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古河総合公園(古河公方公園)

今年は春の訪れが遅かった。
例年3月のお彼岸ごろから、この公園は桃の花が咲く。広い面積いっぱいに桃が植っており、空気がピンク色に霞むほどである。
が、今年は彼岸過ぎてもなかなか花は咲かなかったとか。

まだそんなに人気がなかった頃の写真。ピンク色してるでしょ? そうでもない?

最近はこんな茨城の西の果てまで旅行会社の花見ツアーなどに組み入れられて、遠方からバスが何台もやってくる。
春のいっときだけだけれど、こんなに静かで何もないところが、ものすごい賑やかになる。

バリアフリーで犬も楽しいところ

この公園はバリアフリー。
自然の地形を生かしたところのため多少のアップダウンはあるが、おそらく手動車イスでも動きやすいと思う。
電動であればなおさら隅々まで散歩できる。広いし坂もあるので、バッテリーは満タンで。手動車イスの場合は、健常者がいないと腕がきついかも。

障害者用の駐車スペースも、もちろん十分確保されている。

犬を連れてくる人も多い。
テツも実家にいた頃は毎日のようにここに散歩に来た。ドッグランはないが、犬たちも十分満足できると思う。

最近人が増えて、飼い主さんのマナー問題が持ち上がっているようで、あぁどうか、犬NG公園になりませんようにと祈るばかり・・・。

これも6年くらい前のもの。雑木林の中に小道があってその頃は地べたがお花畑になっていた。
多分この頃すでにテツは、甲状腺の病気になっていたんだな(そんな顔している)

本当の魅力は水辺の素朴さ

春の桃シーズンを終えると、公園は少し閑散として地元民の散歩ばかりが目立つようになる。日曜日は家族連れ。
公園には遊具がほんの少ししか置いていない。子供の遊び場は広い原っぱがメインだ。
売店も平日は開いていないことが多い。そしてとても小さい。
そのくらい樹木や花、原っぱ、水辺しかない。
公園の本当の魅力は、桃ではなくこの沼周りだと私は思っている。

この小道は車椅子ではアクセスできないが、
右側、雑木林の中(若干登る。多分階段はなかった、多分…)は
車椅子で通り抜けられるようになっている。美しい木立と木漏れ日の道である。
ここはNHKの大河ドラマで(多分『西郷どん』)ロケに使われた。


『湿地転生の記 風景学の挑戦」

中村良夫 著 (岩波新書)
という本がある。 

古河市の代表的な観光地と言っても過言ではないこの公園が、どのようにしてデザインされ、作られていったか、歴史的背景を絡めながら書かれたものである。
『原風景喪失者』の著者曰く、

どぎつい野立て看板の陰で生き埋めにされ,ドブねずみのように横死した,ある高貴な沼の蘇生の物語

昔、この辺りの水は油でギラギラして匂いがあった。そんな風景を思い出すと、「沼の横死」とは確かにその通り。
でも今はそんなことはない。きれいな流れもある。

ここは観光のお客さんにはわかりにくい場所かも。公園のだいぶはずれ

この辺りは利根川と渡良瀬川が合流する場所で、湿地や沼地が多かったらしい。昔から各家には小さい木船があり、蔵や神社は小高い盛土の上に建てられた。洪水への備えがある地域であった。

近代化に伴い、水辺の多くが埋め立てられ農地が拡大されていったが、公園周辺の土地では、現在多くの土地が耕作放棄され、太陽光発電施設に置き換わったりしている。
地方都市の外れ、茨城のどんつきの最果て、何もない田舎の片隅は、破壊され再生され、また破壊されているような気がする。
が、とりあえずこの公園だけは、そのようにかつて失われた沼を蘇らせ美しい景観を取り戻した。

公園の水辺が、人工的なようでそうでもなく、どこかで見たようで、なかなかない、そんなふうに見えるのは、そういう経緯に由来するのかもしれない。

とかそんなようなことはこの本に詳しい!(ちょっと前に書かれたものだけどね)
先日実家に行った折、公園に立ち寄り、あまりの人の多さにびっくりし、駐車するのに金取るんか〜!と、これにもびっくりし、帰ってきてこの本を引っ張り出しパラパラと再読、そして早速noteした次第。

シメの写真はテツのおしり。夕刻、満開の桜の下でとったもの。だーいぶ前

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