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【 金属の不思議 】粘性について


鋳造会社に勤務し、これまで金属とは関わりのなかった筆者が体験した

金属の不思議についてご紹介いたします。

水と溶かした金属であれば、どちらが流れやすいと思いますか?

水よりは液体状の金属の方が流れにくいと感じる方が多いのではないで

しょうか?

鋳物は鋳型に液体状態の金属を流し込んで造る際、粘性の抵抗が大きくなる

と鋳型への充填に時間がかかり、うっかりすると途中で固まってしまう可能

性があります。鋳造会社にとってそれはあってはならないことです。


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少し専門的なお話なりますが…

液体の粘性は、物理学的には粘性係数(記号η)という数値で示されます。

液体が流動する場合の粘性抵抗には、粘性係数のほかに密度(記号ρ)も 関わ

りがあります。

ηをρで割った値(これを動粘性係数または動粘度(記号ν)といいます)

ν=η/ρ が粘性抵抗を支配する要因となります。


もともと溶融金属のηの値が小さいうえに、ρの大きいことが重なるので

νの値は極めて小さくなります。


下表に主な溶融金属のνとρの値を示してあります。

なるほど!!と思われた方、下表で金属と水を比べてみてください。


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               参考:「鋳物のおはなし」 日本規格協会


アルミニウムの注湯の映像🎦


上記の表を見ると水の動粘度が1に対して、アルミ二ウムの動粘度は0.2と極

めて金属の方が水よりも流れやすいことがわかります。

そして水よりもはるかに他の金属も流れやすいのがわかります。

アルミ注湯の動画をアップいたしましたので、水とは違う金属の粘性を

実際にご覧ください。


アルミ注湯_Moment1