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【インサイトから、どう具体策に落とすか?】ボドゲホテル編

私はPRや、商品企画などを仕事にしています。最近ハマっている「WTIS」という企画フレームについて、ボードゲームホテルを事例にお話できればと思います。



WTISとは

W:達成したいこと。案件のゴール
T:ターゲットの全体/コアを決める
I:その人達のインサイトを探す
S:SNSスパイス。拡散要素はあるか

「WTIS」とは私が勝手に決めた企画フレームです。
「WTI」(ゴール・ターゲット・インサイト)」を設定することに加えて、最後に「S」(SNSスパイス)を加えることがポイントです。

「考えた企画は、SNSで拡散する要素はあるか」をチェックすることで、企画がギュッと引き締まります。実際ここ数年、このフレームで考えるようにして、成功の打率はグッと上がりました。

⭐️ボードゲームホテル
⭐️隠れ節目祝い by よなよなエール
⭐️あると助かるこども服「アルトタスカル」
⭐️約束のよなよなエール
⭐️0歳ボドゲ
⭐️佐久市リモート市役所

これらの事例は、ブルーパドルサイトの資料集(PDF)にまとまってます。よかったらご覧ください。


WTISの使い方(4文字を書く)

W:案件のゴール
T:ターゲット(ST/PP)
I:インサイト
S:SNSスパイス(拡散パターン・PR視点)

まず私が企画するとき、A4の紙に「WTIS」の4文字を書き出します。

そして、W(ゴール)を書いて、そこに合致するT(ターゲット)を書く。さらにTの心にブスッと刺さるI(インサイト)を出していく。

最後に、S(SNSスパイス)を書いて、拡散イメージも考えていく。ゴールは変わらないけど、Sが弱い場合、インサイトを見直したり、ターゲットを見直したりして、調整していきます。

具体的に2022年に大阪にできたボードゲームホテルを事例に、WTISを説明したいと思います。

●ボードゲームホテル
https://mimaruhotels.com/jp/hotel/namba-station/boardgame/

W:案件のゴール

プロジェクトのゴールは何か、Wantは何かをチームで明確にします。全てはゴールを達成させるためにあります。ゴールが変われば、全てが変わる。その覚悟で設定します。

●売りたいのか?
●認知をとりたいのか?
●配荷率を上げたいのか?
●ブランドを好きになってもらいたいのか?

ボドゲホテルの場合は91室の部屋を埋めるべく、「売れるホテル」をつくることです。大阪なんばの一等地で、競合だらけのエリア。売るために、何か話題性のある企画が必要な案件でした。


T:ターゲット

次に2種類のターゲットを設定。ターゲット全体と、その中で特に狙うべきコアターゲットに分けて考えます。

ST:大阪に旅行にくる団体客
PP1:ファミリー
PP2:ボドゲ好き
PP3:海外旅行客

ST(全体ターゲット)は、広く過不足なく設定。今回でいえば大阪旅行にくる団体客。そしてPP(最も狙い目のターゲット)は、ファミリー層/ボドゲ好き/インバウンド客としました。

ここで特に重要なのはPPです。この人達のインサイトに刺さる商品をつくることが、成功の秘訣となります。

そもそも何故「ボドゲホテル」に設定したのかも重要ですが、長くなるので今回は省略します



I:インサイト 

コアターゲットを決めたら、その人達のインサイトを考えます。理想は「消費者の隠れた心理」を見つけること。ターゲットの課題を解決すること。でも僕らが思いつくようなことは、大体もう解決されているので、あまり見つからないことも多い。

その場合、僕は「ただのニーズ」でも、それによってゴール達成できればOKとしています。「それ素敵!」とか「心に深くグッと刺さる」みたいなものでもいいので探します。

ボードゲームホテルの例でいうと、「一晩中遊びたい」という欲求を狙いました。

そもそもボドゲを友達と、長時間遊べる場所は多くない。ボドゲカフェか、友達の家に集まって遊ぶくらいしかない。だから「一晩中遊べる」というのは、それだけで魅力的。

修学旅行みたいに、みんなでワイワイする夜は、ほんとに宝です。一晩中遊べるボドゲホテル。これはMIMARUホテルのコンセプトである「大人数で泊まれるアパートメントホテル」との相性も抜群だったのです。

