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実際に捨てられる犬のこと、映画『犬ヶ島』で分かってもらえたらいいな

映画『犬ヶ島』が予想以上に面白かったのでnoteします。

ストップモーションアニメーションです。
ドッグ病撲滅のため、全ての犬をゴミ廃棄場『犬ヶ島』に捨ててしまう・・・という設定。今の犬たちやゴミの溢れる現実世界が垣間見えます。

外国人から見た不可思議日本文化満載なのに、「それおかしいだろ」と、つっこむどころか、「よく観察してるなぁ」と感嘆さえ覚えるほどのディティール。
犬ヶ島に暮らす犬たち一匹一匹のキャラクターの面白さ。
犬たちの会話は英語で、人間たちは日本語(近未来日本が舞台)、という言語感覚(すごい俳優さんや有名人が声やってるし)。
または少数者、あるいは被差別者が隔離され追いやられる、、といった差別的構図を持つストーリー展開。

とにかく犬たちと主人公アタリ少年の絡みが見ていてほのぼの楽しいし、どの犬もそれぞれキャラクターが立ってるし、
などなど、面白ポイントは多々多々あるのですが・・・。

ケージに入れられて鍵をかけられたまま捨てられ、ゴミに埋もれるようにケージの中で骨になったスポッツ。
実はその犬は別の犬で、スポッツは生きてるらしいと、スポッツのご主人アタリ少年と犬ヶ島の犬たちが探しに行く、というのが物語の大筋です。

犬たちはあまり人の恨み言を言わないし、共食いしてしまったことをものすごく悔いているし、アタリに「取ってこい」とかなんとか命令されるとつい従ってしまうしで、ナイスキャラばかり。
一方で実験動物にされて障害を負っている子、犬ヶ島にくる前に芸を調教されて、人に捨てられてもつい披露してしまう子、など、さまざまな犬生を生きた犬たちが、ゴミの中でどうにか食いつないでいる姿も描かれます。

どこかの時代のどこかの国の悲劇や、差別的出来事を意識した物語である、など、歴史的または政治的切り口から物語を読み解く解説が多い作品ですが・・・、もちろんそこは大切なのですが、この映画を見て犬が好きではない人にも「犬を捨てるな!」と思って欲しいです。

さて、この映画で思い出したのは『ホワイト・ゴッド』という、こちらも犬がを題材にした映画。実写です。
雑種を飼ったら重税を課す、というおかしな法律のもと、犬が捨てられてひどい目に遭い、そんな犬たちが集団になって人間と対峙する、とかそんなような物語で、何百という犬が街を疾走するシーンがすごかった。

犬を扱う映画はたいてい心温まるものが多いのですが、この『犬ヶ島』や『ホワイト・ゴッド』のような映画を見て、犬や動物の問題にあまり興味ない人も、今の動物たちの現状はどうなのかなって、見返すことができたらいいな。

昔に比べ、犬の飼い方は向上し、殺処分数も減ったようですが、いまだ多くの犬が放置され、あるいは繁殖のためにケージの中で一生を過ごし、または怪我や病気を負った、あるいは老いたゆえに遺棄され、殺処分機で死んでいっている、そんな現状を、たくさんの人が考えるきっかけに、これらの映画がなってくれたらと思います。

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