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SANKODOさんの和紅茶の会でいただく 「いずみ」

 東京練馬に、半年前に彗星のごとく現れた、日本でも珍しい「日本産紅茶(和紅茶)」の専門店・SANKODOさん

 友人に「なんか素敵なお茶屋さんができたよ!」と誘われて足を運んでみたら、心を撃ち抜く素晴らしいお茶、お菓子、お店の雰囲気……に呆然とし、帰宅してから「もしかしてあれは私が見ていた夢か幻覚だったのでは……?」と怖くなって、次の日もう一回行ってお茶をいただきました。夢じゃなかった。よかった。

 そんなSANKODOさんが、「和紅茶の会」を開催されるということで、参加してきました。結構すぐに満席になった模様なので、知ってすぐ申し込んでよかった……。


お茶の淹れ方を丁寧に教えてくださいました


 会の様子はSNSに公開してよいとのことでした。が、想像以上に内容が濃くて、知らない話がたくさん!
 お茶栽培における農薬関連事情や、和紅茶の産地事情、そしてアイスティーの淹れ方4パターン!の、それぞれの味わいの違いと手間と得意不得意など……プロでないと気付かない、話せない内容ばかりです。
 その内容をここで書くのは正直もったいない(笑)ので、これから書くのは会で出していただいたお茶のことです。会のボリューム満点の知識・こぼれ話が気になる人は、ぜひお店に足を運んで、店長さんに直接訊いてみてね! また会が開催されるかも知れないし!

★★★

 今回いただいたのは、「みなみさやか」「香駿」「べにふうき(鹿児島)」「いずみ」、全て春摘みのものです。

 みなみさやかはアイスティー、さわやかでキリッとしていて、まさに夏にぴったり。駆けつけ一杯よろしく最初にいただくお茶だったので、なおさら沁みました。

 香駿は、緑茶でいただいたことが何回かあります。クリアで気品のあるジャスミンのような香りで、私も大好きです。が、紅茶でいただく機会は滅多にありません。
 透明感のある香りは、緑茶の時と比べやはり多少変化がありますが、気品はそのまま。「気高い」と表現したくなる味わいです。ストレートで、背筋を伸ばして集中していただきたい。

 そして和紅茶の定番、べにふうき。多くの人が「紅茶」という言葉でイメージする味わいに一番寄り添ってくれる、安心安定絶対王者の風格です。リッチで素朴なお菓子に合わせても、全く負けずにむしろハーモニーを奏でてくれる、「気は優しくて力持ち」なお茶。

そう、スコーンやムースやあんこといった様々なスイーツを受け止めてくれる度量の深さよ。

★★★

 今回一番驚いたのは、最後に出していただいた「いずみ」という品種のお茶です。

香ばしいかりんとうをお供に

 これが、あまり味わったことのない……紅茶でした。とても美味しい。
 実のところ、最初に口に含んだ時に、「味が濃い」とか「香りがいい」みたいな強烈なインパクトはありません。むしろ優しい。渋味やエグみが全くなく、舌に強く刺さってくるところがないのです。いつまでも口に入れておけるのではないかと思うような。
 そして飲み下した後の、後味のキレがとてもいいのです。すっ……と消える。残り香はないけど余韻がある。
 感動のあまり、店長さんに「すごく上等な焙じ茶の、美味しい部分だけをすくいとって、舌に残るいやな部分を全部取り除いたみたいですね……!」などと意味不明な感想を言ってしまいました。伝わらないよ(笑)。ごめんなさい。
 香駿とは別の方向性での気品というか、上品さを感じるお茶です。淡麗、とでも言えばいいのかな。
 甘すぎないかりんとうとの相性が絶妙でした。

 いずみは、非常に栽培に手間のかかる品種だそうで、収量も多いとはいえず、このようにお店で出せるところは日本全国の専門店でも数軒あるかないかのようです。貴重なものをいただけました。

★★★

 ここ十年ほどの、日本産の紅茶の品質向上は、本当に感動的です。
 高校生の頃、「イギリスの〝スプーンが立つように濃いミルクティー〟あこがれるー!」みたいなノリで紅茶にハマったのですが、そこから私のお茶遍歴(というほど大したものではないけれど)は放浪の道を辿り、正統的な紅茶からはむしろ距離を置いていた時期もありました。今は家で飲むのは緑茶の方が多いですし。(と言いつつ、紅茶も週末に必ず飲んでますけど)
 しかしここへ来て、また紅茶と関係を深めてみるのも楽しそうだな、と思う日が来るとは。
 香りのよいもの、コクがしっかりしててミルクティーでも美味しいもの、インドやセイロンや中国の紅茶にはない風味を備えたもの、バリエーションも豊富になりました。
 ここに至るまでの農家さん、専門店さんの苦労は並々ならぬものであったと思います。いち消費者としては、美味しい美味しいと飲むばかりなのですが、こんな時代になったことは、感謝の一言です。


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