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「投票率県内最下位」の館林市の奮闘


7月21日の参議院選挙での「投票率は戦後二番目に低い48.8%」というニュースをうけて、おととい、以下のようなnoteを書いた。


くわしくは元記事を読んでいただきたいが、ざっくり言うと、投票率を上げるために、たとえばソーシャル・ネットワーク・インセンティブの考え方(自分のためよりも、つながりのために人は動く)を活用して、地縁などのリアルなつながりに働きかける案を考えてみたのである。

それが「都道府県・市区町村対抗 投票率バトル」

そして、ワースト3などに選ばれた市町村の自治体が不名誉に感じ、なんとかしようと手を打ち出すのではないか、という推測のもと、自治体自体に自発的に動いてもらい、それが教育にまで影響を及ぼすことをイメージした。

民間が出来る「現実的な案」としては、こういうあたりかな、と思ったので荒削りながら書いてみた。


で、あれから調べてみたところ、「ワーストな市区町村が実際に動いている事例」があったので、今日はそれを紹介したい。


それは、群馬県の館林市。

館林市は、今年4月の県議選の投票率が35.74%と県内市町村中最低だったそうである。

※(全国ワーストではなく、県内ワーストでもこうして動くんだな・・・)

知事選でも、2007年(45.89%)と11年(28.60%)に投票率県内最低を記録し、前回15年は最下位を免れたものの、28・05%と過去最低の投票率に終わったらしい。

そこで、群馬県館林市選挙管理委員会が、この前の参院選において(知事選も含む)、「投票率最下位脱出!」をキャッチフレーズに、民間も巻き込んだ啓発活動をしたのである。


ニュースサイトはすぐリンク切れするので、上記記事を一部引用しておく(太字筆者)。

危機感を抱いた市選管は「ネガティブ(後ろ向き)だが、まずは市民に現実を知ってもらわなくては」(事務局)と、選挙期間中、市内随所に掲げる横断幕やのぼり旗に「投票率最下位脱出!」と刷り込む異例のキャッチフレーズを策定。市役所玄関の「母たぬき」像にも「“投票率”最下位脱出!」と記したたすきを掛ける。


また、タレントを動員したり、若者に事務を担当してもらったりもしている。

これも一部引用すると、

知事選と参院選のイメージキャラクターに選ばれた高崎市出身のタレント、JOYさん(34)は6日、JR高崎駅西口で投票を呼び掛けた。活動には大学生の選挙啓発チーム「G-vote18(ジー・ボート・イチハチ)」のメンバーも参加した。活動に加わった高崎経済大の田部井優樹さん(20)は「思っていた以上に関心を持ってもらった。投票日に向け、家族や友達にも投票を呼び掛けたい」と話す。
大泉町では町内にある高校と専門学校の生徒が、期日前投票所で投票用紙を配る事務を担当。選挙事務に直接関わることで、有権者としての意識を高めてもらうとともに、友人らへの投票呼び掛けにつなげてもらう狙いだ。



そして、地元商店街では、「センキョ割」も実施している。
これは『投票済証明書』をもらえば、割引が受けられるサービス。

リンク先(↑)に、どの店でどういう割引がされるかの詳細なリストが貼ってある。



さらに、図書館には選挙書籍を置いたらしい。


これなんか、教育現場まであと一歩、というところまで近づいている。

館林市は参院選、知事選が投開票される21日まで、若者に政治に関心を持ってもらい投票率を改善しようと、市立図書館に選挙や政治に関する書籍を集めた企画コーナー「みんなで投票にいこう!」を設置する。
4月の県議選で、投票率は県全体の43・49%を8ポイント近く下回る35・74%で、県内で最も低かった。市は政治に無関心の若者が多いことが投票率低迷の一因とみており、「最下位脱出に向けた取り組み」としている。
市立図書館では「池上彰のみんなで考えよう18歳からの選挙」「イラストで学べる選挙制度」など計23冊を紹介し、貸し出す。


なるほど、もうやっていたんですね。
ということは、バトル案は現実性があるのかもしれない。


ひとつ前の記事で書いた「選挙コンプレックス」についてはもう少し考察しないといけないと思うものの、自治体が率先してキャンペーンをやることで、

・地縁のつながりによって背中を押され
・ほんの少しでも選挙について考えるきっかけになる

くらいなことは、最低でも起こりそうだ。

もちろん、それは「投票率が少しずつ上がっていくこと」に続いていく。




では、このキャンペーンの結果、今回の参院議員選挙で館林市の投票率が上がったのかどうかは、今時点では不明w

市のホームページを見ても確認できなかったので、確認できたらここに追記します。(※ 一番下に追記

そんなすぐに効果がでるかわからないけど、どうなんでしょうね。

ついでに言うと、館林市の投票率が上がると、他のどこかが「県内最下位」になるわけで。そしてまた脱出しようと努力しだすわけで。

そういうバトルが少しずつ行われ出すと、全体にじわりじわりと投票率の底上げが起こり出す、ということですね。


なるほど手としてはありなのかも、と思ったので、ご紹介しました。


最後に、動画ニュースへのリンクも貼っておきますね。

群馬県 館林市選挙管理委員会 投票率最下位脱出へ(19/7/3)


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追記1:
当日の速報がホームページに出ているのを教えていただきました。

4月の県議選からは投票率が上がってます。

県知事選が46.54%
http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/docs/2019072000014/
参議院議員選が46.18%
http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/docs/2019071900018/

ただ、他の自治体との比較は出ていないので、最下位脱出できたかどうかはまだ不明です。

追記2:
館林市、県内最下位を脱出したみたいです。
投票率46.18%で、県内ワースト4位。全国1898開票区中 1537位です。
おめでとうございます!

そして、全国ワースト10(全国 1898開票区中)は、

ワースト1位 福岡県 福岡市博多区 34.16%
ワースト2位 徳島県・高知県 鳴門市 34.86%
ワースト3位 徳島県・高知県 藍住町 35.28%
ワースト4位 徳島県・高知県 徳島市 35.62%
ワースト5位 大阪府 大阪市浪速区 35.73%
ワースト6位 徳島県・高知県 板野町 36.05%
ワースト7位 徳島県・高知県 上板町 36.74%
ワースト8位 徳島県・高知県 小松島市 36.83%
ワースト9位 青森県 大間町 36.9%
ワースト10位 徳島県・高知県 松茂町 36.95%



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