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②アーティスト活動のヒント ▶︎ 10年後も誇れるような今を

*この記事は"売れる方法"などの情報は書いていません。

「自分の音楽を必要としている人に届けるためのヒント」

が書かれています。筆者の活動に特化した悩みに対するアドバイスということをご了承ください。

対談形式で長文になりますが、お読みください。
(*結論は①に書いています)


1. 作り手としての自分が見えない

担当者Aさん)

抱えてらっしゃる問題というのは、
"どうすればお客さんが来るだろう"
みたいな次元のことではなく、一段上の段階にあるんじゃないかというふうに見受けられます。

筆者)
これまで音楽活動をしてきて自分でできる範囲のことはほとんどやり切り、限界を感じています。とくに最近は一年ごとにすぐSNSを含む社会状況が変わることを実感しています。

なので、一年前に通用していたことが翌年には通用しないとかが当たり前になっているように感じます。

そんな中で自分の音楽を必要な方にどうやって届けることができるか、届いているかを実感できません。

お金をかけてインフルエンサーに依頼し拡散したとしても、その時だけで終わり、届いて欲しい人には届かないと思います。だから草の根的な活動にならざるをえないのかなと思っています。

以前は音楽とアーティストというのが結びついていましたが、現在は例えばSpotifyで音楽を聞いて気に入ったらプレイリストに入れるだけで、ほとんどのリスナーは"その音楽を誰が作っているかということに興味がない"ように思います。音楽は聞き流して終わりになります。

担当者Aさん)

作り手としての自分が見えないということを感じてますね。
SNSは自分の作家性、顔が見えるような展開をされていますか?

筆者)
していますが、効果や活動の広がりを感じることはありません。音楽とアーティストが結びつかないっていう理由がプレイリスト以外にもあるように考えています。

そもそも音楽が無料で聞けるということが当たり前のこととしてありますが、例えば作品に価値を求めるよりも、その人自身が創作することに興味があり、曲を聞いた時に自分でもそういう音楽を作りたいと思うようになるのかなと。

今ならAIで簡単にクオリティの高い音楽や創作物を作れるので、SNSはいわばネタを仕入れる場所になっているような気がします。

Ugearsのハーディ・ガーディ

2. 消費的な意味で振りまわされない

担当者Aさん)

「なにそうだん」は"ブランディング戦略やいかに音楽が売れるか"より、アーティストのマインドに寄り添い、"消費的な意味で振りまわされずに創作活動をきちんと続けていくこと"を応援したいという立場です。

売れる売れないとは違うアドバイスになりますが、いかに作り続けていけるかと、世の中との距離感を納得しながらやっていくのが一番大事な気がしています。

例えば僕が音楽を聞いたり、映画、演劇をみると言っても最初はその側だけを見ています。けれど聞いているうちにだんだん文脈が気になり、誰が作って、他にどんな作品があるのかを思う世代です。

ですが若い子と話しているとガラッと変わって、60年代に作られたものも2000年代に作られたものも、Spotifyで隣に並んでいたら一緒のジャンルとして聞くみたいな感じになっています。

文脈なんて気にせず、「そんな古い曲聞いてんの?」って聞くと、「えっ古いの?」みたいな反応が返ってくることが多いです。

肯定的に捉えるとそういうメリットもあるというか、掘り起こされていくというか、辞書みたいに並んでなくて勝手に並んでるような感じは面白さでもあると思います。

そのようなことについて見返りがあるかどうか、どう折りあいをつけるかということですよね。

相談者さんの作ってる音楽が文脈的な発想では隣に並ばないけど、そうではない場合に、自分自身が楽しんだり喜んだりする気持ちがすっきりするかしないか。

AIでできることをあえて手作業でやることに何らかの面白みが生まれているはずで、そこの距離感みたいなものをある種納得する材料が必要だと思います。

リリースしたカセットテープ

3. 自分の音楽が必要な人はどこに?

担当者Aさん)

"音楽が必要な人に届けたい"とおっしゃっていましたね。 必要な人というのは当たりはついていますか?どういう所にそういう人がいるかみたいな。もう少し言葉にしてみると色々見えてくるのかなという気もしましたが。

筆者)
活動していたバンドの音楽は煽る音楽ではないので、好きになってくれそうな人が見えづらいです。

けれど、ライブをしていた時期やCDをリリースした時に感じたのは、 ライブを聞いてくれたり、グッズを購入し応援してくれる人が確実にいるということでした。

穏やかな音楽ですので、それに共振してくれる人は穏やかな人が多いです。ですので、そういう人はライブハウスに行ったりという行動を取りません。 またほとんどの場合「陰ながら応援します」と言われます。

