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⑫ 淋病の治療費目当て 山田秀則(19)

小さな農村での事件

熊本県八代郡滝峰村で暮らす山田秀則(犯行時19)には父親はいない。11才で死別し実家の零細農家では母親が姉弟四人を育て切り盛りしていた。
秀則自身も農業の手伝いをしていたが、次第に熊本市内に通うようになり映画や女遊びに興じるようになり淋病を患ってしまう。
もともと盗癖があり、親戚からは煙たがられていた事もあり、肺の病気の治療費と嘘をいい金策していたが、うまくいかずに、近隣の老夫婦がアメリカ帰りで相当な現金を持っていると知り、この老夫婦から金を奪おうと計画した。
昭和22年12月20日に被害者宅に訪れ、茶の間に通された際にまき割り用の手斧でメッタ打ちにし夫婦を殺害し、現金を探したが見つからず丸帯を奪って逃走した。
【刑資56上】【警察指紋制度のあゆみ】

指紋捜査で逮捕

この事件は指紋捜査により解決した事件。
現場の鑑識捜査により奥座敷の篭筒から鮮明な指紋を採取し、また床下やタンスからは血痕の付いた足袋も発見。
はじめは流しの犯行と思われたが、状況により被害者夫婦と顔見知りの近隣の若い男として内偵捜査が進み、金銭に窮していた山田が浮上し任意にて指紋を採取したところピタリと一致し、12月23日に逮捕となった。
翌日には金目当ての犯行と自供し、その日のうちに地検に送検された。
※熊本日日では山下秀夫、朝日西部地方版では山川五助とそれぞれ仮名での表記
【警察指紋制度のあゆみ】
【熊本日日昭和22年12月23日と25日】
【朝日熊本版昭和22年12月25日と27日】

死刑確定。そして執行

昭和23年4月26日 熊本地裁八代支部 死刑
昭和23年11月13日 福岡高裁 死刑
昭和24年5月31日 最高裁上告棄却
【刑集37巻6号】

昭和26年6月5日 死刑執行
【警察指紋制度のあゆみ】








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