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成田空港のベンチで寝た

23時、成田空港についた。アビスパ福岡が聖地国立で祝杯をあげて約8時間後の話。

計画を立てる段階から、成田空港泊の案はあった。金欠大学生たちは一番安かった飛行機を予約したからだ。7:15分成田空港発福岡行。確実に乗るための案こそ成田空港泊だった。無料なのも相まった。

「第2ターミナルに行こう」僕は言った。調べたところ、第1ターミナルは椅子自体が少なかった。さらに、第2ターミナルと第3ターミナルの通路の間には、畳で寝転がれるエリアがあるらしい。余裕じゃん。

しかしおかしい、畳が見つからない。あらためて検索をかける。僕が見た記事は2016年のものだった。そして、コロナ以後はなくなっていた。

となると、第2ターミナルには硬い椅子しかない。幸い寝転がれるほどにベンチは空いていた。一階のエリアに位置をとった。10個ほどの椅子が3列ほど並んでいる。3列目には、大荷物を抱えるアラブ系の人が1人いた。友達が2列目に、僕が1列目にスペースを確保する。やたら、アラブ系の人はこっちをにらんでくる。なんやねんと思いながら、歯磨きに行く。一応、貴重品は手に持った。戻って約10分後、アラブ系の彼が歯磨きに行った。また、にらまれた。

なんか嫌な感じだったので、移動した。警備で歩き回る警官にコインロッカーはどこにあるのか尋ねた。「あ〜確か2階だったと思うよ。でもこの時間だと空いてないかもね」と言われた。時刻は0時を回っていた。

言われるままに2階に行った。まずは寝るスペースを確保するため、1階よりはるかに埋まった椅子の中から寝転がれるスペースを見つける。上着とペットボトルでマーキングし、コインロッカーを探す。しかし、ない。いくら探してもない。調べると、3階もしくは地下にあると記載されていた。コンビニの店員に道を尋ねて来る人がいる。スマホで調べたほうが確実やろ。何のためのスマホや!といつも思っていた。同じことだった。

地下に行く。コインロッカーは番号を選べるほど残っていた。荷物を預け、2階に戻る。東南アジア系のカップルがペットボトルと上着のすぐ隣で座っている。確保していたのは2席分。そんなすぐ隣に普通座る〜?探せば他にも座るところはあるのに〜。寝転がるのは不可能な広さ。仕方なく、地下に戻る。地下の椅子は空席だらけだった。シャッターの音や明け方になると改札の音が聞こえだすからか、理由は分からない。それでも再びベストポジションを探す力もなく、そこで寝ることにした。時折、警備員と目があった。警備員からすると毎日のことだろうから、何も気にしていなさそうだった。

すぐに寝れた。連日の旅の疲れと応援の疲れがあったのだろう。だが、すぐに目覚めた。椅子と椅子の隙間が不快だった。それでも、寝た。1時間おきにこれを繰り返した。何個も夢を見た。全部、忘れた。

6時には完全に起きた。友達は「勝った」と言っていた。成田に泊まってなかったら着いていたかわからなかったから。友達はわりとご機嫌だったので安心した。オチには弱いが、あれから4日が経つものの鼻水が止まらない。それでも全てが許せる。なんたって、優勝したから。

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