは遮断され、ニュース放送局の放送も中止されました。軍営ニュース放送局の司会者は、ミンアウンフライン最高司令官（６４）が国家の権力を掌握したと発表しました。
　国営英字紙「ザ・グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」が３日に掲載した「最高司令官が政府の会議で演説」との大見出しは、ミャンマーが少なくとも向こう１２カ月間は軍事政権下に逆戻りしたことを示唆しています。
　国軍は、２０２０年１１月の総選挙で大規模な不正投票があったと主張することにより、政権奪取を正当化したのです。
　この総選挙は民主的に実施され、スーチー氏率いるＮＬＤが再び圧勝しており、国軍が支援する最大野党、連邦団結発展党（ＵＳＤＰ）が民主的に政権を握れるかもしれないという一部の軍関係者の望みは打ち砕かれた形になっていたのです。　しかし、アナリストらによると、要するに今回のクーデターは、大半のクーデターがそうであるように、「支配力と尊敬を失いつつある」と思っていた最高司令官の軍事権力と個人的野心によって引き起こされたのです。
ヤンゴンに拠点を置くアナリスト、リチャード・ホーシー氏は「これは大統領になることを望みながらなることが許されなかったアウンサンスーチー氏とミンアウンフライン氏の２人の対立だ。そしてミンアウンフライン氏は、国軍や国家の利益よりも自身の個人的野心を優先した」と語っています

【「タッマドゥ」とは？　ミンアウンフライン氏とはどのような人物なのか？】　
ミャンマー国軍の正式名が「タッマドゥ」である。
この国軍についてまず知っておくべきことは、国軍は決して政治的権力をあきらめたわけではなかったということです。それは、今から約１０年前、国軍の幹部らは、軍の権限を維持しつつ、選挙の実施、経済の自由化、半民主主義への移行を認める計画を立てました。
　「２００８年制定の現行憲法」では、国軍は議会議席の４分の１を割り当てられ、憲法改正に対する事実上の拒否権を有しています。また、国防省、国境省、内務省の主要３省に対する軍司令官らの支配権も維持されました。　　　　ミンアウンフライン氏は、民政移管が始まった２０１１年に最高司令官に指名され、ミャンマー西部に住む少数派イスラム教徒ロヒンギャに対する暴力的行動を指揮していた。２０１６、１７年に行われた弾圧により、約７２万人が隣国のバングラデシュに逃れているのです。
　国連の調査団は、ミャンマー国軍のロヒンギャに対する攻撃は「集団虐殺の目的」で行われたと指摘し、国軍は集団性的暴行、拷問、放火、超法規的殺害など、数々の恐ろしい罪を犯したと非難。しかしミャンマー国軍と軍政府はこれを否定し、自分たちが標的にしているのはテロリストだと主張しているのです。
　米国は２０１９年にロヒンギャに対する残虐行為に関連する重大な人権侵害を理由にミンアウンフライン氏に制裁を科した。また国際司法裁判所（ＩＣＪ）ではロヒンギャに対する迫害をめぐる裁判が続いている。
さらにミャンマー国軍は非常に裕福で、ヒスイやルビーの採掘、たばこ、ビール、製造、観光、銀行、輸送などの産業に関連する巨大な企業群を管理しているとも報じられています。

【スーチー氏との関係崩壊を機にクーデターを決断】　
アナリストらによると、スーチー氏とミンアウンフライン氏の関係は、２０１５年にスーチー氏が政権を握った時から悪かったが、最近さらに悪化し、両陣営の間の連絡が途絶えたと考えられていた。
　スーチー氏は、ロヒンギャ少数民族の危機を非難しなかったことで世界の不興を買ったが、国際司法裁判所において集団虐殺の容疑から国、そして国軍を守る姿を見せたことで、選挙を前に国内での支持が高まったのかもしれないのです。　軍司令官たちは、スーチー氏の持続的な人気を過小評価していた可能性があり、国家運営におけるスーチー氏の並外れた役割を警戒していたとアナリストらは指摘しています。
　国軍が起草した憲法は、もともとスーチー氏の権力を制限する目的で作られた。同憲法には、外国籍の家族を持つ人の大統領就任を禁じる条項があり、英国人男性と結婚しているスーチー氏は大統領になれなかったのだ。　
　そこで、この条項を回避するためにＮＬＤは国家顧問のポストを新設。それにより、スーチー氏は事実上の国の最高指導者となり、軍司令官らの想定を上回る権力を手に入れたわけです。

