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令和4年に地検が実名公表した特定少年

令和3年5月21日に少年法が改正され罪を犯した18歳と19歳に「特定少年」という特例が定められ、令和4年4月1日に新たに施行された。
(詳しくは下記の法務省HPを参照)

施行初年の令和4年4月1日から12月31日までの期間でどのように運用され報道されたのかを、『Google検索、ヨミダス、クロスサーチ、G-Search』で調査した。個人の調査のため漏れがある可能性がある事をご了承いただきたい。
実名が判明した少年に関しては当サイトでは原則イニシャル表記にした。
地検に実名公表された少年は18事件で19人となる(一人が2事件で起訴。判明分)
※情報提供をいただき加筆しています。ありがとうございます。
引き続き情報求む

①4月8日甲府地検の遠藤裕喜(19)

性別:男性
罪名:殺人、放火等
令和3年10月12日未明に甲府市のIさん方に侵入し、鉈やナイフで50代のI夫婦を殺害。少女も殺害しようとし頭部に一週間の怪我を負わせ住宅に火をつけて全焼させた。翌日に自ら出頭し逮捕された。
好意を寄せていた少女に冷たくされた事が動機とされたが本人が多くを語らなった。実名公表の特定少年第一号。
令和5年10月25日甲府地裁での初公判で終始無言
同年11月14日の被告人質問でも「社会に戻るつもりはない」と質問には答えなかった。
同年12月11日「更生の可能性はない」と死刑が求刑された(犯行時未成年は甲府地裁では戦後二例目)
令和6年1月18日死刑判決
精神鑑定では責任能力に問題なし、19歳という年齢を考慮しても被害者感情や社会的影響力は大きく更生の可能性は低いことが主な判決理由
同年2月1日に弁護人が控訴するも本人取下げで翌日確定
特定少年では初。一審確定の少年死刑囚は現行の刑訴法では初。
【読売22.4.9】【読売山梨23.10.26】
【読売山梨23.11.15】【読売山梨23.12.12】

②4月28日大阪地検のI(19)とA(18)

性別:共に男性
罪名:強盗致死(Iは強盗殺人で家裁送致)
令和4年3月1日、寝屋川市にて他20歳と21歳と共謀して専門学校生(20)を襲撃、催涙スプレーをかけて警棒で殴り、刃物で背中を刺して13万円を奪った。
殺意の認定がなされず強盗致死での起訴となった。
【読売22.4.29】

③5月13日東京地検のS(19)

性別:女性
罪名:殺人
令和4年1月9日に江戸川区で男性(25)の腹部を包丁で一回突き刺して殺害。女性初の実名公表特定少年
【産経22.5.14】

④5月18日福島地検郡山支部のS(19)

性別:男性
罪名:強盗殺人、窃盗
令和4年2月9日から10日にかけて塙町のKさん方に窃盗目的で侵入し、見つかったために鉄パイプで滅多打ちにして殺害し、キャッシュカードを奪いATMで現金を引き出した。
【福島民友22.5.19】

⑤5月19日水戸地検のH(19)とT(19)

性別:共に男性
罪名:傷害致死
令和4年2月12日土浦市で千葉県に住む男性(21)の顔を殴り転倒させ、頭や顔を踏みつけて被害者は7日後に死亡した。この事件で他6人が逮捕されたが、1人は暴行罪で起訴され残りの5人は不起訴処分となった。
【朝日茨城22.5.20】

⑥6月2日大阪地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:現住建造物等放火
令和3年11月29日に大阪市で物流倉庫を放火し、3万平方メートルを焼き5日後に鎮火。翌年1月にも同市同社の倉庫にも火をつけてボヤ騒ぎ。
被害額は物流費も合わせれば100億円以上と言われた。
起訴は新聞では殆ど報じられず、【産経大阪22.6.15】と【宮崎日日22.7.3】で確認できるのみだった。

⑦6月3日東京地検の年齢氏名不詳

性別:不詳
罪名:強盗致傷、住居侵入
詳細不明のため情報求む
【宮崎日日22.7.3】に6月30日までの共同通信調べのリストが掲載されているが、このリスト以外の情報は今のところ見当たらない。
令和4年6月以前に都内で強盗致傷で少年が検挙されたネットニュースはあるが、該当する事件かは不明。

⑧6月16日宮崎地検のS(19)※⑪と同一人物

性別:男性
罪名:住居侵入、強盗
令和3年3月27日に宮崎市内で工事関係者を装い老夫婦宅に侵入し、暴行を加えて現金500万円を奪った。
家裁送致後、20歳になり検察官送致となった。
【朝日宮崎22.6.17】