つまり自分の音楽を好きな人がいても、その方を見つける手段は難しいです。

SNSでも一見音楽を聴いてそうではない人でも、ライブを聴いた時に「すごい良かったです」「CD買いました」と言ってくれる方が少なからずいます。

偏見かもしれませんが、Rockが好きな方は分かりやすく、自分の作る音楽ジャンルでは分かりにくいです。

自分の音楽を気に入ってくれる人は確実にいるけれど、音楽を知ったあとに作り手に興味をもってもらう方法はSpotify等ではないような気がします。

4. 日常の中でそっと流れている音楽

担当者Aさん)

日常に寄り添うというか…例えば何か作業をしながらとか、コーヒーを飲みながら、 そういう時に"そっと流れていたらいいなって思う層が、好んで聴いている音楽"みたいなことが起きていて。

ライブで演奏者と向きあって音を浴びるとか、 音楽だけに集中してやるっていうようなことではないところに問題の客層が見えにくいということが分かりました。

自分のプレイリストみたいのは作ったりされていますか?

筆者)
自分の曲だけのものはすでにあります。

担当者Aさん)

僕は舞台関係で物を書く仕事をしていますが、 書いている時に音楽を流しておきたいとか、ながらの音楽ってあるじゃないですか、目的をつけてあげたりすると書きやすいっていうのはあります。

耳からだけ入ってくるのは意外と邪魔しないのと、それだけじゃなく集中を促してくれたり、 自分の時間を作ってくれたりする要素があります。

YouTubeに"こういう時に聴いてほしい"みたいなタイトル結構ありますよね。 多分そういうアプローチで。

僕は物を書く時に音楽を漁るんですよ。 例えば3時間集中したい時に、 しっくりくるのがあって、書く期間が1ヶ月あるとしたら、 毎日プレイリストを変えます。 書き終わったら気分が変わって、もう聴かなくなったりすることはあるんですけど。

相談者さんが作っている音楽がそういうのであれば、 "自分の音楽"という主張よりかは、日常の中で流れるような音楽であって、 それに評価も集まってという、ファン層はそういう人たちのような気がします。

だからただ音楽だけがあるわけではなく、聞き方を限定するので、 アーティストとしては嫌だなって思う時もあると思います。

5. 聞いてもらう場面を想定してとどける

担当者Aさん)

こういう時に聞いてくださいとか、ラッピング的なことをすると、 その言葉に刺さったみたいなことが起こるかもしれないですね。

筆者)
聞いて欲しい場面を明示してプレイリストを作ったことはないです。 曲を勝手にそういうプレイリストに入れられたことはありますが。

担当者Aさん)

例えば辛い時に聴く音楽みたいな名前を付けた時に、 楽しい気分でもあいそうみたいな人もいると思うので、 抵抗がなければ、そういう風なラインナップで出すといいかもしれませんね。

6. たくさん聞いてもらう形と別の選択肢

筆者)
好きなアーティストの世界観にアルバムを通して浸りたいという派なんですが、作り手として届ける場合は、そういう方向ではなく、日常で流れている音楽をまとめたプレイリストという考え方をした方がうまくいくのかなと感じました。

担当者Aさん)

アルバム全体を通してアーティストの世界観に入っていきたい人もいないわけではないですが、残念ながら多数の人はアルバムで聞きたいと思わなくなっているかもしれませんね。 ただ、それに抵抗する態度もありとは思いますが。

流し聞きとかつまみ食いというようなスタイルでプレイリストが作られたとして、それが主流だからアルバムで世界観を出すことをやめる必要はないと思うので、"世界観に浸りたい場合はこちら"っていう選択肢を用意すればいいのかなと。コアな人が来てくれるかもしれませんし。

要は"たくさん聞いてもらうという状況"から、そこに引っ張ってくるというのが重要だと思います。

7. SNSで丁寧に情報をとどける

筆者)
舞台をされているとお聞きしました。集客するときに何か有効な方法はあったりするんでしょうか?

担当者Aさん)

これが効くというのはないですね。有名人であるとか、テレビに露出しているとか、大きく取り上げられたみたいな、全体に届くようなものがあれば、ぐっと増えたりはすると思いますが、 基本的には草の根ですね。

地道に準備して、(お客さんが)見に来たら多分"こういうことが刺さるだろう"みたいなことをSNSやウェブで発信してとか。

昔は観客が信頼を寄せている雑誌や媒体があったので、掲載されると、面白い舞台だと担保されるので、観客は選びやすいというのがありましたが、今はないので、難しい時代になったという感触ではありますね。

筆者)
SNSの反響と集客はある程度比例するのでしょうか。

担当者Aさん)

自分のお芝居を好きな人が少し増えるのと、 楽しみにしてくれている人に丁寧に情報を届けて、心の準備をしてきてもらうという意味では効果的と思います。

8. 音楽を流してもらう場所と顔のみえる関係

担当者Aさん)

自身の音楽がカフェやレストラン、アパレル系のショッなどでBGMとして流れていたらいいなあというのはありますか?

