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【短編同棲日誌】待ち合わせの特別感

先週、私も彼もちょうど同じタイミングで仕事が終わったので、彼の職場近辺で合流することになった。久々の外でディナーだ。

同棲して1年。
1番変わったことは?というと待ち合わせをすることがほとんど無くなったことだろう。

ただ、遠距離を1年半経験した私たちにとって、「待ち合わせ」はちょっと特別感がある。
毎月、お互いの住む場所を行き来しながら、「もうすぐやな」なんて言いあいながらわくわくして新幹線で向かう。あの時間は高揚感に満ちていた。
どんな格好なのか、どんな顔をして待っていてくれるのか。
私自身が彼にあったときどんな表情になるのか、会ってひと言めはなんて伝えようか。

似た感覚がその日もあった。
もうあの頃から随分日が空いただろうに、一度染みついた感覚というのは時間がたってもふと蘇るものなのだろうか。
彼の姿を見つけたとき、あの高揚感がぐっと強まった。
なぜなら、1年前と違い少し大人の男性な雰囲気がでていたから。
スーツも髪型もばしっと着こなした清潔感そのものな姿。
一緒に住んでいると案外気づけなかった客観的に見る彼がそこにあった。

スーツ似合うね、と伝えるとその日のディナー含め終始ご満悦な彼だった。

やはり、「待ち合わせ」は特別感が詰め込まれている。

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