【６月に６５歳になると同時に退任が決まっているミンアウンフライン氏は、大統領職に照準を定めた】　
　そのためには、国軍が支援するＵＳＤＰが昨年１１月の総選挙で好結果を残す必要があった。しかし、結果はスーチー氏率いるＮＬＤが８３％の票を獲得。スーチー氏が権力を握る一方で、国軍に対する国民の強い拒絶が示され、ミンアウンフライン氏の大統領就任の野望の実現は不可能になった。
　ＵＳＤＰは大規模な不正投票が行われたと主張し、国軍は選挙管理委員会に調査を要求。しかし、同委員会は投票結果に影響を与えるほどの不正投票はなかったと述べたのだ。そこでミンアウンフライン氏はＮＬＤに対し、不正投票があったというＵＳＤＰの主張を議論するための議会の特別委員会の開催を要請したが、ＮＬＤはこれを拒否したのです。
　アナリストのホーシー氏は「国軍の兵士らは、ＮＬＤとスーチー氏が彼らを軽視し、彼らの見解や懸念を無視していると感じたのだろう。ミンアウンフライン氏は危機をでっち上げて自分のクーデターを正当化したが、これが軍幹部らの不満をうまく引き出した」と指摘しています。

【今後の展開　次に何が起こるのか、そして、ミンアウンフライン氏がどのような政権運営を行うかは不透明】
　今後、批評家や活動家、ジャーナリストを標的にした大規模な弾圧が行われるのでは、との懸念が広がっていました。
　現在、自宅軟禁下にあるスーチー氏は輸出入法違反で訴追され、失脚したウィンミン大統領も自然災害管理法違反の罪に問われているが、いずれの容疑も国軍の「でっち上げ」と言われている。　
　２月７日には数千人がヤンゴンの街頭で、国軍の権力奪取に対する大規模な抗議行動を行った。デモ隊の多くは旗を振ったり、横断幕を掲げたりし、国軍にスーチー氏をはじめ、民主的に選ばれた議員らを釈放するよう要求したのだ。
　しかし、ヤンゴン市内のシンクタンクのディレクターを務めるキンザウウィン氏は、今回のクーデターは、残酷な方法で実行され、全国で新たな秩序を押し付けた１９６２年と１９８８年のクーデターとは異なると指摘しています。
キンザウウィン氏は「今回のクーデターは、言ってみれば非常に控えめで、国軍が用いる言葉や声明を聞くと（中略）国民をなだめようとしているように思える」とし、「過去のクーデターでは既存の憲法は放棄されたが、今回は憲法慎重に配慮している」と付け加えている。
　ミャンマーは少なくとも今後1年間は非常事態宣言下に置かれ、国軍の気まぐれに左右されるのではなＤしょうか。
　ミンアウンフライン氏は、不正投票の調査が終わり次第、選挙を行うとしているが、国軍は何としてもスーチー氏の出馬を阻止するだろうとアナリストらはみているのです。　しかし、独裁者は公約と実際の行動が異なるという厄介な傾向があるのも事実。
　これまで、市民の抗議行動が勢しているが、国軍はこれを全力で阻止するために、エスカレーションしており、武器を使用して市民殺害までやっているのが現実となったのです。

やはり、マスコミ排除がはじまった。彼らは、世界に自国のクーデターの実態を知られたくないからジャーナリストらの排除が始まっていたーー。
【ミャンマーで再拘束の日本人ジャーナリスト 刑務所に移送】

ミャンマーで取材を続けていたフリージャーナリストの北角裕樹さんが現地時間の１８日午後８時ごろ、最大都市ヤンゴンの自宅で治安当局に拘束され、市内の刑務所に移送されました。
拘束の理由について、在ミャンマー日本大使館が当局に確認したところ、「フェイクニュースを流したため」と説明されたということです。北角さんは、ＳＮＳなどで軍を批判する内容の情報発信を続けていました。
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【世界の民主国家が一緒になって動いて、収束できるか？】
海外のフリージャーナリストも多く拘束されており、北角さんだけの救出は不可能に近いでしょう。
ここは、国際社会が一緒になって事にあたらないと困難です。
これもこれまでの経緯もあり複雑です。
また、クーデターそのものを収束するのも、かなりハードルが高い。

我々市民は、指を三本たてて祈ります。
日本政府が国軍と「太いパイプ」を持っているのなら、今こそ使って、一刻も早い、全員の解放のためにアクションをおこしてほしいです。
署名が立ち上がっていました→　https://bit.ly/32uvvJ6

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