【小説】二人の背中には、まるで天使の羽が生えているようだった

「気がつけば、いつも二人の背中ばっかり見ている。」

この春、高校生になった小池悠人は暖かさのせいか授業中に眠ってしまったようでハッと目を覚ます。

(なんか...嫌な感じの夢を見ていた気がするな...)

新しい校舎、新しいクラス、新しい環境。
悠人にはすべてが新鮮のように思えて、これからの生活を想像してワクワクしていた。

そんな悠人にも友達ができる。


「宮田博之」 ー 真面目なタイプでおせっかい、母親みたいな性格

「林翔太」 ー 元気だけが取り柄であまり空気の読めない性格

この二人だ。


体育の授業で三人組を組まなくてはいけなくなった時、悠人が取り残されて困っていたところに博之と翔太が誘ってくれて事なきを得た。

それ以来、悠人・博之・翔太の三人は休み時間には他愛のない話をしたり、学食で一緒に昼ご飯を食べたり、放課後には禁止されているがゲームセンターに行ったりなどして遊ぶようになった。

いわゆる仲良し三人組ってやつだ。


友達もできて順風満帆に高校生活を送っていた悠人だが、どこかいつも寂しさのようなものを感じることがあった。

博之・翔太と一緒にいても、自分だけ取り残されているようなそんな感覚。

「気がつけば、いつも二人の背中ばっかり見ている。」

昼ご飯を食べ終えて教室へと戻る道のりで、悠人はぼんやりとそんなことを思ったのだ。



博之と翔太は昔から仲が良いらしい。

どうやら幼馴染のようだ。家だって近い。

二人の仲が良いことはクラス全員いや学年全員が知っているくらいで、そんな中なぜ僕がこの二人と一緒にいることができるのだろうかと、そう疑問に思う時がある。


たまたま体育の授業で僕を誘ってくれて、それから一緒につるむようになって。本当にただ、それだけ。

偶然の一致というか、なんて言うんだろう。

まあ、学生時代の友達なんてそんな始まり方だとは思っている。

中学の時もそうだったし。


二人とは一緒にいて楽しいし、不満なんて全然ない。

むしろ、こんな僕と一緒にいてくれて感謝さえしている。

けれど、それなのにまだ寂しさを感じてしまうのは自分がわがままだからなのだろうか。

二人の背中を追いかける、その度に僕の心はぎゅっと締め付けられるようだ。



今日もまた三人で行動を共にしている。

悠人はもっと二人と仲良くなりたいと思っていた。

二人と並んで歩きたいと。


悠人の性格上、仕方のないことだが三人が横並びになって歩くのはなんだか躊躇われるようで、いつも悠人が一歩下がって歩いている。

そして、博之と翔太の楽しそうな背中を見るたび、やはり胸がぎゅっと締め付けられ寂しい気持ちになるようだ。


悠人はなぜ胸がぎゅっと締め付けられるのか、まだその理由に気がついてはいなかった。本当の意味では。



「気がつけば、いつも二人の背中ばっかり見ている。」

僕はいつかこの二人と共に歩くことができるのだろうか。


(了)


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