ドラッグストアの薬剤師さん可哀想問題について考える

僕が悲しくなる瞬間。
ダンサーインザダークを見たとき、
大切な人から裏切られたとき、
自分の無力さを実感するとき
そしてウェルシアやキリン堂などの大型チェーンのドラッグストアの薬剤師さんを見るときだ。

僕はドラッグストアの薬剤師さんが薬の仕事をしてるのをみたことない。
いつも買い物の時に見るのは、せわしなく冷凍食品の品出しをしてる後ろ姿か、レジの店員が足りなくなって薬のコーナーから小走りでレジまで駆けてくるところくらいしかない。

小さい頃から、「将来は薬剤師さんになる!」って言って、勉強も頑張って、薬学部に入って6年間勉強して、薬剤師の資格をとって、今は
「堅あげポテト」の入ったダンボールを持って店に陳列してる。

そう考えるとあまりに不遇ではないか。何が関西だししょうゆ味だ!

日々、品出しとレジ打ちの業務に追われ、それがない時間はがらんとした薬のコーナーで立っている。買い物をするお客様を見るが、そのお客様が映像に感じるようになっていく。
「あれっ?レパミピドってなんの薬だっけ?」
「普段、薬について考えないからちゃんと復習しとかないとな。」
「でも、なんのために?滅多に薬目的で来る人なんていないのに。」

こんなことを心中察する。僕は今日の晩御飯を買い物カゴに入れながら。

ドラッグストアの薬剤師さんをずっと観察していると、品出しとレジをしていることが多い中でも、品出しをしてるときの方が多いのがわかる。
おそらくだが、品出しだと、「私は薬のコーナーにおらなあかんけど今は手が空いてますし品出し私やっておきましょうか?」のスタンスが取れるのに対し、レジに常滞在してしまうと、「マジで自分はバイトやパートと変わらんやんけ」と認識してしまうからだ。
だから、薬剤師さんはレジに人がすごい並んでいる時にだけ小走りでヘルプしにくる。ここにはまだ薬剤師としてのアイデンティティがあることを感じる。

だいたい、ドラッグストアの薬剤師さんに出会いはあるのだろうか。いつも1日に勤務してる薬剤師は一人だ。仕事時間を共に過ごすのは学生バイトかパートの主婦。同じキャリアを持つ価値観の合う人と出会うことも難しいだろう。

薬剤師についてネットで調べてみた。
資格をとった後は、薬局かドラッグストアかどちらかに配属になるらしい。ドラッグストアに配属するメリットととしては薬局配属の薬剤師より給料が良い部分が挙げられている。
軽く選択したのか、苦渋の選択だったのかはわからない。
薬局配属の薬剤師をどう思っているんだろうか…
不思議に思うわけだ。

ただ、本当に薬の仕事をできない日常に不満を感じているかはわからない。
ここまでは本当に勝手なことを書いてきた。
だから僕は一度ドラッグストアの薬剤師さんに薬の質問をしたことみることにした。
添加物をしゃがみこみながら陳列する薬剤師さんの背中をトントンとたたいて「すいません。この薬ってここありますかね?」と
病院で処方されたものの個数が切れたので聞いてみた。
すると、「はいっ!あーこれですかー⤴」
キーが想定よりも高かった。語尾の元気もワクワクだ。
これは仮説が正しい可能性が高い。
「ちょっと資料があるので持ってきますね⤴」
僕が処方された薬の印刷された紙と同じ紙を持ってきて、
「あーここにはないですね⤴、それに処方してもらう場合だともう一回お医者さんと相談してからの方がいいかもしれないですね⤴」
「そうですよね。わざわざありがとうございます。」
「いえいえ、またなにかあったらお申し付けください」

まじでなんの意味もない会話で終わった。
このあとは病院の後にいつも行く薬局に行くだけ。

ただ、薬剤師さんとの会話は純粋に楽しかった。
質問されたのを嬉しそうにしてくれたことなどがすごくこっちも嬉しい気分になった。
帰り際にありがとうございました。って言った後、「薬剤師さんのおかげでどんな薬を買えばいいかよくわかりました。」というくどい文章を付け加えて彼の記憶に残ろうと考えてしまいそうになった。
また話したいとも思った。

嬉しくて話してて、しかも接客という意識もあって、相手のためになりたいと思う感情があって、という状態の人と話したからだろうか。
ノンバーバルな部分で、プラスの周波が自分に届いていたのかもしれない。

お金を落とさないと喋れないキャバクラ嬢やアイドルと話すよりもいいんじゃないかこれは、とまで感じた。
推しの薬剤師さんを見つけることができたらとても人生が豊かになるのだろうなと。
彼らは薬の話さえしてくれれば極上の接客をしてくれるだろう。

ここまで、たくさんドラッグストア勤務の薬剤師さんをかわいそうだなと書いたがあくまでここまでの文は僕の憶測でありドラッグストアの薬剤師さんは幸せな可能性がある。
でもこちらに伝わってはない。
本当に幸せならドラッグストアの薬剤師さんには「私はしあわせだ!」とドラッグストアの四隅の天井にある監視カメラに向かって両手を上げて叫んで欲しいものだ。
そうすればきっと昼休憩に入って休憩室で監視カメラを見てるバイトの学生が感動して涙を流すだろう。



 


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