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購入ボタンが遠いLPが成立する理由 | デザイナー専用Webマーケ解説Vol.001

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このnoteは、Webデザイナーさん専用のWebマーケティング解説マガジンです。

書き手は元Web広告代理店のクリエイティブ責任者。今までデザイナーの皆さんに渡ることのなかった「代理店目線の考え方」も交えながら構成しています。
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noteをご覧いただきありがとうございます。
みなさんこんにちは、サトウです!

Webデザイナーさんに、日々情報をお届けしたいなと思いこのようなマガジンを立ち上げました。記念すべき第1段です。
最近のアドやLPの傾向、マーケティング用語の解説や、その他デザイナーさんが気になっていそうなことを色々お話できればと思っています。

週末に1本(調子が良いときは週に2本)必ず更新していきたいと思います。よろしくお願い致します!

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/ 2023年12月10日発行 /

■目次
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…1. 最近のアドやLPの傾向
…2. 今週の"よく聞くマーケティング用語解説”
…3. 近況、そして体験会やスクールの裏側
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…1. 最近のアドやLPの傾向


最近目にしたアドやLPの中で、気になったものをピックアップして解説。
デザインというよりは、その構成や裏側っぽい話を自分なりの視点でお届けします。

▼今週はLPのお話をします(配信媒体はMeta)
・ベルタママリズム
https://belta-shop.jp/shopping/lp.php?p=belta_mamarhythm_1
・豊潤サジー
https://cp.finess.jp/hojunsaji_f1_4_n

リンクが切れちゃうかもなので、一応以下にキャプチャも保存しておきます。
https://drive.google.com/drive/folders/1NCSkzcDv_G3QZV4-lyW2nLmacqHNZYnS?usp=sharing

どちらもLPも、Metaで非常に多く配信されているLPです。女性向けの美容商材のLPとしてはトレンドであり、流行りの内容かと思います。


▼特徴

・ベルタママリズムは、CTAエリアをLPのだいぶ下の方に設置するという珍しい構成
・ただ、CTAエリアの場所を除けば、LP前半のコンテンツ構成はわりと似ている。
 ┗有名人(ベルタママリズムのみ)
 ┗実績(雑誌や販売個数)
 ┗ママたちの口コミ
 ┗オファー紹介&CTA

両者、ママ向けの商材ながら、LPトップの構成に大きな違いが見られます。注目したいのは、ベルタママリズムのCTAエリアがすごく下にあるという構成。一緒にピックアップしている豊潤サジーのLPと見比べていただけるとすごくわかりやすいです。
「1スクロール以内にCTAエリアを入れた方が、CVRは上がる」というのがWebマーケティング業界の定説ですが、それを見事に裏切っています。


この構成になっている理由ですが、いくつか考えられます。
まず、ベルタママリズムは定期コースだからという点。定期コースとなると、どうしても値段は高くなるため、ユーザーには「安さ」を印象付けづらくなります。安さ以外の特徴でLPを読み進めてもらうよう、興味喚起を行う必要がある。そのため、商品の様々な特徴を織り交ぜながら訴求しているのだろうなと思われます。

それからベルタママリズムは、LPにフローティングボタン(ページの下部についている追従ボタン)がついているのも、FV下にCTAエリアを持ってきていない理由かなと思います。


フローティングボタンは、モノによりますが、CVRを10〜30%程度改善することも多いです。ここ数年の流行りですね。フローティングボタンが入っているので、そこでお得押しは成立する。よって、LPトップで価格押しをすると訴求が重なるので、そこをあえて分けているという可能性も考えられます。

また、更に伝えると、もしかすると、「安いから買う」というユーザーをなるべく除外しようとしている可能性もあるかもしれません。
というのも、ベルタママリズムのブランドさんは、「ライフステージをあなたと育む」という理念を掲げていらっしゃって、ユーザーさんとのなるべく長いお付き合いを構築しようという姿勢をお持ちです。

▼公式ホームページ
https://belta.co.jp/brand/

つまり、「安いから買おう」というユーザーさんよりも、本当にその商品を求めていて、長くお付き合いできるようなユーザーさんとの出会いを大切にしている。そういった想いをLPにも反映すると、「お得押し」みたいなことがLPトップにいきなり出てこなくても良いし、きちんと商品のことを読んで、気になった人にだけCTAのエリアを表示させれば良い。という考え方にもなると思います。

デザイナーさんにお伝えしたいこととして、みなさんの中には、「デザインする時にクライアントの理念や想いを聞く」という方も多いと思いますが、これは実際にした方がよくて、その結果、上述のようにLPの内容も変わっていったりします。

つまり、「とにかく安い価格でたくさん新規のお客さんを取りたい」という思いが強いお客さんと、「長くお付き合いできるお客さんが欲しい」という場合だと、セールスのメッセージも変わってくるはず、という感じです(もちろんデザインのトーンも)。

