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パックマン「何でなんやろ……?」

アカベイ「あの餓鬼、どこに行きさらしとんじゃ……」

ピンキー「おう兄貴、こっちにおるで!」

アカベイ「そっちか、待っとれや……おったおった!……って、おい何や、あいつ、通路の途中で止まってからに、逃げる気配あらへんやん」

ピンキー「なんかボーッとしよるね、とりあえずいてまおうか?」

パックマン「うーん、何でなんやろな……?」

アカベイ「……おいパックマン、何ボサッとしとんや」

パックマン「あ、これはアカベイさん」

アカベイ「アカベイさんちゃうわ、はよ逃げんかい」

ピンキー「そうやそうや、喰われたいんかコラ」

パックマン「ピンキーさんもきはりましたか、こらもう逃げられんね」

ピンキー「ワシら兄弟の頭脳勝ちやな」

アカベイ「いやその前にや、なんでお前逃げんねん」

ピンキー「せや、通路の途中で立ち止まるアルゴリズム悪用して何しとんや、プレイヤーもビックリするやろ」

パックマン「そらビックリしはるやろね、いきなり動かんくなって」

アカベイ「見てみい、店員さん呼びにいっとるで」

パックマン「あーほんまや、すまんこってす」

ピンキー「キミ、何でそこでたそがれてたん」

パックマン「いやね、何でワシ、ドットを食べよんやろな、って」

アカベイ「何をいきなり」

パックマン「すんまへんこんなこといきなり、困りますよねみなさんも」

ピンキー「困るどころちゃうわ」

アカベイ「そら、役割っちゅうやつやろ」

ピンキー「せやせや、キミ逃げる役、僕ら追いかける役」

パックマン「そのとおり、お二人の言うとおりですわ、僕も今までずっとそうだと思ってたんですけど、さっきなんか突然、なんでやろな、って」

アカベイ「わしらそんな大層なこと考えんと、プレイヤーを楽しませるためにわちゃわちゃしとったらええねん」

ピンキー「そうや、兄貴の言う通りやで」

パックマン「そらその通りですわ、判ります……でもね、なんかこう、ふと思ったんですわ……僕らが生きる意味、ちゅうの?」

ピンキー「でたよこれ!またこいつ、えらく上から来たで!」

アカベイ「そんなもん、後でWikipediaでも見とけや」

ピンキー「この基板、wi-fiついとらんから無理やん、それにドライバ書いてもろてないし」

アカベイ「んなモン気合いで何とかせんかい」

パックマン「いやほんと、素朴な疑問なんですわ、僕らなんで、追いかけっこしとんやろか?僕も逃げればええだけなのに、なんで合間にドット食べよん?ほんでパワーエサですわ、これもようわからん、食べたらみなさん、青なって逃げはるし、なんでや?どうしてや?……って」

グズタ「おーい、キミら何しとんー」

アカベイ「おう、オレンジ!こいつ、また変なこと言い出しよってん」

ピンキー「こいつ、なんでワシ、エサ食べよんやろ、やって!笑かすやろ?」

グズタ「そら食わんと死ぬからやろー?」

パックマン「いや僕ら、何も食わんでも死なんやないですか」

アカベイ「まあ確かにそうやな、電気ある限り死なへんわな」

ピンキー「それか、コンデンサーが破裂するまでやな」

グズタ「なんねキミ、もうドット食べとうないんー?」

パックマン「いや別に、ドット嫌いちゃいますよ、食べた時の音はすげえ気持ちええですし、パワーエサもめっさテンション上がりますわ」

グズタ「ほなら食べればええんちゃうー」

アカベイ「そうやな、よし解決、いつまでおしゃべりしとんねや」

ピンキー「ってプレイヤー、店員呼びに行ってまだ帰ってきいへん……」

パックマン「……うっわ、店員、ギャプラスしよるわ

グズタ「あいつ、クッソうまいやんー、なかなか終わらんでー」

アカベイ「でもTANKでなくて良かったで、あれ永パあるやん、100円で2時間以上プレイして電源抜かれたやつおるで」

ピンキー「あいつ、また店長にしばかれたらええねん」

パックマン「けど、ギャプラスとかTANKはまあ、判りやすうてええですよね、敵と戦うだけや、何も迷うことはない……でも僕は、道端に散らばってるドット拾い食いしよりますからね、ほんまなんでやろ、って」

