エシカルって何?それは、いいことをするという究極のエゴイズム

オーガニック、フェアトレードなどのエシカル商品を各地から集めたセレクトショップ、エシカルペイフォワードの稲葉哲治さんにお話を伺いました。その内容があまりにもよかったので、ノートに共有します。約1時間半ほどにも渡るヴォリュームのインタビュー。私の独断と偏見で面白いなと感じた部分を少しだけ抜粋してお送りします!

♥︎目次♥︎

1”エシカル” とは、「人間性の回復」

2まさにBorderless。これからのエシカル3.0とは

3水と油のようで交わるエシカル×テクノロジー
zozoだってエシカル!?

4平和のため、環境のため=単なるイイコトじゃなく、エゴである

5さいごに

エシカルペイフォワード店舗にて。稲葉さん(右)と。

♥︎本文♥︎

1.”エシカル”とは

まず、エシカルって何なのか。読んでくださっている方の中には、漠然と「オーガニック」「フェアトレード」「地球に優しい」「ファッション」などというワードをイメージする人も多いのではないでしょうか。

エシカルという概念を稲葉さんは、あるキーワードを使って分かりやすく教えてくれました。それはズバリ「人が自立/自律していくこと」。分解すると、①繋がりを思うこと(=例えば、この商品は、いつ、どこで、誰に作られてできたのだろう?と考えること)②これからを選ぶこと(=例えば、これからはどんな商品を消費していこうか?と自分で考え選ぶこと)という二つから成り立っていると仰ります。この考えに紐付くものであれば、食にも、暮らしにも、働き方やキャリアにも、映画でも、どんなことにだって応用できる考え方です。自分は何を大切にして、どういう風に社会と関わって行きたいのか主体的に考えることこそが、エシカルなのですね。例えば、自分は「環境を大切に生きて行こう」そう考えたら、ゴミの分別に積極的に取り組んだり、食器を洗う洗剤や、シャンプーなどを環境に優しい物を選んだり、車通勤をやめて自転車を使う、環境問題に取り組む生産者の提供する食べ物を選ぶ、といった生き方ですね。

エシカルの概念は、2010年頃にイギリスで提唱され始めました。それが日本に輸入され、ここ5年くらいをかけて徐々に浸透しています。これを広めていこうとしているのが稲葉さんです。


2まさにBorderless。これからのエシカル3.0とは

エシカルの最前線で関わっていらっしゃる稲葉さん。では、これからのエシカルはどのようにアップデートされていくべきかということについてもお話して下さいました。

今までのエシカルは、生産者と売り手という風に分かれていました。例えば、日本の学生団体が東南アジアなどの途上国へ趣き、現地の人にアイデアを教えながら商品を生産してもらう。それを、学生団体がビジネスとして販売する。しかしここで注目しなければいけないのは、現地での雇用は一応あるけれども、現地の生産者が主体的に事業に関わっていないということ。今、少しずつその形は変化していて、現地の人たち側から「こういうの作りたい」「この強みを生かしたい」という意見を発信してもらい、それを相互に取り入れる。いわゆる「Coproject」という形が増徐々に増えているのだそうです。現地が主体的に産業を作り出し、それについてみんながアイデアや各々の強みを持ち寄って事業を考えていくようにする。そうするとこれからは「国境」という概念も消え、ボーダーレスのエシカル圏が生まれるのではないかといえます。
このことは、漁業について分かりやすく例えて教えてくださいました。
今までのエシカル1.0や2.0が行っていたのは、まず途上国の漁師さんたちに魚の取り方を教えるということ。しかしこれからは、「食料」の取り方を一緒になって考えていくのだそうです。それは、漁業でもいいわけで、山での狩猟でもいいわけで、とにかくどうしたらその「食料を得る」という事業を行って行くことができるか?ということを、現地の人たちとともに考え想像して行く、それがエシカル3.0だということ。なるほどあ〜

それに関連して、こんな話も。
某大手衣料品メーカーが実施している、不要衣類を回収し途上国に送るというキャンペーン。実はこれ、根本からの支援になっているとは言い難いそうです。というのも、それをすることによってまた、発展途上地域において一番重要な縫製産業が奪われてしまうということ。また、本当に必要としている物が送られてきているわけではないということ。こうした支援のあり方もまた、次のステージへとアップグレードさせていく必要があります。大企業はまだまだ、今現在の社会のステージや需要に合わせなければいけないなど、難しい部分があるのかもしれないですね。

(お店には、世界中から集まったかわいいアクセサリーが並んでいます)

3水と油のようで交わる エシカル×テクノロジー
zozoスーツだってエシカル!?