⑨6月21日東京地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:通貨偽造、同行使
詳細不明のため情報求む。最初の起訴(5月11日)では実名公表されなかったが【西日本22.5.12】、追起訴(6月21日)され公表された(?)というサイト情報もあるが、同一人物なのかを確証する報道は見当たらない。【宮崎日日22.7.3】
※参考サイト/弁護士 服部啓一郎氏note

⑩6月?日徳島地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:強盗致傷
令和4年4月10日阿南市の店舗駐車場で男性を車に乗せて首を絞めるなどし現金の入った財布を奪った。
公判も実名にて進められたようだが、記事が公判時と別件の特定少年の記事の中で触れられている程度なので当方は詳細は把握していない。
【読売大阪23.3.15】【徳島23.8.3】

⑪7月7日静岡地検沼津支部の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:強制わいせつ致傷
令和4年4月上旬に静岡県東部の路上で自転車で走行中の十代女性を転倒させ、わいせつ行為をし足や腕に全治一週間の怪我を負わせた。【静岡22.7.8】
静岡新聞や朝日静岡版では最初から事件の性質上を理由に匿名。
静岡放送での第一報は実名だったようだが、すぐにリンク切れし、その後は匿名報道に切り替わった。なので当方は少年の氏名は把握していない。

⑫7月25日仙台地検のS(19)※⑧と同一人物

性別:男性
罪名:強盗致傷、住居侵入
令和4年4月18日、他数名と角田市内の女性宅に侵入し口を塞ぎ、「殺さないから騒ぐな」と脅して金品を奪おうとし唇に加療三週間の怪我を負わせた。
【朝日宮城22.7.26】

⑬9月9日名古屋地検のM(18)

性別:男性
罪名:危険運転致死
令和4年7月23日夜、名古屋市内で「友人の車より先に行きたかった」のを理由に高速度で赤信号に侵入し、横断していた17歳の少年をはねて死亡させた。
「極めて危険」「強い非難が向けられるべき」と検察官送致された。【読売愛知22.9.10】

⑭11月2日津地検のH(19)

性別:男性
罪名:強盗致傷、監禁
令和4年7月1日に三重県内にて他二名と共謀し、15歳から19歳の少年三人の腕をナイフで刺し、車のトランクに入れて監禁し暴行を加えて現金の支払いを約束させた。【読売三重22.11.3】

⑮11月16日那覇地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:強盗致傷、器物損壊
令和4年5月8日に那覇市で男性から現金を奪い怪我を負わせる。同17日他一名と共謀し女性からハンドバッグを奪う。6月4日他一名と共謀し男性を金品を奪う目的で殴り怪我を負わせ、携帯電話を取り上げ壊した。
初めは恐喝未遂で起訴されたがその後強盗致傷で起訴され実名公表
【琉球新報22.11.17】

⑯11月24日京都地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:危険運転致死傷罪
令和3年12月、与謝野町で民家の石垣に激突し、四人を死傷させた。翌年11月30日までに在宅起訴された少年は自衛官。処分は同月24日付け
【京都22.12.1】

⑰12月2日千葉地検のY(19)

性別:男性
罪名:覚醒剤取締法違反
令和4年9月に仲間と共謀し、マレーシアから貨物に隠した覚醒剤を密輸しようとした。認否不明。Yは神奈川県茅ヶ崎市在住。【千葉日報22.12.3】
新聞では匿名だが、12月5日の千葉テレビは実名報道

⑱12月20日大分地検の氏名不詳(19)

性別:男性
罪名:危険運転致死
令和3年2月9日大分市で乗用車を制御困難な194キロで走行し、右折してきた会社員が運転する車に妨害する目的で接近し追突し死亡させた。
当初は過失運転致死罪で起訴されたが遺族は不服として2万8千人分の署名を集めて訴因変更で起訴された。
【大分合同22.12.21】

以上が現在、私が把握している地検が実名公表した特定少年になるが、抜けや不詳の部分で情報をお持ちの方はご教授いただきたい。
信濃毎日新聞23年4月3日の記事では施行後の1年間で裁判員裁判対象の事件に限ると25事件28人が地検が実名公表したと記されている。
施行されて最初の頃は地検もそれに合わせたかのように起訴し公表していた感があるが今後どのようになっていくか注視していきたい。








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