【着物コラム】歴史から学ぶ着物の社会的ポジション

こんばんは。着物コーディネーターさとです。

「着物は昔は普段着だった」
とよく言いますよね。
私の世代だとギリギリ祖父母の世代まででしょうか。

では、いつから着物が普段着でなくなったのでしょうか?

今日は、着物=民族衣装、礼装、という定義が浸透した背景のお話をしたいと思います。

あくまで年代や符合した情報を合わせた、私の個人的な見解なので、
信じるか信じないかはあなた次第!
くらいのお気持ちでお付き合いください。笑

今回は着物の成り立ちのお話ではないので、近代からスタートします。



始まりは日本の近代化

明治時代以降、
洋服との区別として「和服」というワードが誕生したと言われています。

海外から洋服が渡来し、
貴族階級から徐々に浸透していったから区別の必要性が生じたんですね。
(ご興味のある方はググってみて下さい・・・)

明治時代は西暦にすると1868年~1912年。
19世紀後半の印象派の絵画でジャポニズムブームのイメージを持つ方が多いですが、
20世紀初頭のヨーロッパはシノワズリ(中国趣味)ブームで、
ジャポニズムブームはこれに牽引された形で流行したようです。

しかし、20世紀初頭の中国は辛亥革命の影響で政情が不安定。

そんな歴史的背景も加わり、
ファッションにおいてはチーパオに代わって
「キモノスリーブ」が、
この時代に流行したシース・スタイル(タイトなシルエットのドレス)の代表になります。

しかし、実際のところ、1920年代のチャイナドレスやチャイナローブにも
かなりゆったりした袖がついていたりするので、
「日本と中国、混同してるだけじゃない・・・?」
という感じも、しなくもないです・・・笑

余談ですが、
以前ファッション好きな友達と
「キモノスリーブって全然着物じゃないよね?」
と話した事があるのですが、
面白いことに「身頃と袖が繋がっている」以外の特徴は
ガン無視されているんですよね。笑

そして欧米は狂騒の1920年代へ突入。
日本は大正~昭和初期です。
シース・スタイルはフラッパースタイルとも重なっていきます。

皮肉なことに、
現代では体を締め付ける不自由な衣服としてのイメージの強い「和服」は、
コルセットや紐の締め付けから女性を解放したフラッパースタイルにも反映されていたんですね。

日本で「モガ」と称されているあのスタイルは
この時代のフラッパーのスタイルの影響がとても強いです。
日本人にも比較的似合うシルエットだったのも、
なんだか納得しませんか?

その頃のフランスはアールデコ・アールヌーヴォーの時代です。
南国の植民地支配の影響で
エキゾチックなモチーフのファッションやインテリア、アクセサリーも生産されます。
産業革命の影響で物品が大量生産されるようになりました。
特にアールデコの直線的なデザインは量産しやすかったようで、
爆発的な生産量を誇ったようです。

アールデコ・ヌーヴォーのデザインは日本にも渡来し、
アールデコの図案の着物やアクセサリーも生産されていました。

フルーツや南の国の植物、オウムなどのカラフルな鳥。
アンティーク着物の南国モチーフの図案は、
なんとなく浮かれていて、ファンタジックな図案が多いです。

1929年は世界恐慌。
1930年代は第二次世界大戦。

ドレスのシルエットに着物の影響は見えなくなります。
欧米女性のドレスも、物資などの影響でミリタリー調だったり、
ゴージャスというよりはカジュアルになっていきます。


ポツダム宣言は1945年ですね。
この頃になると欧米と日本のファッションには歴然とした差が生まれ、
1920年代のような世界を舞台にしたファッションの文化交流がなくなったように感じます。

第二次世界大戦後、着物は洋服の存在に押されて「礼装」という道を選び、
現在ではそのセレブなイメージに苦しんで衰退の道を辿っています。



ジャポニズム=逆輸入という観点

歴史と日本の状況をなんとなく横並びに書いただけですが、
これだけでも、歴史を背景とした着物の軌跡が見えると思いませんか?

私はこれらのファッションの文化交流を
「ジャポニズム」「逆輸入」という言葉で片付けてしまうのは
余りに勿体無いと思います。

ファッションは社会です。

日本の物が輸出されて、
アレンジされて戻ってきただけではありません。

現に近代においての着物も、海外文化の影響をモロに受けていますよね。
「着物は日本のモノ」だと言い切るのもナンセンス。
「ジャポニズム」「逆輸入」なんてもっとナンセンス。
着物はファッション、ファッションは社会です。


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