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体育館裏の秘密

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

あの子はいつも私を見ていた

それは、小学3年生の時のお話。

サティは小学校を三つ転校している。
二つ目のその学校は郊外にあり
緑が多く運動場も広く
とても素敵な小学校だった。

その頃のサティはとても活発で
太陽を浴びて野山を駆け回り
いつも真っ黒に日焼けした
ギャングエイジだった。

仲良しの女の子1人と4、5人の男友達と
いつも一緒に遊んでいたが、
ある日突然見知らぬチビ助が加入していた。
なんだか頼りないそのチビ助は
とても甘えん坊の顔をしていて
走るのも遅くボールもキャッチできない。
誰か男友達の連れなんだろう
そう思いながらサティは
特に会話を交わすこともなく
たいして気にせず遊び回っていた。


気付かなかったがそのチビ助は
3年4組のクラスメイトだった。
そしていつも何故かサティを

めっちゃ見ている……

熱い視線で気が付くといつも

めっちゃ見ているのだ……。。


程なく、そのチビ助は

『おね~たま~~♪』

とサティにめっちゃなついてきた。

その熱を帯びた眼差しと
満面の笑み
駆け寄る女の子走りに
サティはいつもゾッとしていた。


気持ち悪い……


でもそのチビ助は
全く人目を気にせず

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

といつも満面の笑みで駆け寄って来る。
サティはいつも全力疾走で逃げていた(笑)

そんなある日
体育館の裏側でサティがのほほんと運動場を眺めていたら
いつの間にかそこに来ていたチビ助に
抱きつかれた。
正確にいえば立っているサティの前にひざまづいて抱きついて来た。

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

お尻に手を回し股間に顔を埋め顔をスリスリして

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

サティは金縛りみたいに凍りついた。


だけど


そのチビ助があまりにも
幸せそうで…
幸せそうで…

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

チビ助は夢心地のまま
私にギュッとしがみつき
時を忘れたかのように
抱きついていた。


何故だか理由はわからない


本当に不思議なのだが


サティはその時
そのチビ助が
とても可愛い赤ちゃんみたいに
思えてきたんだ


とても純粋な心で
私を求め抱きついている
とても綺麗な心…
そんな心象が伝わってきたんだ。。

サティは力を抜いて身を任せた。
そっとこのまま甘えさせてあげよう
そんな気持ちになっていた

とても不思議な一体感。


体育館裏の秘密の出来事だった。


今になって思うとあれはたぶん
《子宮回帰》だ。


あの時チビ助は胎内回帰
子宮回帰の夢の中だったんだ。


そして9歳のサティは
無自覚ながらも内在する《母性》を
きっと揺さぶられたんだな。。


まぁそれっきりの話で
その後チビ助とよろしくなったわけでも
さっぱりなく

それ以降チビ助の記憶はあまり無い。

そもそもチビ助とろくに会話をしていない。
『おね~たま~~♪』

チビ助のセリフは
それしか出てこない(笑)


秋の終わりの放課後
近所の坂道を自転車で走っていたら
家の窓からチビ助が

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

と私を見つけ
窓から身を乗り出し
ちぎれんばかりに手を振ってきた。

『おね~たま~~♪おね~たま~~♪』

それは恐ろしい位の大豪邸で
奥に着物を着たお母さんが見えた。


ある意味俗っぽくない変わった奴だった。。


周りの冷やかしなんか全く気にせず
『おね~たま~~♪』
と真剣まなこの熱い視線で
走り寄って来るのだから…


子宮回帰したいような

何かがあったのかな


下界で見つけた野放しのサティが

きっと珍しかったんだろうな


性的にもサティよりずっと

早熟だったのかもしれないな







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最後まで読んでくれてありがとう(*^^*)♪

またサティに会いに来てねー(^з^)~.:*:・'°☆



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