筆者)
過去にあった事例ですが、CDリリース後にメンバーや遠くに住んでいるファンの方々からお店に行った際に偶然バンドのCDが流れていたことを教えてもらいました。

おそらくそういうお店が他にもいくつかあると思いますが、お店の公式SNSには当然その音楽を流していますという投稿はありません。ですので、バンドのSNSで"○○で僕らの音楽を流して頂いています"と投稿していました。

感謝とうれしい気持ちがありましたが、ブランディングとしては弱いと思います。

担当者Aさん)

支持されても宣伝になっていないという状況は辛いですね。

次のもう一歩はどんなことが欲しいですか? 例えばそれでCDの売り上げや、次の作品の創作につながっていくみたいなこととか。

筆者)
お店の公式のアカウントでこういうのを流してますっていうのを投稿してもらえるだけでブランディングになると思いますが、ないのでそこで止まってしまいます。

事務所に所属していない個人のアーティストでは対等にビジネスではつきあえないと実感しました。だったらこちらも事務所を構えてやればいいんですが、創作や活動以外の労力が残っていません。

今は当時と状況が変化していますので、お店のBGMをCDではなくSpotify等でプレイリストを組んで流されていると思うので、もはや自分の曲が流れているかどうかも把握しづらいと思っています。

担当者Aさん)

曲を流してもらっていることに関して「ありがとうございます」みたいなやり取りが生まれ、「引き続き流してください」みたいなことになれば、多分お店の方もSNSで発信しやすくはなるとは思います。

音楽を流してもらっている場所と顔のみえる関係を作ってみるのもありかもしれないですね。

キットカットの例ですが、受験パッケージにすれば中身が同じでも、受験生に売れるという、コマーシャルな発想ではありますが、わかりやすいと思います。

9. 作家として10年後も誇れる創作活動

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ここからもうひとりの担当者の方も加わり総括的なアドバイスをいただきました

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担当者Bさん)

私は美術の方のマネジメントをしています。相談者さんは作家性の強い方だと思うので、10年後の自分が自身の作品を見るときに、今やっていることを作家として誇れるように創作活動を進められるといいんじゃないかなと思いました。

今、カセットテープがリバイバルして評価されているように、10年ぐらい経つと勝手に周りの見方が変わると思います。

アルバムっていうのは古い価値観じゃないかっていう話がありましたが、10年経った時に相談者さんという作家を誰かが振り返り、こういう風に作品を発展させてきたんだなって評価されることがなくはないと思うんです。

美術はどちらかというと、歴史の焼き直しをしつつ、その時々の時代の完成というのを、自分なりに落とし込んでいき、それが唯一無二のオリジナリティになっていくというところがあります。

かつ、ずっと変わり続けている人や作品を発展させていくタイプの人というのは、"次何をやるのかを見届けたい" ということにファンがつくこともあるんですね。

小さな個展をずっと続けていることで認められるというのも 一つのオプションとしてお伝えしたいと思います。

一方でずっとひとつのことをやり続けるということで、サバイバルしていく作家もいます。なので、SNS上での自分の見せ方に気を取られないことも大事かなと思います。

10. 個人的な時間のなかで聞きたい音楽

相談者さんの音楽世界は"私はこういう作品が好きで周りに話をしたくなる"というより、"個人的な時間のなかで大事に聞きたい音楽"なのかなと思います。

だからそういう人がどこにいるのかっていうのを探すことがいいかなと思いました。

フォローしてくれる人のタイムラインを観察したり、その人が他にフォローしているインフルエンサーは誰なのかを調べて研究するとか。

11. 暮らしや人生と結びつく音楽

例えば、雑貨屋さんのポータルサイトで「夜な夜なキッチン」っていうコンテンツがあって夜静かな時間に一人で楽しむ動画なんですけど、そういう風なところとつながっていければとか考えていました。

なんせ音楽を聞くということが趣味ではなく、暮らしや人生と結びついていくようなところが、一側面としてあって、相談者さんの音楽はそこにフィットしているんじゃないかと思いました。

とにかく

"自分の届けたい人はどこにいて"、
"どのように届けたいのか"

を自分の基本軸に置いて私は考えるようにしています。

12. ここぞという時はデザインを一新

デザインにはすごい影響力があるので、相談者さんが活動を大転換すると決める時には、デザイナーの人とコンセプトを話しあって、ウェブサイトなどを一新するだけで、とても大きな効果があると思います。

マネジメント、発信、デザインとかを中心にしている人たちは、もしかしたら作り手を欲している場合もあるので、結びつくと影響しあって、 どういう道筋で目標に進んでいけばいいのか見えてくるかもしれないと思います。

筆者)
具体的なアドバイスをたくさん頂きまして本当にありがとうございました。少しずつ実践していこうと思います。

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