見出し画像

映画『トータル・リコール』ラスト考察※ネタバレ有

1990年に公開されたSF映画『トータル・リコール』。シュワちゃんのアクションが存分に楽しめるワクワクする作品です。
その一方で、これは現実か夢か曖昧なストーリーに怖くなります。
実際に分裂病を起こしていて、本当にクエイドはリコール社のイスに座って夢を見ているのか?
そんなのは嘘で、全て現実なのか?
実際はどっちなのか?
※ネタバレ有り

【考察】全て夢

画像1

画像出典:映画『トータル・リコール』公式Facebook

リコール社で「こんな夢が見たい」と注文して、クエイドはイスに座ります。そして、眠りに落ちていき……。ここまでが現実で、この先のシーンは全て夢だと考えます。
「すべて夢だ」と考えないと説明できない部分があるのです。

【考察①】悪夢の中の苦しみ方

画像2

画像出典:映画『トータル・リコール』公式Facebook

クエイドは悪夢の中でも、メットが外れて苦しんでいました。目玉が飛び出し、舌は腫れ……。実際そうなるのでしょうか?そうなるかどうかは実際火星に放り出されるまで分かりません。
しかし、実際は夢の中と全く同じに苦しみます。想像以上でもなく以下でもなく、寸分たがわずその通り。なんだか違和感があります。ただの演出上の都合でしょうか?

【考察②】ネイルの色が違う

リコール社の受付の女性のことをよく見てください。彼女はネイルの色を変えておしゃれをしていました。そのことはクエイドも見ています。
その後、クエイドは眠りに落ちて暴れ出しました。技術者も上司も受付の女性も大混乱。その時の女性の爪に注目してみてください。赤色または無色(ナチュラル)に見えます。それがおかしいのです。
クエイドが最後に見たネイルの色は赤色ですが、その後女性は「グリーン」に塗り替えています。なぜ「グリーン」から色が変わっているのでしょう?
「一瞬でネイルの色を変えられるのだから、また気分で色を変えた」とも考えられます。しかし。だとしたら。意味深に女性のネイルのシーンをわざわざ入れたのはなぜなのでしょうか。あれが「すべて夢だった」という展開の伏線に思えてなりません。

【考察③】事前の設定

画像3

画像出典:映画『トータル・リコール』公式Facebook

夢の中に入る直前、様々な設定をしていました。クエイドが火星で出くわした人や建物はその事前の設定にあまりにピッタリなのです。
「頭が2つのエイリアン」は「クアトー」
「遺跡」は「酸素を作るリアクター」
「火星の青空」はラストシーン
それに理想の女性……クエイドが注文したとは言え、そんなに実在の女性に似てしまうものでしょうか。実在する女性にしても、「モデル」として協力して登録される女性でしょう。メリーナがリコール社に協力したとは思えません。他人の空似にしても偶然がすぎます。

【考察④】血が流れる方向

血が流れる方向がおかしいシーンが存在します。火星のホテルに現れたローリーを撃った場面。こちら側から見て左側へ頭が倒れ、血も左へ流れます。その後体を動かし、頭は右側へ。
ローリーの恋人リクターが見た時には血は右側へ流れています。左へ流れていた血は綺麗になくなっているのです。
ただの撮影ミスのようにも見えるので、あまりツッコみませんが……。では撮影の時、わざわざ血のりを綺麗にふき取り、右側に垂れさせたのでしょうか。そんな手間暇を……?

【考察⑤】リコール社での事を覚えている

火星のホテルで「これはすべて夢だ」と言われたクエイド。「その証拠にこんな設定をしただろう」と言われて「偶然だ」と、動揺しながら答えます。
その一連のやり取りが不自然です。リコール社の社員は「記憶を全て消して、クエイドをタクシーに乗せた」はず。タクシーから降りたクエイドも友人に「リコール社に?俺が?」と言っています。そう、リコール社での出来事を忘れていました。
ところが、このホテルでの会話では全て覚えているようなやり取りをしています。なぜ設定したことまで覚えているのでしょう。
忘れていたり覚えていたり……これこそが「忘れている設定」である証拠ではないでしょうか?

【考察⑥】あの汗は?

火星のホテルにやって来た「エッジマー」。現実世界の医師で、分裂症を起こしているから現実に戻れるように助けに来た、とクエイドに語りかけます。クエイドも(そうかもしれない)と思っていたようですが、エッジマーの汗を見て考えを変えます。
現実でないなら汗をかいているのはおかしいからです。ならばこれは本当に現実かもしれません。
しかし、「夢だと思いたくない、現実だと思いたい」という気持ちから生み出したのが、あの「汗」だったとも考えられます。

まとめ

本作ではクエイドが信用出来ない語り部であるため、何が夢で何が現実かはっきりしません。実際はどうであるのかは見る側にゆだねられているように感じます。
ここまで書いていてなんですが、私は「すべて現実だった」と思いたいです。私はそんなハッピーエンドが大好きなので!
ちなみに、DVDの特典映像ではポール・バーホーベン監督が「これが夢なのか現実なのか」という部分にも言及しているようです。
気になった方はそちらもぜひ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?