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信頼関係はなぜ重要か

サティは『わかってもらえるさ』
でも書いたけど
カトリックのお嬢様学校に
間違えて入ってしまい
入学してすぐに
不適合者の烙印を捺されてしまったんだ。                                            

登校すると毎朝校門に5、6人の教師が並び
服装や髪型をチェックされる。
サラリと後ろに流し
生まれつき茶色い髪のサティは
すぐにピックアップされた。

『あなたはなんだか大人びてるのよ』

そんなこと知ったこっちゃないが
毎日毎日連行され
執拗に持ち物検査される日々。
ヒステリーババァの教師達は
サティの鞄の中から
詩を書いたノートや
友達に宛てた手紙などを取り上げ回し読むと
サティを思いきり危険で異質な存在だと
疑いの眼で眺めた。
本校にそぐわない問題児
更正させるかそれが出来ないのなら
早く追い出し排除したい
まるで本当にそんな勢いだった。

教師達の頭の中で描かれていることは
およそ想像がついた。
だけどサティは自分が何か悪いことをしている
自分が間違えているとは
どうしても思えなかった。


サティはしだいに元気が無くなっていった。
毎日毎日否定され
疎外感を募らせる日々。
サティはだんだん気を弱め
学校を辞めたいと思うようになっていった。


授業中に呼ばれ
サティは担任の先生に連れられて
校長室に行った。
宮殿みたいなゴージャスな校長室に
校長のシスターが座っていて
その前に父親が座っていた。
ヒステリーババァ二人が横に立ち
サティは招かれ父親のとなりに座った。

何を話していたのかは
あまり覚えていない。
ただこの女学校の雰囲気に合わない
普段はラフな格好をしている父親が
着なれないスーツを着て
『はい…はい…』
とただ頷き
何も異論反論をしなかったことだけは
覚えている。

その後サティは早退して
父親と一緒に帰った。
今思えば
『今日は娘さん早退させますから
おうちの方でよく話し合って下さい』
みたいなことを言われたんだろな。


サティは父親の車の助手席に座った。

黙って窓の外を眺めていた。

心の中では仕事で多忙な父親に
迷惑をかけたことや
娘のこのざまに落胆させたことに対する
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
だけどどうすることも出来ないで
ただ黙って外を眺めていた。

父は運転しながら
一言目にこう言った。

『サティ、おまえ何であんな学校に入ったんだ
おまえに全然合ってないじゃないかー(笑)』

そして窓の外を眺めて
うんともすんとも言わない娘に

『おしゃれが好きなんだったら
そんな学校いくらでもあるぞ。
いつからでも今からでも入れる。
おまえの友達みたいな子達が
いっぱいいるぞ』


結局父親が車の中で言ったのは
それだけだった。


怒られてもいいはずのところなのに
親を失望落胆させて親不孝の娘だと
責められてもいいはずのところなのに
その時父の口からは
そんな言葉は一切
一言も出なかった。


サティは黙って外を眺めながら
涙が出そうになった。
流れる景色を眺めながら
サティはその時自分の心が
熱く燃えてゆくのを感じたんだ。
音を立て…色を変え…
世界がまるで変わって見え始めたんだ。


アドラー心理学の岸見一郎さんは
noteでこんなことを書いている。

フロムは、人のありのままの姿を見て
その人が唯一無二の存在
他の誰かに代えることができない
存在であることを知る能力を
『尊敬』(respectラテン語のrespicioが語源)
といっている。
信頼は、この意味での尊敬から始まる。
ところが大人は子どもを等身大では見ない。
過剰な期待をするか、過小評価をする。
子どもはそのために勇気を挫かれ
自分自身への信頼を持てなくなってしまっている。
そのような子どもを勇気づけるには
『あるべき』子どもではなく
(現に)『ある』子どもを
認めるところから始めるしかない。


サティはその時車の中で
『この父ちゃんの為に頑張ろう!』
本当に本当にそう思ったんだ。
何をしょーもないことで
挫けそうになってるんだ!
頑張れサティ!
できるだろ!


その日を境にサティは
まるで生まれ変わったかのように
その学校に順応していった。
その変わり様にヒステリーババァ達も
もはやもう何も言えなくなってしまった。


自分の(現に)『ある』がままの姿を
認め存在させてくれる人がいてくれること
信頼し尊敬してくれる人がいてくれること
それは本当にありがたく
とてもうれしいこと。
多少の壁も困難も乗り越える
勇気が自然と湧いてくる。


『高い入学金や授業料をドブに捨てる気か!』

『社会に馴染めないのは
おまえが足りないからだ!』


もしもあの時父親に
そう言われていたのなら
サティはどうなっていただろう…


誰かの為に頑張れること
信じてくれる人の為に頑張ること
それは本当にやりがいがある勇気。
それがたとえ自分の作り出した
物語であったとしても
それがたとえ自分自身の
ただの主観であったとしても


大人になった今
もしも悩める子ども達がいたら
サティはこう伝えたい。


この世はそんな悪いところじゃないよ

世界はとても広く美しい

唯一無二の君のその花を

思いきり咲かせてごらん

君ならきっとできるよ

何か手伝えることがあったら

いつでもいってね





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最後まで読んでくれてありがとう(*^^*)♪

またサティに会いに来てねー(^з^)~.:*:・'°☆


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