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春の制服 喜びと誤算

 自問自答ファッション、春の制服の話です。

 もともと、同じ服をずっと着ることに抵抗がないので、いい服を見つけられさえすればすぐに決まるだろうなと思っていました。で、実際見つけるまで時間はかかりましたが、見つけてからは早かったです。

 私が服に求めることは、エシカル性を意識していること、天然素材であること、好みの色であること、自宅で洗濯してノーアイロンで着られること、肌触りが良いこと、締め付けがないこと、生活の場面で違和感なく馴染めること……何より、着ていることを意識しないで済むほど自然なこと、です。

 このところは、年齢を重ねて体型が変わってきたので、締め付けのないワンピースをもっぱら選んでおりましたが、自宅で家事をする時に裾が邪魔になる場面が増えてきました。
 私は掃除機を使わず、雑巾を使った拭き掃除も多いので、1日のうち何回かしゃがむのです。エプロンや割烹着でも、しゃがんだ時の裾周りはカバーしきれないので、良い出会いがあればパンツスタイルの方がいいかなと考えておりました。

★★★

 で。
 前からVeritecoというブランド名で活躍されている浅田さんご夫妻のアクセサリーや布花が好きで、東京で個展をされる時に作品を拝見しているのです。

https://www.instagram.com/veriteco/

 今年も青山のスパイラルマーケットで個展があって、いそいそと出かけてみたら、あった。

本当はもっと繊細で美しい色なのですが、私の写真のウデが悪い。

 桜染のパンツ。

 桜が花をつける直前の限られた時期の樹皮を使って染めることができる、とても美しく穏やかで複雑な色合い。
 どきどきしながら試着をしたら、幸い私の大きいお尻でもするりと入って、驚くほど動きやすくて、これだーーーーとなりました。

 という訳で、今季のボトムはこの桜染のパンツを毎日履いてます。草木染めなので洗濯にやや気を遣わないといけないところだけが理想と違うところなのですけど、まあ問題になるほどではありません。結構保温性もあるので、秋もこれで良さそうです。冬はまだわからないけど、いけそうな気もする。

★★★

 誤算があったのはトップスの方でした。

 以前はこの季節、たまに暑い日があっても、薄手の長袖が一番快適だったはずなのです。そして手持ちの長袖が、どれも長らく来てヨレヨレになってきたので、今季は中川政七商店で買った、桜色のコットンシャツを着ようと用意しました。期せずしてピンクが大好きな人みたいになりましたが、最初いいなと思っていた青磁色が売り切れていたので。
(写真探したら、もう公式サイトには掲載されていなかった……)

 で、肌触りや着心地という点では問題なかったのですが……そして大抵快適に過ごせるのですが……一日のうち数回、暑くてしんどいなと思うタイミングが来るのです。しかし諦めて半袖に着替えてみると寒い……。
 寒がりで暑くて困ることなどほとんどなく、保温重視で服を選んで数十年。まさかこんな悩みに直面するとは。これが更年期か、それとも地球沸騰化か。
 こればかりは、短時間の試着ではわからないことなので、しょうがないですね。

 なので七分袖か、半袖プラス長袖の羽織もので良いものがあれば……と思っていますが、今季はもう服予算はないので(笑)来年の自分への申し送りとします。
(あと色はやっぱり生成り色がいいかも知れない。今回みたいにピンクが大好きな人になってしまうと、別のメッセージ性が出てしまう……)
 そうこうしてるうちにあっという間に夏本番になって、暑くて半袖 or ノースリーブメインになるのでしょう。春は短い。日本の四季が、梅雨酷暑残暑冬というラインナップになりつつある。人間の悪行の報いである。

★★★

 桜染のパンツでは、きちんとしたレストランなどに行きにくいので、外出着は別に用意してあります。これは去年から引き続き。リネンの服を専門に作っているwafuというメーカーさんの、青磁色のシャツとサーキュラースカートに、起毛リネンのジャケットか桜染のカーディガン(これはVeritecoさんではなくMAITOさんの作品)を着ます。

 カーディガンは随分前につれあいが買ってくれたもので、思い入れもあって長く着てますが、経年ゆえ傷んでいるところもあり、自分のヘタクソなダーニングを施しています。ヘタクソなのでグランメゾンには着ていけませんが、リュックで行っても受け容れてもらえるタイプのお店なら「ちょっと変わった個性」と許容してもらえるかなと勝手に思ってます。

 あと、状況によってはアクセサリーを少し。
 Veritecoさんのコサージュ(ジャガイモの花という珍しいモチーフの藍染で気に入ってます)や、飾り紐のイヤーカフや、アイルランドで買った楡の葉モチーフのペンダント、ヒヨドリモチーフのネックレス、和紙のモチーフのブローチなどです。

 アクセサリーは、布や陶器や和紙などを用いたものが多いです。
 宝石や貴石は、基本的には客体として見るのが好きなのであって、自分が身につけることには興味がないことに気づきました。あまりにも長い時を生きる存在で、畏れ多い感じもあり。
 身につけるものは、最長でも自分の命と同じくらいのペースで寿命を迎えてくれるのが理想です(笑)。棺桶に入れて燃やすことになっても大丈夫な素材なら最高。

 そんなこんなで、気に入ったところと誤算と両方こもごもの今季の服。
 夏の服は去年とほぼ同じになると思います。アクセサリーだけ少し増えるかも。
 この記事を書いている段階で、すでに春も終わって夏になってそうな気もしますけど。

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