なので皆さんも、例えばクライアントさんと、商品への想いについて聞いた際、その想いに合わせて構成を変えたり、もちろんデザイントンマナを変える等は、クライアントもとっても喜んでくれるし、実際LPの効果にも跳ね返ることは多いです。

また、もうひとつ構成についてお話ししておくと、ベルタママリズム・豊潤サジーともに、CTAエリアの場所は違えど、LPの前半を構成する要素は似ていますね。

┗有名人(ベルタママリズムのみ)
┗実績(インスタや雑誌や販売個数)
┗ママたちの口コミ
┗オファー紹介&CTA



LPのファーストビューや前半は、業界的には「読み進める理由を作ること/読み進めるきっかけ作り」が役割と言われていますが、女性向けの商材の場合は、LPのトップに有名人や雑誌等でのランキング獲得等が有効であることは多いです。

「こんな人が使っている」「こんな場所でもオススメされている」なら、それだったら商品のこと気になっちゃう、みたいな流れです。

例えば近年のコスメで言うと、田中みな実さんがオススメしているとそれだけ商品が売れたり。ああいう現象が、女性向け商材のLPでも起こることは多いです。
なので、「〜〜配合」とか、そういう商材の具体的な成分や機能の話をするのは、個人的にはあまりおすすめしません。

芸能人やタレントさん、綺麗なモデルさんのレビュー、もしくは雑誌やメディアでの掲載・ランキング実績等で、きちんと冒頭を固めること。やはりこれが、女性向け商材の鉄板の流れかなと思います。

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…2. 今週の"よく聞くマーケティング用語解説”

「なんか聞いたことあるけど、いまいち理解しきれない」
そんなワードを、デザイナーさん向けに解説するコーナーです。

本日のお題は、「CPA」と「LTV」

まずCPAは、皆さん聞いたことも多いと思います。「1人のお客さんを獲得するために何円の広告費を使ったか」ですね。
計算式は、「広告費÷獲得したお客さんの数」です。

例えばみなさんが、A・Bという2種類のバナーを作ったとします。

Aのバナーは、広告費を1万円使って1人のお客さんから商品購入があった。
Bのバナーも、同じく1万円の広告費を使ったが、こっちでは2人お客さんから購入があった。

つまり、同じ広告費1万円でも、2人お客さんを獲得できた「B」のバナーの方が優秀だということになりますが、これをCPAで書くと以下になります。

・A:1万円÷1人=CPA1万円。
・B:1万円÷2人=CPA5000円。

Aの方はCPA1万円。つまり、「お客さん1人を獲得するために、1万円使っちゃった」ということ。
Bの方はCPA5000円。「お客さん1人を獲得するために、5000円しか使わなかった」ということで、費用対効果で見ると、Bの方が圧倒的に良かったことを示しています。

覚えておいていただきたいのは、「CPAは、安ければ安いほど良い」ということです。
本当に、「安ければ安いほど良い」。

これがCPAです。デザイナーさんが触れる会話としては、例えばクライアントさんから、
「みなさんの作ったバナー、だいたいCPA1万円ぐらいで取れてるんですよ〜、前までは1万5000円とかだったんで、めちゃ効果良いです!」
みたいな。

繰り返しになりますが、「CPAは、安ければ安いほど良い」です。こちらだけ覚えていただけると嬉しいです。

続いて解説するキーワードは、「LTV」
こちらは、聞いたことない方もいるかもしれませんが、最近のWebマーケ業界では、特に聞くキーワードなので、覚えておいていただけると良いかなと思います。

LTVとはなにかというと、「ユーザーが、そのブランドに対して合計何円使ってくれたか」を表す数値です。

例えば皆さんは、無印良品のアイテムを、今までに合計何円ぐらい購入してますかね。
僕は無印大好きなので、あのカレーシリーズだけでも10000円ぐらいは買っているだろうし、ブランケットも買ったし、その他色々合計すると、10万円ぐらいはお金を落としているかもしれません。

この「10万円」が「LTV」です。わかりやすく言うなら、「そのユーザーさんは、人生をかけてどれだけそのブランドにお金を落とすか」を指します。
こっちはCPAと違い、「多ければ多いほど良い」です。

で、なぜこの「LTV」が最近よく重視されるかというと、上述の「CPA」を追い求めすぎると「LTV」が低くなるから、です。

例を出します。
先程のベルタママリズムのLPをご覧いただきたいのですが、
https://belta-shop.jp/shopping/lp.php?p=belta_mamarhythm_1

仮にこのLPが、FVでめっちゃお得を押していて、CTAエリアも上部に持ってきていたら、その分、新規の購入数は増えるかもしれないですよね。
「こんなに安いなら買っちゃおう!」という、「安さ」に引かれてユーザーさんが購入するからです。安さ正義。

