カスタディーヴァとゴールドシップ

2020年に誕生したカスタディーヴァの白毛なゴールドシップ産駒。「清らかな女神」とステイゴールドやポイントフラッグに関連する血統を見比べてみました。

アオラキ Aoraki
2020-02-12 牡 白毛
ゴールドシップ × カスタディーヴァ
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ニュージーランドのクック山の別名。雲を貫く(マオリ語)

Breeder: 浦河 ディアレストクラブ
Owner: 石井輝昭
Trainer: 美浦 田村康仁 ⁃ 愛知 今津勝之


カスタディーヴァ ⁃ NZ (2014)

勝ち上がりが函館2600m戦でダートはおそらく不得手。ここにゴールドシップときましたから距離と馬場に適性の偏りが出るだろう感は拭えませんそれでも母には先行していける前向きさと東京でも好走歴があるのが頼もしくもあり、是非とも伝わっていていただきたいです。

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血統的には《Sadler's Wells ≒ Nureyev》2×4と Special 牝系の Northern Dancer つよつよ名種牡馬ラインが協調しています。

Special の主要血脈
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Selene ~ Hyperion
Lady Juror ~ Fair Trial
Mumtaz Begum ~ Nasrullah ~ Nantallah
Dalmary ~ Rough Shod ~ Thong

ステイゴールド系の種牡馬はこの血と相性が良い印象で、ダイナサツシユが父 Northern Taste (Hyperion) 母父 Princely Gift (Nasrullah) の濃厚クロス種牡馬な組み合わせなのでピントが合いやすいのかもしれません。
またゴールドシップの場合だと母方に Fair Trial クロスがあり、ゴールドシップ自身は Princely Gift クロスを持っています。

* 濃縮承知の Special 活用なら《Lt. Stevens = Thong》になるオルフェーヴルとの組み合わせはやっぱり気になったりします。母父 High Chaparral ならばレッドラフェスタが、〈Sadler's Wells + Darshaan〉だとアドラータにドリームマローネの例も既にあるので。

父 High Chaparral ⁃ IRE (1999)

英愛ダービーにブリーダーズカップ・ターフ連覇に愛チャンピオンステークス。負けたのは新馬2着と凱旋門賞3着の2回だけ。引退後はシャトル種牡馬として北半球と南半球を往復し So You Think を輩出した超名馬です。

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血統表で感じた既視感を探ってみたところ、クレッシェンドラヴのお母さん Higher Love でした。〈Sadler's Wells + Shirley Heights + Kris〉の代が近くて、Kalimara と Free Man も結構ニアリーです。
両者の柱となっているのは《Bold Reason ≒ Never Bend》になる Lalun の血がタフな欧州の芝で輝きまくった〈Sadler's Wells + Mill Reef〉のニックス。オセアグレイトの母などもばっちりこの構成だったりします。

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* メロディーレーンの母メーヴェもかなり近似で〈Sadler's Wells +(Kris の父)Sharpen Up + Shirley Heights〉。ゴールドシップ産駒だとクロノメーターの母母フサイチカツラが〈Sadler's Wells + Kris〉、四代母 Azzurrina の構成が Shirley Heights と相似型なので一番近そう。

父母 Kasora

High Chaparral 自身にフォーカスすると母 Kasora が《Darshaan の父と母父 ≒ Koblenza》を軸とした特徴的な配合。めっちゃ仏系の香りがします。
父母 Delsy が超名牝 Astronomie 3×4。四代母 Tourzima は近親配合でお馴染み《Durban = Heldifann》2×2です。そんな Darshaan を Koblenza が受けきってるのも凄くて、Hugh Lupus は Tourbillon 2×3だけじゃなく(その父父) Bruleur 4×5*3でもあります。
* Darshaan 産駒で思い付くのはマカオンドールの母なのですが、彼女は良血も良血な米優勢構成なので牝系傾向は全く異なっています。

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ゴールドシップは父母から Tourbillon 計6本を受け継いでいます。母ポイントフラッグは Djebel 7×7で Tribal Chief のところには Umidwar があり、メジロオーロラは全姉 Udaipur とその母 Uganda の5×5クロスを持ちます。

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母 The Opera House ⁃ NZ (2006)

ホモ鹿毛の父と栗毛の母から突然生まれた白毛の牝馬。
牝系は Might and Power に Lucky Owners に Beauty Parlour と世界中で子孫が走っており、日本ではプリモシーンが活躍しました。

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特にニュージランド生まれの産駒たちは、牝系の Benediction に Sir Tristram を持ってくる組み合わせなら大体結果が出るというわかりやすさ。彼女もちゃんとこのパターンになっていて《Sir Tristram ≒ Benediction》2×2 もしくは《Sir Tristram ≒ Day Is Done》2×3であり《Artaius ≒ Isolt》3×4 です。

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瞬発力勝負系と言えない父と母ですから、現代日本競馬の大正義 Halo とニアリーでお馴染み Sir Ivor、同父 Habitat にはなんとしても頑張っていただきたく、Round Table も力を貸してくださいね。それとそれと My Babu は母方の Mumtaz Mahal と Lavendula が効いたマイラーさん、ゴールドシップと合わせて三本ですしこちらのスピードも何卒。

母父 Zabeel

Zabeel ⁃ NZ (1986)
自身はマイルから2000くらいまでのそれなりな戦績だったにも関わらず、産駒は長距離レースを制覇しまくったオセアニアの大種牡馬。ステイゴールド系が続々とお世話になっていることでお馴染み名牝マイネプリテンダーのお父様です。さらに彼の直系かつ4×3の血量を持った Pierata の仔をオルファンが出産したようでますます頭があがりません。