アカベイ「また蒸し返しとんかい」

グズタ「まあ、気持ちはわからんでもないかなー」

ピンキー「わかるんか」

グズタ「わたしら、アルゴリズムで動いてるやん?まあ不満はないねんけど、たまにアルゴリズムの枠、ぶち壊したァなるわー」

アカベイ「危ない奴っちゃな~」

ピンキー「岩谷さんが作ってて幸いやで、ホンマ」

パックマン「なんちゅうんですかね、僕らの世界、僕自身に、存在理由があるんやないかな、って……あって欲しい、いうんかな?そうでないと僕、ドット食べて死ぬだけやん、って」

アカベイ「アホやなあ、まさにそれがワシらの存在意義やろがい」

ピンキー「せやせや、追いかけられてドット食べて、たまにワシらビビらせて悦に入っとけばええんや、それでプレイヤーが喜んで、店にはインカムがチャリンチャリン入る、ウィンウィンの関係や」

パックマン「まあ、おっしゃる通りですわ……けどなあ……」

アオスケ「なんや、みんなどこにもおらん思たらここに集まっとん」

グズタ「あんたもきたんね、ついに勢ぞろいやなー」

アカベイ「プレイヤー戻ってきたらビビるで、四方八方をワシらに囲まれたパックマンがモンスター相手に悩みごと相談しよる、いうて」

ピンキー「そんなん聞いたことないやんなあ」

パックマン「えらいすんまへんなあ」

アオスケ「ほんでなにごと?」

アカベイ「こいつ、存在意義が欲しいらしいで?」

アオスケ「はあー?存在意義ィ?お前はゲーテか!

パックマン「待って待って、そんな大層な話やないから」

ピンキー「いうてキミ、ドット食べる意味がわからんのやろ?」

パックマン「まあ……そうなんですけど」

アオスケ「そうやなあ……まあ、ワシらはアルゴリズムの一言で全部済む話やけどな、生物も全て、アルゴリズムで動いとるようなモンやしなあ」

グズタ「なにー?なんて?」

アオスケ「遺伝子とかDNAよ、生物は全て、アレで動いとるいう見方よ」

アカベイ「ああ、進化心理学かい」

パックマン「え?何ですそれ?」

ピンキー「ググれカス

アオスケ「またえらく寒い返しを……」

アカベイ「要は、進化と淘汰を繰り返す中で選別されてきた生物は、"自己の遺伝子を後世に残す"という生命共通の命題を全うするために思考や行動を操られている、いうことや」

パックマン「はあ、なるほど」

ピンキー「でもそれも、一面的な見方やで?それが100パーやったら、男はみんな女をレイプしまくることになるやろ」

グズタ「もうー、やめてやー、くねくね」

アカベイ「誰もお前は襲わんわ、安心せい」

アオスケ「ド直球のセクハラやん、めっさビビるわ」

パックマン「ポリコレ警察、呼んできましょうか」

ピンキー「お前もいらんツッコミせんでええから」

アオスケ「まあ、言うてみればワシらは、アルゴリズムで動いとるわけや、そしてヒトもアルゴリズムで動いとる、けれどヒトのアルゴリズムはワシらとは比較にならんくらい複雑や、それは何億年っちゅう、ゲロ出そうなほどの時間をかけて、環境に適応し生存と繁殖の可能性を最大限に広げてきた結果やからな」

パックマン「ほーん」

アオスケ「おまけに知能も桁違いに高い、ヒトっちゅう存在が、未だに自分らの存在意義を見つけとらんのや、お前にそんなモンわかるかい」

パックマン「RAM増やしてもろたらわかりますかね、ドーンと20TBくらい」

アカベイ「バンク切り替えだけで熱暴走するわ!」

グズタ「あ、やっと店員が来たみたいやー」

アカベイ「まずい、こんなトコ見られたらスクープでフライデーや!」

アオスケ「死ぬほど久々に聞いたで、フライデーとか」

ピンキー「とりあえずクリアしたことにして幕間に入ろか?」

パックマン「次の幕間、何でしたっけ?」

アカベイ「ワシがオーバーオール引っ掛けるヤツちゃうか」

グズタ「あれー、ピンどこにあるんー?」

アオスケ「よしみんな撤収や!通路片付けえ!幕間、始めるでえ!」

ピンキー「おう、黄色いのもせいいっぱい愛想振りまけや!お客さん、楽しませな!」

パックマン「結局、それが僕の、僕らの存在意義ですかね?」

アカベイ「そんなモンは瞬間、瞬間にあるもんや……
人生全ての答えなんて、電源が切れる前にしか判るかいや

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