愛の物語

・良いテーマの作品には良い問いが提示されている。私が今追っている作品では、「愛と自由意志」のぶつかり合いが描かれている。

・たとえば、側から見ればどうしようもなく自分の身にならないこと、言うなれば自己犠牲的なことに躍起になっている人が、自分が大切に思っている相手だったとき。他人のために自分の身を削り続ける人のその行動を、愛ゆえに辞めさせてもいいのだろうか。自由意志を封じさせてでも、身の安全を優先させるべきだろうか。

・この作品の主人公は、困難に立ち向かう主人公である。時には他人を助けるため危険に自ら飛び込むこともある。そして重要なことに、主人公は(ストーリーの核心になるので詳細は伏せるが、納得できる理由で)多くの人に強い愛情を向けられている。

・愛される故に多くの助けを得るが、しかしそれ以上に、主人公は多くの人と敵対する。中でもストーリー後半、愛ゆえに主人公の前に立ち塞がるキャラクターたちは、みな味方・悪役と単に線引きできない存在として描写される。

・あくまで困難に立ち向かおうとする主人公に、彼らはより安全な選択肢を提供する。過酷な戦場を離れ、安らかに過ごそうと言うが、その安全の中に主人公の友人たちや大切な人物は含まれていない。

・当然拒否する主人公に対し、彼らは力でその意志を砕こうとしたり、主人公を閉じ込めようとしたりする。主人公の決意を一度折らなければ、(ストーリーの核心なので伏せるが、明確な根拠があって)何度も悲惨な目に遭うことがわかっているからだ。

・その先の展開についてここには書かないが、彼らの「守りたい」という苛烈な思いも、愛の形態として描かれている。

・また彼らは、ある大切な人の自己犠牲的な生き方に心を痛めた経験と、後悔を持っている。自己犠牲とは、その当人の安全を願う人の心を乱すことがあると描写されているのが印象的だ。

・しかしその一方、作中別のシーンで「愛とはなんでもしていい免罪符ではない」とも語られている。

・ほうさもやってください。



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