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あほやねんロケ

私はよく、NHK教育テレビをぼーっと晩御飯が出来るまでの間見ていた。

晩御飯の手伝いでもすればいいのに、一人っ子はリビングでご飯ができるのをボーッと待っていた。

夕方の時間帯にたまに「あほやねんすきやねん」という関西ローカルの番組があって、その日もたまたまボーッと眺めていた。

すると番組の最後で「ロケ参加者募集中!」というテロップが流れた。

暇の極みの私は興味本位で携帯からテレビを見ながら応募した。

「コブタに出演する機会をください」

と書いた。

応募の際には特に写真提出もなく、年齢とか名前とかだけで、あとはそのアピール文だけであった。

コブタ、当選した。


いや、今考えてもなんで選出されたのかはよくわからない。どう考えてもコブタはテレビに出すもんじゃない。それなのにコブタ売りにしたら、通ったのである。

淡路島1周デート

の企画だった。


人生初のロケバスに乗り込み、丸一日ロケをした。

淡路島のたまねぎ畑へ行き、収穫したり

淡路島産だけを使った牛丼を食べたりした。

基本的に、プリンセス金魚さん(お笑いコンビ)が話を進めてくれるので、一般人ゲストは私とあと2人いたが、たいてい「アハハ!すごーい」くらいしかリアクションをできず、ただ、にこにこしていた。

そのロケの企画は、プリンセス金魚の大前さん(ちょっとイケメンの人)が、「モテテクニックを使えばモテるのか?!」という企画だった。

収録の中でミラーリング(動作を真似ることで印象がアップする)とか、さりげなく後ろから収穫を手伝うとか、ちょこちょこ入れていらっしゃった。

無事、淡路島を回りながらのロケは終了し、後日スタジオに呼ばれ生出演、生放送でロケムービーを見る事となった。

コブタ、もはや大ブタ。ロケで歩くサマは、相撲取りのような歩みであった。

うわぁ、と内心思いながら、収録ムービーは終了した。

すると、「では!大前さんのモテテクニック·····アリかナシか!どっちでしょう!」

と司会の女の人が言うではありませんか。

台本なんてなかったし、大前さんはイケメンだし

でもモテテクニックは割と寒いものが多くて微妙であった。

では〇か✕の札をあげてください!!と選択を迫られ、

〇あげた。

なんか〇あげたら、ワンチャンあるかもしれないというよこしまな気持ちが〇にした。

一緒にいた横の女の子は✕あげてた。

強欲なコブタである。

結果、〇を上げたことは誰にも何一つ触れられることも無く、多分番組的には✕✕✕と3人とも全員が✕のほうがおいしかったにも関わらず、私はワンチャンを夢見て札をあげていた。

その後、大前さんと記念撮影だけしてもらって帰宅した。

昔、のど自慢に出たいと言って親に怒られたため、今回のあほやねん収録も親には言えず、番組の録画してもらうことも出来なかったし、記念撮影した大前さんとの2ショットも携帯電話の機種変更とともにどこかへ行ってしまった。

冷静に考えれば「ワンチャン」すらないのに、我欲を出して〇をあげてしまったという恥ずかしい思い出だけが10年くらい経った今でも私の中に、じんわりと残っている。

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