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「秘書がやりませんでした」


 この記事を目にして失笑が止まらない。江東区民は本当にかわいそう。


 記事の内容をかいつまむと、
①柿沢未途元衆院議員=公選法違反罪で有罪確定=と共謀し区議らに現金を配るなどしたとして、同法違反(買収)罪に問われた元私設秘書後藤周被告の公判があった。
②元秘書は、元議員が逮捕後に買収の趣旨を認めたことを「ないことをあると認め、ばかだと思った」と痛烈な言葉で批判した。
③元秘書は、自らもいったんは買収を認めた理由について、「元議員が買収を認めたのに否認を続ければ起訴されて勾留が続くと不安を抱いたため」であり、略式命令を受けた後で正式裁判を請求したのは「(現金を)受け取った区議3人が在宅起訴され、しのびなかったから」だといい、現金は区長選と同日実施の区議選への「陣中見舞い」と改めて主張した。
④元秘書は裁判官から「お金を受け取らなかった区議は、区長選と関連があると感じたと言うが、どう思うか」と問われ、「政争の具にしていると思う。買収を申し入れられたと誰も言っていない中で、元議員に敵対している区議が買収の趣旨を感じたと言っている」と述べた。
⑤元議員は自らの公判で現金の趣旨を説明しなかったが、4月26日の元秘書の公判で「陣中見舞い」としつつ、支援した前区長の木村弥生被告=公判中=の対立陣営の「足並みの乱れを誘うことが頭の片隅にあったかもしれない」と証言した。
⑥次回公判は5月14日、検察側の求刑と弁護側の最終弁論がある。


 元議員がばかであることに間違いはないが、それは発端となった金を渡すという行動以上に、こんな人物を秘書にしていたことや、それだけ人を見る目がないということについてだろう。
 俗に言う「秘書がやりました」という言い分は、それが事実であるかどうかはさておき、秘書が「自分がやりました」と言い張ることで、なんらかのインセンティブが生じるわけである。それは金品という形而下的なものかもしれないし、秘書がその人を信奉しているから泥をかぶることを厭わないという形而上的なものかもしれない。
 しかるに本件の場合、どちらでもないようだ。


 ①にあるように、元秘書の立場が私設秘書だったというのも見過ごせない。
 本件をそれほど注目していたわけではないが、複数の秘書が軒並み上げられるなか、ただ一人だけ雇い主に造反してまでこのように反逆していることについては気になっていたし、それが私設秘書だったというのも意識していたが、それこそが元議員の浅はかさの象徴だろう。
 私設秘書というのは、その報酬を国から受ける政策秘書や公設秘書と異なり、議員が個人的に雇用するものだ。費用対効果を無視すれば、単に費用負担が増すばかりだ。それでもなお雇用しただけの対価がこれでは目も当てられないが、まあその本人から(理由はそれとは違えど)ばか呼ばわりされるだけのことはある。


 ④についてだが、無理筋な言い分だな。
「元議員に敵対している区議が買収の趣旨を感じたと言っている(だけで、それによって)政争の具にしている」という主張なのだろうが、自分に敵対している区議に陣中見舞いをする大ばかいるのかよという反論で瓦解するレヴェル。


 ⑥の最終弁論が楽しみだ。有休取って傍聴に行きたいぐらいだ。とりあえず記事だけは見逃さないようスケジュール入れておこう。


 最後に⑤について。
 元議員は自らの公判で現金の趣旨を説明しなかったが、4月26日の元秘書の公判で「陣中見舞い」と証言したという。
 もう判決が確定しているとはいえ、最後までだんまり決め込んでたのにこんなところで口割らされて本当にばかかわいそう
 まあ、元議員も元秘書との共謀は否定しているということだから、元秘書については無罪判決が出る可能性もありそうだな。
 となるとそんな奴の私設秘書になったことがかわいそうだとも言えるか。

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