Zabeel とゴールドシップの血統図を見比べてみると気になるのはメジロテイターンのところです。

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さらに上記でも暗躍する Zabeel の母母 Valderna は Friar's Daughter 牝系 Sunny Boy 3×2がとにかく迫力満点ですが、 Dictus と並べるとこんな。

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今後〈ステイゴールド - メジロマックイーン - Zabeel〉の組み合わせ例が増えてきたら面白いかもしれません。

母母 Carmina Burana

Carmina Burana ⁃ NZ (1995)
父と母が Selene 牝系同士。《New Moon ≒ All Moonshine》のファミリークロスで、Angela Rucellai も両者と相似型です。Hyperion は合計三本あるので Selene が6*4×6・6*5、その母 Serenissima は七本。
二代続けた Djebel のクロスにつきましては双方が Sweet Lavender 牝系の Klairon と My Babu でニアリーにしてございます。

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三代母 Cathedra に至りましてはとても見慣れた〈Princely Gift + Prince Chevalier〉が出てきてもう訳がわからない。

* 余談ですが上記では何も触れていない Star Appeal の母 Sterna さん。
Seclusion の由緒正しき牝系を引っさげて四代母がドイツへと渡りましたところ、見事なまでに染まりまして《Aditi ≒ Arjaman ≒ Alchimist》の全部入り4*3×2というお方であります。
* さらに余談として Carmina Burana は 彼女の父 Neckar と Rockefella を併せ持つのに加えて Habitat、どこかで見たと思ったら Querida さんですね。

Benediction ⁃ IRE からの牝系譜

1991 Miss Priority ⁃ NZ
|1997 Miss Power Bird ⁃ AUS
||2003 Lady Zabelia ⁃ NZ
|||2010 Lady With Spurs ⁃ AUS
|||2011 S. Time For War ⁃ AUS
|||2015 Age of War ⁃ AUS
||2005 Lady Firebird ⁃ NZ to JAM
|||2009 On Yer Feet ⁃ NZ
||2008 Mightier ⁃ AUS
|1998 Power And Grace ⁃ AUS
|1999 S. Lucky Owners ⁃ NZ
|→ 2003 Hong Kong Mile
|2001 Deduction ⁃ NZ
||2010 Silvara ⁃ AUS
|2002 Sumehra ⁃ NZ
| 2008 モシーン Mosheen ⁃ AUS
| → 2011 VRC Crown Oaks
| → 2012 Australian Guineas
| → 2012 Randwick Guineas
| → 2012 Vinery Stud Stakes
| |2014 キャリコ
| |2015 プリモシーン
| |2016 パロネラ
| 2013 Andresa ⁃ AUS
1993 G. Might and Power ⁃ NZ
→ 1997 Caulfield Cup
→ 1997 Melbourne Cup
→ 1998 Mercedes Classic (H E Tancred Stakes)
→ 1998 Queen Elizabeth Stakes
→ 1998 Doomben Cup
→ 1998 Yulumba Stakes (Caulfield Stakes)
→ 1998 Cox Plate
1995 Carmina Burana ⁃ NZ
|2002 Muteki ⁃ AUS
|2004 Goliard ⁃ NZ
|2006 The Opera House ⁃ NZ
||2014 カスタディーヴァ ⁃ NZ
|||2020 牡 アオラキ by Gold Ship
||2016 Utzon ⁃ NZ
|2007 Zumbarina ⁃ AUS
|2008 Queen of Carthage ⁃ AUS
2000 Buenos Aires ⁃ IRE
|2005 S. Buenos Dias ⁃ IRE
|2006 Bal du Siecle ⁃ GB
||2012 Cream of The Crop ⁃ AUS
|2007 Banderille ⁃ IRE
|2009 Beaute Divine ⁃ GB
2002 バステット Bastet ⁃ IRE
 2008 S. Barocci ⁃ JPN to SWE
 2009 Beauty Parlour ⁃ GB
 → 2012 Poule D'Essai Des Pouliches
 |2016 牝 Blowout ⁃ GB
 |→ 2021 First Lady Stakes
 2011 ブラーニーストーンⅡ Blarney Stone ⁃ IRE
 2012 Blue Kimono ⁃ IRE
 2015 Barefoot Contessa ⁃ FR
 2017 ディスタントゴッデス Distant Goddess ⁃ GB

ゴールドシップ × カスタディーヴァ

まとめにならないまとめ。

1. 
兎にも角にも「ポイントフラッグと Kasora と New Way」に散りばめられた〈Djebel + Umidwar〉が気になります。Dictus とメジロテイターンが其々に Zabeel へと結びついているところも。

2.
Selene 牝系の誇りを重ねに重ねてきたカスタディーヴァ。
Donatello 三本に Tehran と Pretty Polly への気遣いも忘れておりません。Lady Angela もお喜びでしょう。

3.
ゴールドシップと言えばの Princely Gift もちゃんと抑えてありますよね、というか《Royal Sash ≒ Cathedra》だしね。

4.
繰り返しになりますが《Halo ≒ Sir Ivor》及び関係者はなんとか上手くサポートの程よろしくお願い申し上げます。

5.
とはいえ両者における本筋は網羅された《Northern Taste ≒ The Minstrel》と《Sadler's Wells ≒ Nureyev》。Northern Dancer が 6*6×4*6 です。

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いちいち調べながら試行錯誤して書いていることが多いです。 新たに気が付くこともあるので加筆修正はわりとすると思います。 どこまで続けられるかは気力と体力と時間次第です。