なんですが、「とりあえず安いから買っちゃおう」というユーザーは、別に商品に対して強い思い入れも持ちにくいので、一回買って終わりになっちゃうこともありそうですよね。つまり、お得さを全面に出した広告だと、「CPA」はすごく良いかもしれない。けど、その時購入してくれたユーザーは、購入一回きりで商品に見向きもしなくなるので、このブランドに落とすお金=「LTV」は低くなる。

何が言いたいかというと、Web広告というものは、皆さんもご存知の通り、「CPAが低ければ低いほど良い」とされていました。
けれど、そっちを目指すあまり、「新規ユーザーはたくさん取れるけど、結局ブランドにたくさんお金を支払ってくれないユーザーさんばかりになっちゃった」というのが、いまWeb広告業界ですごく起こっています。

なので多くのブランドさんが、「CPAよりも、LTVの方が実は大事そうだぞ?」ということに気づき、一度ユーザーになってくれたお客さん向けに、その後も商品を買ってもらおうとしたりもする。だから、Instagramでお客さんを惹きつけ続けたり、LINEの公式アカウントでコミュニケーションを取り続けたり、というのもより必要になっているという感じです。

つまり、CPAとLTVは密接に関係していますし、そのことを、覚えておいていただけると嬉しいです。

CPAを低くしようとしすぎると、一度きりのお客さん(LTVが低いお客さん)がたくさん入ってきちゃって、結局ブランドの売上が落ちちゃう。
でも、CPAを低くしないと、新規のお客さんを獲得するのに広告費がかかりすぎて、ブランドの財政状況が悪化する。

このCPAとLTVのバランスの中で、ブランドさんは悩んでいるというのが今であり、「LTV重視」の姿勢、つまり、「一度ユーザーさんになってくれた人と、なるべく末永いお付き合いを」となると、ベルタママリズムのようなLPになるかもしれない、というイメージですね。

ちなみに、LTVの略は「Life Time Value」。ブランドにとってのそのユーザーの「生涯価値」という意味になりますが、ちょっとむずかしいので、「サトウは無印に合計10万円落としている。無印にとっての佐藤のLTVは、10万円である」ということを覚えておいていただけると嬉しいです。

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…3. 近況、そして体験会やスクールの裏側


最後に、日々色々なデザイナーさんとやりとりさせていただいていますが、そんな自分からの雑談めいた近況について。

現在、デザイナーさん向けに、「デザイナーさん×代理店ワークショップ」と題した体験会を実施しており、いわゆるスクール事業のようなものを準備中なのですが、皆さんとお話していると、「実案件での実践の機会」というのは、本当に大事なんだなと感じさせられたり。

というのも、思えば普通に会社員の人って、上司がいて、その上司のもとで新しい案件にチャレンジして、出来ないながら支えてもらって、そして成長していくという流れをとると思います。

が、フリーランスのデザイナーさんはそうではない。何か新しいスキルを身につけるためには、スクールのようなものに入らなければいけないことが多い。けれど、そこでは「教えてもらうだけ」だったり「仮想の案件での経験」があるだけで、経験を積むには不十分だったりする。なので、ステップアップのための案件にはチャレンジしづらかったりする。

このへんの、デザイナーさんにとってのネガティブな側面を、うまく解決できればなと思っていたりします。
「スキルとリテラシーを分けて考えること」が大事だと思っているのですが、知ると出来るの間には大きな隔たりがあり、デザイナーの皆さんは、「スキル」を求めたのに「リテラシー」しか手に入らなかった、みたいなこともあるかもなと思ったり。

このあたりをどうすれば解決していけるものか、デザイナーさんの話を聞きつつ、色々な取り組みに昇華させることができたらと思います。

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マガジンへのご意見、ご要望、質問なども募集しています。
頂いた質問は、毎週noteで回答します。もし何か答えてほしいこと等ありましたら、

https://marshmallow-qa.com/u60a6ryb086f21s


まで、どしどしご連絡ください。

※全ての質問に必ずしも答えられるわけではありませんので事前にご了承ください。
※ご質問を頂いた週のメルマガではなく、翌週以降のnoteでお答えする場合も多くございます。

本日のコンテンツは以上です!
それでは、冬本番の寒さという感じですが、お身体にお気をつけて。
また来週お会いしましょう!

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【実案件のヒートマップを見ながら、LPの分析・改善方法を学べます!】
毎月3〜4回ほど、無料のワークショップを実施しています。

「LP分析&改善の基本」というコンテンツをご用意しつつ、実際の提案資料や分析資料をもとに生々しくお話しています。

こんなデザイナーさんにオススメです!
・LPヒートマップを見たことはあるけど、考え方がわからない
・LPの分析や改善提案まで行ってみたい
・分析まで求められることもあるが、まだ作ることしかできない
・代理店側ではどんな考え方や分析を行っているのか知りたい

詳細はこちらからご覧くださいませ!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSceE5Fkrvu07yLCDh-1GqJGvvvjKmv0G39ijcrU4ybW4Qu_4A/viewform

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