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Infostellar、地上局市場の破壊を狙って追加資金調達

企業がコンピューティングパワーだけでなく、ITネットワーク全体をレンタルできる世界で、東京に拠点を置くスタートアップInfostellarはこのようなモデルを、拡大する低地球軌道 (LEO) 衛星マーケットのためにサービスとして地上局を提供すること計画している。

衛星運用者は、衛星が上空にいるときのみ、高額な地上局使用料を払って通信することしかできません。(通常、LEOでは1日1時間未満の使用のみです。)それを考えると、LEO事業者が他の無駄になったダウンタイム時(衛星が地上局を飛行し、情報を地上に送る時のこと)の情報から収益を生み出すために、何らかの情報収集組織や再販業者を求めているのは当然のことのように思えます。

この状況はInfostellarにとって当初は知り得ない事実であり、驚きでもありした。

同社が2016年に設立されたとき、共同設立者でCEOの倉原直美氏は、地理的な範囲を拡大するために、地上局のネットワークを互いに共有したいと考える衛星通信事業者の仲介者としての主な役割を思い描いていた、と述べています。しかし、LEO市場は予想以上にゆっくりと成長したと彼女は言います。

「私たちは、地上局所有者がダウンタイム時に収益を得る必要がある課題に直面しました。一方で、地上局を所有していた衛星事業者は、各地上局を共有する気にはなれませんでした。彼らはただサービスを買いたかっただけでしたので。」

「需要と供給が分離されている。」と、彼女は言いました。

そこでInfostellarは、TechCrunchが「地上局用Airbnb」と名付けた、地上局所有者と衛星通信事業者とのマッチングサービスを提案し、クラウドベースのウェブプラットフォーム「StellarStation」を提供しました。

倉原氏によると、「小さな衛星会社が地上局を利用できるようにする」という目標は変わらず、方式のみ変更しました。

Infostellarはサービス開始に合わせて、Airbus VenturesとSony Innovation Fund、新たにDaiwa Energy Infrastructureと三菱UFJキャピタル、そして三菱UFJリース&ファイナンスから350万ドルの転換社債を調達しました。同社はこれまでに合計1150万ドルの資金を調達しており、6月までに完了する予定です。

転換社債・・・「転換社債型新株予約権付社債」 株式に転換する権利(転換権)を持つ社債のことであり、あらかじめ決められた価格で一定期間内に株式に転換する権利を持った債券のこと。

倉原氏によると、同社は現在、地上局をサービスとして世界中で提供できることを目指しているといいます。Infostellarのネットワークには現在13個の地上局があり、最近になってアゼルバイジャンの衛星運用会社Azercosmosとオーストラリアの地上局運用会社Capricorn Spaceと契約を結びました。

このネットワークは、SバンドとXバンドを含むLEO衛星が使用するすべての周波数をカバーしていますが、その地理的な範囲は当面制限されています。倉原氏によると、16〜25個の地上局にすることは、世界をカバーするための重要な目標であり、地上局の位置に大きく左右されるという。同社は今年、さらに追加で5〜6カ所の地上局まで拡大する計画です。

次のステップとして、地上局ネットワークへのアクセスに対して料金を支払う用意のある衛星事業者から契約を得ることだと、彼女は説明しています。

「StellarStation」は、ネットワーク内の地上局の予約や運用を行うプラットフォームで、ハードウェアやプロトコルに依存しないと同社は述べています。これは、従来の衛星テレメトリ(遠隔測定法のこと)と管理システムが非常に独占的で、データが蓄積されていることを考えると、良いことだと述べています。

Webベースのインターフェイスにより、潜在的な顧客は互換性のある地上局をネットワークで検索できます。同じインターフェイスを使用して、衛星がオーバーヘッドになる時間帯に地上局を予約したり、アップリンク(命令を衛星に送ること)を管理することもできます。

さらに、規制要件はInfostellarの大きな目標の1つである、衛星ビジネスへの参入障壁を低くすることを妨げています。理論的には、サービスとしての地上局は、企業が衛星ビジネスに参入するために独自の地上局を必要としないことを意味します。

しかし、規制上の要件により、衛星事業者はいずれにせよ、地上局を所有しなければならないことになっているため、Infostellar社は昨年、OneWebの前行政担当ディレクター、アンドリュー・フライ氏を新たな規制業務部門の責任者として雇用しました。同部門の目標は、小型衛星コミュニティーにおける規制問題の認知度を高め、「規制や免許の遵守を促進するための専門的なサービスを提供することで、地上局の所有者と衛星通信事業者を支援する。」ことだと、同社は述べています。

Sony Innovation Fundの最高投資責任者 (CIO) を務める土川源氏は最新の資金調達ニュースリリースで、Infostellarは衛星通信事業者と地上局プロバイダーに 「画期的な」 ソリューションを提供すると述べました。

土川氏は「Infostellarチームは、卓越したソフトウェアエンジニアリングと、宇宙産業におけるリソース共有という独自のアプローチの珍しい組み合わせです。」と話しており、「彼らは研究と技術の両方で大きな進歩を遂げており、それは彼らの最先端の技術革新を市場にもたらすのに役立つだろう。」とも述べています。

【原文へ】”Infostellar Raises Additional Capital in Attempt to Disrupt the Ground Station Market” ©︎Access Intelligence

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