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他人への評価

 あなたの御主人や奥様はどんな人ですか? お子様は? 友人は? 職場の同僚は? 私たちはだれでも、周りの人達に何らかの評価をしているものである。普段は余り意識していなくても、「Aさんてどんな人? 」と意見を求められれば、「××な人だよ。」と即座に答えが口をつく。それが詰まりは、Aさんへの評価である。好きな人には好意的になるし、嫌いな人には批判的になるのは人情である。
 

 では、私たちが他人を評価するときには、何を基準にしているのだろうか。『おごるな上司』(堀田力著・日本経済新聞社)の中に「人は他人の能力に対して、自分の長所を基準にして評価しがち」とある。さらに「人は自分を二割がた高く評価しがち」ともある。つまり、私たちは、二割(中にはそれ以上の方もいる)も甘くつけた自分への評価を基準にして他人を厳しく評価しているというのである。思い当たる節はないだろうか。

 もしそうであるなら、私たちは、他人の評価をする前に、まずは基準となるべき自分が、どんな人物であるかを、少し辛めに評価してみる必要があるのではないだろうか。そのためには、周囲の人達が自分をどう評価しているかを素直な気持ちで聞いてみる必要があるかもしれない。特に自分に批判的な人の意見には謙虚に耳を傾けたい。そして、きちんと己を知り、客観的に評価した上で、他人への評価を口にしたいものである。老婆心ながら付け加えると、あなたが口にした評価で、あなた自身も評価されることをお忘れなく。

 「『克己』自分に厳しく、人には優しく」これは、中学校の担任の先生から卒業式の日に贈っていただいた言葉である。十五年(現在では35年)経った今、その言葉の深さをしみじみ感じることがある。私にとって永遠の課題である。

★他人への評価が得意な私たち。しかし、自分への評価は難しい。自分への評価は自分だけではできない。鏡を見ないと自分の顔さえ見えないのと同様、他人から評価してもらわないと、真の自分を知ることはできない。批判されるのが嫌でYesマンばかりを自分の周りに集める人がいる。お世辞やおべんちゃらを聞いても、評価をされたことにはならない。耳が痛くなるような苦言でも、率直に言ってくれる親友を複数持ちたい。


学校教育には矛盾がいっぱい!