さらにターゲット別にインサイトを考えます。

人狼ファンに対しては、13人で一晩中人狼ができる専用部屋など「よくぞ作ってくれた」というツボを押すものを作りました。宿泊代だけで、人狼に特化して遊べる部屋は「神」です。さらに薔薇など、人狼に必要なアイテムも揃えました。


ファミリー層の場合は、とにかく「ホテルの部屋の中で、小さい子がめっちゃ遊べること。粗相しないか気を張らず、親もゆっくりできること」を重視しました。映えなくてもいいから、楽しくて気楽なホテルに。(いっつも家族でホテル泊まると、おもちゃ不足で困るんですよね…)

なのでファミリー向けには、ボドゲホテルと言いつつ、しっかり「定番おもちゃ」も用意。その上で、家にはない「子どもでも遊べるボドゲ」や「ホテル専用ゲーム」を用意して、バランスを取りました。


S:SNSスパイス・話題性

最後のチェック項目は「SNSで話題になる要素はあるか?」です。

例えば、ボードゲームが置かれたホテルは、他にもたくさんあります。しかし置くだけでは「設備」と認識されてしまうので、SNSでの話題化にはつながりにくいのです。実際に泊まったら、充分に楽しめるホテルだったとしても、行く前に「楽しそう」をいかに演出できるかが、重要になります。

この2つの違いは、認知として「天と地の差」になります。

🏨「ホテルにボドゲが置いてる」
👦「いいね〜」
     ⬇︎
🏨「ホテル全体がボードゲームになっている」
🏨「一晩中遊べるボドゲ天国」
👦「なにそれ、行きたい!」「行かねば!」
👦「いつ行く?」

そこで、このプロジェクトにおいてのSNSスパイスは「神!!」「よくぞ作ってくれた」という空気を出すことと定めました。

⭐️「ボドゲホテル」という名前の認知をとる
⭐️「ここマジか!神か!」という空気感をつくる
●ホテルに隠し部屋がある、やばい謎解きがある
●制作メンバーが、本物のボドゲ作家たち(オールスター招集)
●体験前/体験中/体験後それぞれのポイント設計

実際、制作メンバーの僕ら自身がコアなボドゲ好きで、ファミリー層なので、自分たちが心から信じられるものを作っています。たとえ方向性が合ってても「深さ/熱狂度」がないと、うまくいかないのかもしれません。


ヒットしたボドゲホテル

結果的に、施策はうまくハマり公開時から大きな話題になりました。特に朝戸さんの投稿からの拡散がすごい。他にも1万fav超えのバズが2つ出て、メディア各種に広がり、予約の初速もすごかったです。

その後も、1発の花火では終わらず、定期的に露出して、集客でもちゃんと結果が出てもうすぐ1年になります。最近では、海外客も戻ってきて国際色豊かなボドゲホテルになってるとか。(MIMARUホテルは、もともとインバウンド向けが強いホテル)。


Wを定め、T・I・Sをぐるぐる回す

このように、WTISのツボを抑えていくことで、打率は上がります。私の場合、こうやってA4の紙で、バーっと書き出しながら考えることが多いです。

実際に企画するときは、ゴールだけは明確に決めて「TIS」はグルグル回しながら考えます。「TI」が良さそうでも、SNSでの引きは弱いなとか。逆にSNSで話題になっても、ターゲットが狭すぎるかもなとか。

今回はボドゲホテルを例にしましたが、今後もこの「WTIS」フレームで考えた事例を紹介していければと思います。

ブルーパドルのサイトでは、他にもいろんなインサイト話を、まとめてるので、よかったら見てみてください。



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