このお話を聞いていてふと思ったのが、エシカルってとっても「手間が掛かる」ということ。テクノロジーが急速に発達し、様々なものに対して「合理性」や「効率性」が求められるようになった今の社会とは相容れないもののような気がして心配になってしまいました。しかし稲葉さんは、「共通する部分がある」と仰ります。
エシカル=『人間性の回復』ということに基づいて考えていく必要がありそうです。
資本主義の頭打ちが唱えられる今、人間性というものが見直されてきています。例えばひと昔前は、地域コミュニティの中で人は暮らしていました。農家が作った野菜を食べて、行商が仕入れる服を着る。人と人との顔や繋がりが見える中で、「この人からご飯を買おう」「この人から服を買おう」という選択を自ら行っていました。しかし現代では、誰がどこで作っているか分からない物を食べている。資本主義の発達で相手の顔が見えなくなり、個々人が分断されてしまっている。孤立性が高まっているという状況になっています。そこで、様々なもののルーツを知ることで、外部との繋がりを回復し、人としての豊かさや人間性を取り戻して行くという流れがエシカルなのです。そしてその手段の一つが、”手間を省く”ということ。中間介入物をなくして、流通の段階を可視化させるということです。そこで一役買うのがズバリ、テクノロジー(デザイン)。この存在によって、トレーサビリティをはっきりさせることができます。なるほど、合理性(手間を省くこと)=仲介物を無くすこと=透明性の高い繋がりを作ること この図式で考えれば、テクノロジーがエシカルに対して果たす役割の大きさが見えてきます。

とは言っても、人と人とがきちんと会って一時情報を大切にすることももちろん必要です。自分が現場にきちんと足を運んで刺激を受け、与えるということ。これは社会との繋がりを持つ上でとても大切なことです。この要点を忘れてはいけないことも、今の、テクノロジーの発達からくるナントカ2.0に共通して言えることなのかもしれませんね。

ところで、今話題になっている㈱スタートトゥデイのzozoスーツ。あれって実はエシカルなのだそう。確かに、今までは用意された選択肢の中から、自分に合っていそうなスーツを選ぶことしかできませんでしたが、自分に合った選択をオーダーメードで主体的にできちゃうんですもんね。エシカルまで実践しちゃってるなんて、やっぱzozoってすごいのかも(私の主観)。


4平和のため、環境のため=単なるイイコトじゃなく、エゴ

また、日本人は「幸せ」「平和」「NPO」「社会貢献」など「いいこと」に対してネガティブなイメージや「なんか宗教的」という懐疑心を持つ傾向があるのでは?という話にも。みなさんも、寄付したりするとき、なんとなく恥ずかしくて、隠れてこそっとしていませんか?いいことに対して、なんだか後ろめたさや怪しさを抱いてしまいがちな私たちです。

でも、稲葉さんはその状況に異を唱えます。そもそもの社会貢献とは、べつに単に”いいこと”をしている訳ではない。自分自身のエゴに繋がるものだと。10年後、20年後、自分たちがよりよい環境で生きるためには何を行うべきなのか。そういった、社会課題に対して”当事者意識”を持って行動することで、未来の幸せやより良い暮らしを手に入れるための究極のエゴが、いわゆる「いいこと」であるのだというのです。例えば最近、いろいろな企業が取り組んでいるプラスチック廃墟の取り組み。アフリカやインドといったいわゆる後進国ではいまかなり進んでいるそうですが、日本では
プラスチックを使用すること自分の未来が繋がって明日がくるということを永続することを保証するためににしているのです。なるほど、その通りですね。善でも偽善でも、結局それは自分自身や未来の自分のためを思って行うエゴであると考えれば、当然のことのように思います。うさんくささが無くなります笑

そして、日本の人々は特にこの「当事者意識」を持つことがなかなかできていないという指摘も。事実今まで、社会問題はオカミ、つまり行政が解決してきたものであり、自分自身は無関心でも何の問題もありませんでした。しかし、もうそんなことを悠長に言っている場合ではないのかもしれません。資本主義経済が頭打ちになって、あちこちに社会課題として綻びが出てきているように感じます。今、私たちは、未来を思って「エゴ」になるその必要性を迫られているような気がします。

(エシカルペイフォワードではこういった、化粧品、美容品もあります!)

♥︎さいごに♥︎

日々、どこからともなく目に見えない圧力によって生かされているように感じることはありませんか?健全じゃないな、不本意だな、理不尽だなという思いを抱えながら、見てみぬふりを強いられることってあるんじゃないでしょうか。その状況が、大人になればなるほど増えているのではいないでしょうか。

その状況に「No」を突きつけて、自分のわがままに正直になってみる。生きやすく、幸せな生き方を、意思を持って選びとる。それがエシカルの考え方だと思うのです。そのことが、回り回って平和や、平等や、サステナビリティや、地球全体の幸福に繋がるということは、なんてハッピーではなんだろう。

そして、このエシカルを全て100パーセントで実践しなくてもいいのだそうです。だって、食べるもの、着るもの、使うもの、全てエシカルを実践しようとしたらきっと息詰まってしまう。エシカルっていう概念があることを知ることだけでも大切な一歩なのではないでしょうか。「ゆるく、でも長く」と稲葉さんは仰ります。なんとな〜くできていることを続けていけば、最大瞬間風速ですごいことができてしまうものだそうです。

明日、朝起きて飲むもの。食べるもの。着る服。使う言葉。本当に自分の意志で「いいな」と思うものを選んでいるでしょうか。何か一日、一つだけでもそのことについて考えてみよう。そう思わされました。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます(*^^*)



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Satomi

好きなこと、バックパッカー旅。夢、世界のミステリーハンター。カナダでレポーター活動もしていました。 色とりどりで、厚みのある、美しいモザイク絵画のような人生を歩みたいです。

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