古河総合公園(古河公方公園)
今年は春の訪れが遅かった。
例年3月のお彼岸ごろから、この公園は桃の花が咲く。広い面積いっぱいに桃が植っており、空気がピンク色に霞むほどである。
が、今年は彼岸過ぎてもなかなか花は咲かなかったとか。
最近はこんな茨城の西の果てまで旅行会社の花見ツアーなどに組み入れられて、遠方からバスが何台もやってくる。
春のいっときだけだけれど、こんなに静かで何もないところが、ものすごい賑やかになる。
バリアフリーで犬も楽しいところ
この公園はバリアフリー。
自然の地形を生かしたところのため多少のアップダウンはあるが、おそらく手動車イスでも動きやすいと思う。
電動であればなおさら隅々まで散歩できる。広いし坂もあるので、バッテリーは満タンで。手動車イスの場合は、健常者がいないと腕がきついかも。
障害者用の駐車スペースも、もちろん十分確保されている。
犬を連れてくる人も多い。
テツも実家にいた頃は毎日のようにここに散歩に来た。ドッグランはないが、犬たちも十分満足できると思う。
最近人が増えて、飼い主さんのマナー問題が持ち上がっているようで、あぁどうか、犬NG公園になりませんようにと祈るばかり・・・。
本当の魅力は水辺の素朴さ
春の桃シーズンを終えると、公園は少し閑散として地元民の散歩ばかりが目立つようになる。日曜日は家族連れ。
公園には遊具がほんの少ししか置いていない。子供の遊び場は広い原っぱがメインだ。
売店も平日は開いていないことが多い。そしてとても小さい。
そのくらい樹木や花、原っぱ、水辺しかない。
公園の本当の魅力は、桃ではなくこの沼周りだと私は思っている。
『湿地転生の記 風景学の挑戦」
中村良夫 著 (岩波新書)
という本がある。
古河市の代表的な観光地と言っても過言ではないこの公園が、どのようにしてデザインされ、作られていったか、歴史的背景を絡めながら書かれたものである。
『原風景喪失者』の著者曰く、
昔、この辺りの水は油でギラギラして匂いがあった。そんな風景を思い出すと、「沼の横死」とは確かにその通り。
でも今はそんなことはない。きれいな流れもある。
この辺りは利根川と渡良瀬川が合流する場所で、湿地や沼地が多かったらしい。昔から各家には小さい木船があり、蔵や神社は小高い盛土の上に建てられた。洪水への備えがある地域であった。
近代化に伴い、水辺の多くが埋め立てられ農地が拡大されていったが、公園周辺の土地では、現在多くの土地が耕作放棄され、太陽光発電施設に置き換わったりしている。
地方都市の外れ、茨城のどんつきの最果て、何もない田舎の片隅は、破壊され再生され、また破壊されているような気がする。
が、とりあえずこの公園だけは、そのようにかつて失われた沼を蘇らせ美しい景観を取り戻した。
公園の水辺が、人工的なようでそうでもなく、どこかで見たようで、なかなかない、そんなふうに見えるのは、そういう経緯に由来するのかもしれない。
とかそんなようなことはこの本に詳しい!(ちょっと前に書かれたものだけどね)
先日実家に行った折、公園に立ち寄り、あまりの人の多さにびっくりし、駐車するのに金取るんか〜!と、これにもびっくりし、帰ってきてこの本を引っ張り出しパラパラと再読、そして早速noteした次第。
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